生放送が始まるその数分前。表向きは何事もない風を装って、いつも通りの空気が流れていた。恭大が準備した照明もスマホもスタンバイ完了。
あとは、スマホをタップするだけで世界に“オンエア”される。
……でも、恭大の心は、まったく準備ができていなかった。さっきまで光樹が、自分にどんな目をして、どんな風に触れてきたか。
その温度がまだ、体の奥にこびりついて離れない。それなのに、光樹は何事もなかったように、スマホの前に座った
そして、その時は来た。光樹が録画ボタンを押した
「あ…聞こえてる~?みんな~。あとBGM大きくない?大丈夫そ~?」
隣に座る光樹はそう言いながら、爽やかに笑って手を振った。
(……ほんま、切り替え早すぎやろ……)
「…こんばんは~…配信始まったって…拡散してな」
パッと見、完璧なオープニング。でも、恭大の声にはかすかな震えが混じっていた。
(あ…いい事思いついちゃった…)
「あっ…ちょ、髪が乱れてんな…」
光樹がぽつりとつぶやいたかと思えば、スマホの画面を確認するフリをして
するりと恭大の方へ寄ってくる。画面には映らない死角で太ももに、ひんやりした指先がそっと滑った。
「っ…、生放送前に直せよ、な…そういうの……」
(ちょ…何してんのや…コイツ…っ!)
一瞬、言葉に詰まりかけた恭大だったが、声はなんとか震えないように抑えてかすれた声でそう言いながら、笑ってごまかしながらも、視線だけはじっと光樹に突き刺した。気を紛らわせるように画面を見やれば
📱💬コメント欄:
【こんばんわ~】
【待ってたよ~!BGM大丈夫だよ~!】
【今日みつきのビジュえぐくない?!】
【なんか今日の二人距離近くない~?】
【きょーたくん、なんか静かやない?大丈夫?】
【みっちゃん前髪より、きょーたくんのテンション整えて】
そこには、いつも通りの視聴者コメントが止まることなく流れていた。
「BGM大丈夫そうだね~。え?〝きょーたくん、なんか静か〟?確かに…な」
(ふふ…。ビクビクしてる…かわい)
光樹が爽やかにコメントを拾いながらも微笑む同時に、撫でていた手がゆっくり、指先で押し込むように沈んできた。
「…っだ、大丈夫や…ちょっとだけ…き、昨日遅くまで編集してて、ちょっと疲れたかも。はは……!」
(あかん……声が震える…やめてくれ……〝いつも通り〟にさせてくれや……)
ビクッとしながら誤魔化すように恭大は笑いながらそそう言った
「へぇ……遅くまで…ね。さっきまで俺と一緒に〝アソんで〟たから疲れたとかじゃないの~?きょーたくん」
焦る恭大の顔を、光樹が横目でチラリと見ながら口角を上げて、さらりと爆弾発言をした
「……っ、あは、な、なに言ってんねん、みつき、編集やで…?」
(……は、なんてことサラッと言うてんねん、こいつ…っ!)
恭大は目を泳がせつつも、とっさに肩をすくめて笑ってみせた。
スマホの画面にはコメント欄がざわめき始めてた。
【アソんで、ってなに……え、え?え???】
【え?どゆこと?!w】
【え、え、え、まって、意味深発言すぎない?】
【みつきくん何したの?w】
【これは確実に裏あるやつ(確信)】
というコメントがあふれていた
「んー?〝なにした〟って…?なにかなぁ~ふふっ…」
そう言いながら、光樹の手の動きがまた変わった。ゆっくりと、爪先で恭大の内ももをなぞるようカリッとに引っ掻いてきた。
「っ……!……ぁ……っ……」
(あかん……マジで限界や……見えへんとこやからって……ッ)
一瞬、恭大の喉が震え、息が漏れかける。その声を誤魔化すように、即座に咳払いをする。
「ん?どうしたの?きょーた?」
(恭大…声が出そうになってる。ふふっ)
そう声をかけながら、光樹はゆっくりと恭大の顔を覗き込んだ。優しい目で見つめているようでいて、そこには悪戯っぽさを秘めた瞳が光っていた。
「な、なんもない…。…こ、コメント読もか、コメント。えっと……〝きょーたくん顔赤い〟……ちゃうちゃう、照明のせいやって、これ……」
恭大は唇の端を引きつらせながら、光樹の視線からそらして無理やり作り笑いを浮かべた。内ももをかすめた熱がまだ残っていて、それを知られまいと、なんとか平静を装う。
「へぇ?照明のせい?俺の〝せい〟じゃなくて?」
光樹はそんな恭大の焦りを楽しむように、くすっと笑った。
「…ほんま、……なんやねん…っ!もう、ちょっと黙っといてくれへん……!?」
(こんなん、冷静でいられるわけないやろ……っ!これ以上されたら……マジで声、出る…っ!)
