他の人が1日でも早く帰りたいという中で、彼女は「帰りたくない!」の一点張りでした。
本当なら、とっくに帰れるレベルまで治っていたのですが、先生にお願いして、いられる期間いっぱいまで入院を延ばしていたほどです。
なぜ帰りたくないのか?というと、彼女はご主人様に先立たれ、自宅へ戻ると1人だから。
彼女は、少女のように可愛らしい所がある反面、私が「夫人」と呼ぶ様に、人を寄せ付けない独特の雰囲気があるのです。
お友達作りは苦手だそうで、近所にお友達がいないらしいです。
「私、帰ったら1人ぼっちですもの。
本当にさみしいわ。帰りたくない。」
ここの所、毎日夫人は言っていました。
ここにいる間、看護師さんや、看護助手さん、リハビリの先生…たくさんの方に声を掛けてもらったり、この部屋でみんなで話したり。
それがとっても楽しかったみたいなのです。
おばあちゃん達には夫人の気持ちが全くわからないらしいけど、私にはよくわかります。
ここは居心地よかったよね。
まして、家に帰っても待つ人は誰もいなくて、友達もいない。
足が悪くて、1人で遠出も出来ない…となったら、私の何倍もさみしいでしょうね。
夫人の退院を見ていると、いつか訪れる、自分の退院を見る様です。
夫人、わかるよ!その気持ち。
どうぞ元気で!
デイサービスで、気の合うお友達が出来ます様に。
幸せを祈ります!