ぶわっと顔が熱くなるのを感じた瞬間、恭大は手元のペットボトルを掴んで
ごく、ごく、ごく……と勢いよく水を流し込んだ。喉を潤すっていうより、〝喋らない〟ための逃げだった
「……」
光樹はにこっと笑い、言葉を発さずそのままじっと恭大を見つめる。
「……な、なんも言わへんの……?っ、それ……反則やろ……っ」
恭大はその無言の圧に耐えられず、ゆっくりと視線をスマホ画面に逸らした
「……」
それでも光樹はじっと見つめ続けた
コメント欄
【きょーたくんが“黙れ”って言うから、みつき黙ってるの草】
【なになに?ふたりの世界???】
【ガチで何が起きてるのww】
【リアタイしててよかった😭🙏】
(そろそろ次に行かないとな…遊びは一旦終わりにしよう)
「よし!せっかくだし質問コーナーに行こうか!」
光樹はぱっと表情を切り替えて、恭大の太ももから手を放して光樹は画面を覗き込む。
「そ、そうやな…みんな、質問どんどんしててな~…!」
(え…やめてくれた…?…でも、終わるまで、絶対……油断できへん…)
光樹の指はすっと離れた。しかしそれは〝解放〟ではなく、ただの〝一時停止〟だということを、恭大はもう痛いほど知っていた。
(さて……何を読もっかな。恭大が一番困るやつ、っと)
「コメントもいっぱいで嬉しいなぁ~。…ん?〝おふたりは、付き合ったらどっちが主導権握りそう~?〟だって」
(これいい。きょーたに答えさせたら絶対面白い)
光樹はそれを見つけてニコッと笑いながらわざとらしくコメントを読み上げた。
「ふぇ?そ、そんな質問来てたん…?」
(なんでそれ選んだんや…っ 絶対おもちゃにする気やろ…!)
恭大は思わず笑いながらも一瞬息をのんだ。背筋がうっすら汗ばむ。
「これはさあ……きょーた、自分で答えて?」
(ここでどう出るかな……逃げられると思うなよ)
光樹は口角を上げ、わざと軽く身を寄せる。
「……まあ、どっちかって言ったら……俺の方、かも?」
恭大は笑って返す。けど、口元がほんの少しだけひくつく。その瞬間、光樹の目がわずかに細められた。さっきまで笑っていたはずの瞳が、どこか鋭く、じっと恭大だけを射抜く。
「へぇ〜?そっか〜。じゃあ、きょーたが“責める側”なんだ」
(ほんとは俺の指一本で、声も出せないくせに…そういうこと言うんだね)
光樹の声色は甘くて無邪気なのに、手の動きは容赦なく、ズボンの中に入り込み始めていた。
「……っぁ、みつ…っ」
(やっべ…これ、絶対なんかされる)
恭大がそう言いかけた瞬間、光樹が被るようにそう言った
「コメント欄に…あった〝きょーたくんからみっちゃんにスキンシップして〟を応えてあげてみなよ?ねぇ?きょーたくん?」
にやりっとしながらさっきよりも恭大の敏感な部分をなぞる。
「……っんっ…ちょ、っと…っ」
(あ…あかん…っ!限界や…っ!)
恭大は口元に手を当ててビクビクっと肩を震わせた
「まぁ?“主導権”とかじゃなくて……きょーたが、俺に逆らうとどうなるか、もう知ってるよね?…ねぇ?」
サラッと放たれたその言葉に、画面のコメント欄がまたざわつく。
【えっぐww】
【光樹くんドSで草】
【きょーたくん固まってるw】
【いま、きょーたくんビクビクしなかった?!】
【絶対みつきくん主導権でしょ!これww】
視聴者の反応が次々と画面を流れ、きょーたの動揺をより際立たせていた。
「そ、そんなん…ちゃぅやろ…っ」
恭大はそう言った後に首を横に振る
「だってさ、きょーた、俺に逆らえたことあった?」
「…そ、それは…っ!」
(全部、わかってて、仕掛けてる……これ、マジで逃げられへんやんけ…くそ…)
「ってことで、次の質問~。えーっと『料理得意なのはどっち?』」
みつきはスマホの画面に目を落としつつ、柔らかな笑みを浮かべてコメントを読み上げた。コメントが次々と流れ、視聴者の興味は一気に軽やかな話題へと移っていく。
生放送の空気も少し和らぎ、ふたりの距離は微妙に変わらないまま、最後まで熱を帯びていた。
「……そら、みつきやろ」
恭大は少し間を置いて、ゆっくりと答える。目を細めて、ほんの少しだけ笑みが滲んだ。
「えー?俺はきょーただと思うな~きょーたのカレー、いつもおいしいから」
そう言って光樹はニコッと笑った
「…俺は全然やで?みつきはなんか、器用やし…手際ええから」
光樹を見つめ返してコクッと頷く
「ふーん、なるほどね」
軽いやり取りにコメント欄がまた賑わう。
【きょーたくん、エプロン似合いそう!】
【料理配信待ってます】
【きょーたの手料理たべたーい】
色んな質問をしてたらふと光樹は画面の端に表示された経過時間が目に入る。
開始からすでにかなり経っていて、配信も終盤だった
(あ…もう終盤だな…)
光樹は視線を画面の端へと流し、笑顔を崩さずに言った。
「じゃ、次でラスト質問にしよっか」
【もう終わり!?】
【早すぎる…】
【最後まで見届ける!】
【じゃあ最後にお互いの第一印象は?】
「これいいじゃん。【お互いの第一印象は?】っていう質問。それ応えたら終わろっか!」
光樹は少し意味深な笑みを浮かべながら、恭大の顔を覗き込んだ。
「え、お互いの第一印象…?」
恭大は首を傾げながら頬をポリポリッと掻いた
【それ、聞きたかったやつ!】
【やった、私むの質問キター】
【気になるやつだ】
「ねぇ、俺の第一印象、きょーたは?」
(恭大、今回、俺のペースに飲まれてるけど、まだ本気で抵抗してくるのが面白い。…まだまだこれから、って感じだな)
そう言いながら恭大の頬をつんつんとついた
「えーそうやな…最初は、近寄りがたい感じやったな…」
(そう、俺は最初、やんちゃそうなやつやなって思って深く考えずにあまり、気にも留めなかった)
つんつんしてる光樹の手を軽く振り払って恭大は笑いながらも、どこか悔しそうに答える。
「えー?なんでそう思うの?」
みつきは眉をひそめ、興味深そうにじっと恭大を見つめる。
「ほら、だって初めましてした時、お前やんちゃな格好してたやん…いまもやけど…」
そう言いながら、恭大は首筋をぽりぽり掻き、視線を逸らす
「まあ、確かに…その時もしてたか…でも話しやすかったでしょ?」
光樹は恭大の言葉を聞いて、一瞬だけ間を置いた。そしてふっとくすりと笑い、目を細めてから静かに言った。
(恭大、俺の事…そんな風に思ってたなんてな…)
「…まぁな、話してみたらな…!意外と話しやすい奴やった」
(……のに、最近になって光樹のことをもっと知りたいとか、そんなこと…口が裂けても言えるわけないやろ)
そう言って恭太はニコッと笑った
「でしょ?そういうとこ、俺の魅力やねん」
光樹が軽く自慢げに言う。
「みつきは?俺の第一印象はどうやったの?」
首を傾げながら見つめた
「え?お前の第一印象…無関心で俺に関わるなってオーラしてたって第一印象」
すんっと真顔になってそう言った
「はぁ?えっ?」
これに対してコメント欄は…
【最初は怖そうって思ってたんだねw】
【なんだかんだ仲良くなってて尊い】
【きょーたの本音チラ見せにドキッ】
【みつきのちょっと意地悪な感じ好き】
【あの時の印象と今じゃ全然違うね】
【みつきのイジワルが絶妙すぎるw】
「じゃあ今日はここまで。また近いうちに配信するから、楽しみにしててね」
「えー…真面目に教えてやそこは」
こんなやり取りしながらも光樹はにこやかに画面を見つめ、締めの言葉を告げる。
「じゃ、今日も見てくれてありがとー。バイバイ!」
ニコッと笑いながらピースをして、光樹が配信を終える。画面が真っ暗になるのと同時に、恭大は深く息を吐いた。
「……っ、終わった……」
(やっっっとおわった…)
画面が真っ暗になるのと同時に、恭大は顔を手で覆い深く息を吐いた、心臓の高鳴りを押さえる
「なぁ、恭大…」
隣に居る光樹は、さっきまで明るかった声が低くなっていた
「な、なんや…?光樹…」
肩が無意識にビクッと震える。反射的に横を見れば、光樹は笑ってもいない、真っ直ぐな目でこっちを見ていた。
「さっきの俺が言った事、まだ引きずってんの?恭大」
じっと見つめながら恭大の脚のあいだに手を滑り込ませた。
「ちょっ…なにしてんのや…っ」
腰が反射的に引けるけど、逃げる前に膝をぐっと押さえられた
「ねぇ、答えて?主導権の質問の時、なんで嫌そうな顔してたの?」
光樹はそのまま、抵抗する恭大の膝の上に跨って手を押さえつけた
「…はぁ?なんのことや…?っていうか、なんで乗ってんのや…!」
恭大はそう言いながら光樹を下ろそうとまた抵抗をした
「抵抗すんな、だるいから…」
光樹は恭大を押し倒してから耳元に近づいて低音でそう言った
「……っ、やめ…て…っ!みつき…っ」
必死に恭大は光樹を押し返そうとした
「だから、抵抗すんな…恭大」
 光樹は片手で軽々と押さえつけ低く囁きながら、空いた手で恭大の顎を掴み、顔の向きをじっと固定する。
「あっ…みつ…き…やめ…っ」
(あかん…動けん…やばい…熱くなって…きた)
恭大は震える声で涙目になりながらそう言った
「……さっきの質問の答え、まだ聞いてないんだけど…?」
 光樹は吐息が恭大の唇に触れる距離まで迫り、わざと止めて見つめる
「だ、だから…それは…っ」
「自分の口から言わなきゃ、俺が聞き出すよ」
 話を遮って光樹はそう言うと、耳から首筋、そして鎖骨へとゆっくり辿るように舐めた
「んんっ…ぁっ…ちょ…みつき…っ」
(あっ…こんな事されたら…思い出してしまう…)
ビクビクっと腰が無意識に反り、部屋中に恭大の甘い声が響いた
「ほら、答えてよ?きょーたくん」
舐めた後に光樹はそう言いながら恭大の上に乗る
「なっ…なに、する気や…!光樹…っ」
焦りながらそう言って恭太は光樹を睨み付けた
「んー?だって…恭大が答えないから…」
睨み付けられても光樹は低音でそう言いながら恭大を見つめた
「……っ」
低音で言われて恭大は思わず目を逸らした
(へぇ…まだ、逆らうんだ…いいねぇ…)
「俺に言わせたい?それとも…もっと、こうされたい?」
光樹はそう言った後に恭大のシャツのボタンを外して、首を舐めながら横腹をやらしく触った
「ちょっまっ…みっ…つき…っ!んっあぅ」
ビクビクっと震わせて声を抑えるように口元に手を当てた
「気づいてる?恭大…。口はそう言ってるけど体は…もう素直すぎるよ?」
「そんなん…ちゃうっ…」
(…あかん…声も、力も…出せん…)
恭大は小さく首を横に振り、腰を引こうとしたけど、その動きごと光樹は足で背中を押さえつけられた
「逃げんの?…違うって言うなら、ちゃんと証明してみ?恭大」
舐めることも触ることもやめてじっと光樹は見つめた
「だから…いや、なんや…」
恭大は震える声でそう呟き、両手で胸元を押そうとするが、力はほとんど入らなかった
「…恭大、ほんと顔に出やすいよね」
光樹は耳元に顔を寄せ、低く囁いて、耳をペロッとなめた。
「な、何言うて…あっ…や、め…っ」
(あかん…熱い…体、勝手に反応してまう…)
光樹の声や目だけで何故かゾクゾクっとしてしまう
(やっぱり…思った通りだ)
「本当は、やめてほしくないんでしょ?ほら…素直になれば楽になるのにね」
光樹はその反応を見て瞳を細まり、唇の端で微かにニヤリっと上がった。ますます光樹の支配の色を増していった
(…あ…もぅ…むり…やめ…てほしいのに…低い声で、支配されたら…)
「…みつ、き…もぅ…おねがい…」
そう言いながら恭大は光樹の首に手を回した
「ん?おねがいって?ちゃんと…口で言って?きょーたくん」
(完全にこれ堕ちたな…)
ニコッと笑いながら今度は恭大の頬に触れる。
優しく撫でるのかと思えば、親指で唇の端をなぞり、そのまま軽く押し開く。
「んぁ…っ」
されるがままに恭大は涙目ながら見つめる
「ほら…きょーた…言わなきゃ、分かんないよ?」
(…こいつのせいで…支配欲が芽生えてる気がする…)
そう思いながら恭大の舌を、みつきは親指で軽く押し込み、口の中で左右に転がすように弄った。
「んっ…んぅっ…はぁんっ…」
思わず恭大は息を詰め、口の中で親指に舌が転がされる感覚に身体がびくつく。
「俺にどうしてほしい?恭大」
(なんか楽しくなってきた…もっといじめたくなる
そう囁いたあと、光樹はわざと笑みを引っ込めて恭大の舌を弄ってた指を口から抜いて顎をぐっと掴んで固定する。
「……っ」
(あ…その顔で…見つめられたら、やばい…目が逸らせへん…)
口の中から指が抜けた途端、妙に喉が熱く、呼吸が浅くなる。
「どうしたの?俺にどうしてほしいのか…言ってみて?」
(……もう追い詰める言葉はいらない。見つめるの方が、こいつには効くよね…かわい)
優しい声でそう言いながらじっと見つめ続ける
「……っ、ゃだぁ…っ」
恭大は見つめられるのが耐えられず思わず目をギュッと閉じた
「……目ぇみて、言え…恭大」
そう言いながら恭大の首に添えてる手を少し力を入れる
(…な、なんか…声出さなきゃ…苦しい…っ)
「…ぁっ、やめ…ないで…」
目を合わせて、震え声でそう言った
「んじゃ、なに?ちゃんと言わないと…」
目を細めてじっと恭大を見下ろしてた
「ぐちゃぐちゃに…して…」
恭大は小さく震え声を漏らすと、光樹が首に添えていた手をギュッ、と握りしめる
「いい子だね、恭大。じゃあ今から襲うからね」
その声を聞いた瞬間、光樹はわずかに口の端を持ち上げて笑い、恭大にキスをする
「んっ…んぁ…」
いきなりキスをされて一瞬ぽかんとする
「舌…絡めて?きょーた」
光樹は一瞬だけ唇から離れてそう言った後、恭大の答えを待たずに自分の舌を入れる
「んっ…んふっ…んぁ…」
(あつい…わけわからん…こわい…)
頭の中がぐちゃぐちゃになりながらも光樹の応えていた
「はぁ…顔、蕩けてるじゃん。気持ちいい…?」
光樹は恭大の顔を見て微かに笑みを浮かべ、さらに体を密着させて恭大の耳元で低く囁いた
「ん…っ、もっと、シて…ほしい…っ」
蕩けた顔でそう言って見つめた
「ふーん…?〝シて〟…?なにをシてほしいの?きょーた」
目を細めてニヤリと笑った
「光樹がほしい…犯して、ほしい…」
恭大は光樹の声耳元に近づいてそう言った
「へぇ…?ほしいんだ?」
そう言われた後、光樹はそう言いながら首から下にかけてスーッとなぞった
「んぅっ…ほ…しい…」
なぞられてゾクゾクとビクッとしながら顔を隠した
「へぇ…?」
言った後、光樹は恭大のズボンを脱がした
「……っ、みつき…」
ズボンを脱がされて恥ずかしそうにする
「……あんなに嫌がってたくせに…」
(すんなりと素直になるとはな…)
耳元に近づいてそう言いながら恭大の中を慣らした
「んぁ…んんっぁ…っそれは…」
ビクビクっと体を震わせながらもそう言いかけた
「…まぁ、いいけど…完全に堕ちたし…ね…っ!」
慣らした後、光樹は自分のを挿れ始めた
「んんあっ…んはあっ…みつ、き…っ」
いきなり自分の中に入れられた恭大は大きくびくびくと震わせて涙目になる
「…大丈夫?きょーた」
そう言いながらも光樹の腰は動かしてた
「ぁっ…んあぅ…みつ、まっ…てっ…」
(動きとめて…くれへんやん…っ…)
ビクビクっと震わせながらシーツをギュッと握る
「…嫌。待つわけないでしょ?」
光樹は腰を動かし続けた
「んあっ…んひっ…あんっ…っ」
(声でちゃう…はずぃ…っ)
恭大の甘い声が部屋中に響いていた
「ははっ…ほんとにかわいいね…なんかもっと焦らして焦らしまくって犯したくなる」
(この顔…さいこ…独り占めしたくなるよな…コイツ…)
光樹は奥を突き始めて自分の唇をぺろっと舐めた
「…やっ、んっはぁ…みつ…き…っ、それぇ…やめて…っ」
(まって…っ!ほんまに…あかんて…っ///)
涙目になりながらも恭大は快感を覚えていった
「ん~?なんで?恭大、今気持ちよさそうにしてるけど?」
(たまらないな…コイツ…)
ニヤリと口の端を持ち上げて笑いながらまた恭大の首に手を添えて強めにギュッと絞めた
「……っっ…はぁっ…ぁっん…っ」
(頭…おかしなる…苦しい、のに…嫌やない…)
ビクビクっとしながら恭大はイキそうになっていた
「イキそう…?いいよ…イッて?きょーた」
見つめながら恭大がいくまで光樹は激しく動かし続けた
「…あぁっんっ…もぅ…っっ♡」
激しく動かされ、恭大はイッてしまった
「……っ」
続けて光樹もイッてしまった
「はぁはぁ…中にだし…たんかよ…っ///」
「お前が悪いわ…バカ恭大」
そう言って光樹は自分のを抜いて後片付けをした
「…バカは、どっちやねん…」
(もぅ恥ずかしいやん…嫌や…///)
息を整えようと起き上がる
「…クス。でも…誘ったのお前だからな?恭大」
ベッドの端に座って恭大の頬を触る
「う…っさい…っ!もともと、光樹が悪いやん…っ///」
恥ずかしそうに見つめながらそう言った
「あー…なら、お前が誘ってもヤらんねぇよ」
そう言って立ち上がって光樹は風呂場に行ってしまって
「…あっ…」
(…ヤってしまった…あぁ~っ)
体育すわりになって頭に手を当てた
ーーー風呂場にてーーー
「…はぁぁ。ちゃんと…」
(付き合ってから、ヤったほうがいいのに…ヤッてしまった…w)
風呂場に着いた光樹はドアにもたれかかって天井を見上げてた
「……まぁいいか…」
そう言ってシャワーを浴びた
これが〝後悔〟なのか…〝じゃない〟なのかは…光樹にしか、分からない