「俊、大丈夫?」
柚雪は柊翔たちと飲みに行った帰り、俊を家まで送ることになった。
「ん〜…らいじょーぶ…」
俊はかなり酔っ払っていて歩くのもままならない様子だった
「明日行けるの?その状態でさ…朝起きられる?」
そう言いながら柚雪は俊を支えながら俊の家まで向かった
「…たぶん、へーき、だとおもう…」
「不安だなぁ…。なんで弱いのに飲んだのさ…」
呆れながらも柚雪は俊にそう言った
「まぁ…久しぶりにお前らに会ったから、じゃねぇかな…」
そう言ったあと、俊はニッと笑う
「まあまあ、それはそうだけどさ…。あ、着いたよ。鍵は?」
俊の家に着いた柚雪は俊にそう言うと
「待って…ポケットに…あった…」
俊はポケットから家の鍵を取りだしてドアを開けた
「俊。いいね?明日朝イチで行くから…遅れないようにね?」
俊が家の中に入る前に柚雪は念押しをした
「もちろん、安心して」
雪の心遣いに俊は笑みを浮かべながら、そう言って後は家の中に入っていった
「さあて、帰るか…」
柚雪は俊の後ろ姿を見送りをしてから自分も帰路に着く
「賢久さん、もう寝てるのかな…」
夜の街灯の明かりが、ぼんやりと街を照らしていた。柚雪は、稲坂を思いながら家まで歩いた
「賢久さんに電話しよかな…」
柚雪はそう呟いて、ポケットからケータイを取り出して稲坂に電話をかけた
(…これ、ねてるな…)
だが、稲坂からの応答はなかった
「…また、玲哉のとこにいるんじゃ…」
柚雪は不安そうにケータイを見つめてた
(……まあいい。明日聞こ…)
そう言って家に着いた柚雪は中に入ってった
「一応、LINE入れるか…」
部屋に入った柚雪はソファに座って稲坂にLINEを送った
その内容は『もう寝てるかと思ってLINEしてみた。明日、賢久さんのとこに行くよ。』だった。でも直ぐに既読にはならなかった
(……未読…か。ねよ…)
ソファから立ち上がってベッドに横になって心に余計なことを考えないようにして、眠気が来るまで静かに過ごした。
翌日、柚雪は未だにねてた。すると電話の着信音が鳴り渡ってた
「ん…うるさ…」
目を覚ました柚雪は眠い目をこすりながらケータイを手に取って画面を見た
「……はっ。やば…!」
画面を見た瞬間、柚雪は驚き、急いで電話に出た
『あー!やっっと出た〜!!何してんのさ!柚雪』
向こうの声は柊翔だった
「…ごめん、ねてた…。」
柚雪は眠たそうな声で柊翔に謝った
『でも、良かった。何かに巻き込まれたかと思った…。3時間でライブが始まるよ!早くきなよ!!』
「…わかったー」
と柚雪はそう言って電話を切った
(やべぇ…柊翔から電話が何度もきてたし、なんで気づかなかった…??とりあえず急ごう…)
そう呟いた柚雪は急いで準備をして、家を飛び出して早足で駅に向かった
ーーー柊翔達のところにてーーー
「はあはぁ…つ、ついた…」
(駅の外で待ってるって…言ってたけど…)
駅の外に出た柚雪は周りを見渡すと
「あ!きた!よかった!」
大きく手を振って近づく柊翔
「ごめん!電話気づかなかった…電話ありがとね…柊翔」
柚雪も近づいて頭をポリポリと掻きながら謝った
「いいんだよ。ほら、もう始まるから急ご!」
柊翔はそう言いながら柚雪の手を引っ張って会場まで走った
「俊たちは?」
柚雪は息を切らせながら尋ねた
「会場で待ってるよ!ほらもっと早く!」
会場に近づいてくると懐かしい曲が聞こえてくる
「あ、きた!柚雪!瀬良」
「やっと来た…。なにしてたの??柚雪」
会場の近くにいた俊と瑠依
「さっきまでねてた、ごめん…」
柚雪は2人に素直に言って謝った
「柚雪おまえ、昨日遅れないように、って言ってたのに自分が遅れるとはな…」
俊はそう言って柚雪の肩をぽんと叩いた
「あはっ。でも俊を送って色々してから寝たからさ?」
「さあさあ!そういうのはいいよ!入ろ!みんな」
柊翔はそう言って会場の中に入っていった。会場の中は華やかで賑やかな雰囲気が広がっていた。
「初めて席から響葉たちをみるね」
瑠依は周囲を見渡してワクワクしてた
「そうだよなぁ〜。卒業までは俺らはステージで見てたからね」
俊はうんうんと首を縦に振る
「……」
柚雪はどこか不安があって黙り込んでた
「ん?どうしたの?柚雪」
それを見た柊翔は首を傾げながらそういった
「…あ、いや、大丈夫!楽しみだね!」
柊翔に余計な心配をかけたくなかった柚雪はニコッと笑った
やがてライブが始まり、会場中に新曲だったり懐かしい曲が流れてきた
(懐かしいな…この曲。)
柚雪は懐かしい音楽に触れるたび、かつてのアイドル時代を思い出していた。
その時、周りのファンたちが周りのファンたちか一斉に歓声を上げてきゃ〜と叫んだ。
稲坂たちを見ると玲哉が稲坂とイチャイチャしていることを目に入った
(…やっぱり、玲哉の方が似合う…のに…。行かない方が良かったんじゃ…)
柚雪は顔を出さないように稲坂たちを見つめながらも心の中で思わず漏らしてしまった。
「…やっぱり行かない方が良かった…」
柚雪は無意識にその言葉が口からポロリとこぼれた
「柚雪?大丈夫…?」
柚雪の隣にいた柊翔は、柚雪の言葉に気づき、心配そうな表情を浮かべた。
「…あぁ、大丈夫…。気分が悪くなってて…。」
柊翔にそう言われた柚雪は無理に笑った
「そうなの?!外に行く?」
「大丈夫大丈夫。」
そして時が流れ、ライブが終盤に差し掛かった
『みんなー!今日も!来てくれて!ありがとうね!』
ステージにいた玲哉が大声で叫んだ
『いやぁ〜!楽しかったぁ!次も来てね!みんな!♡』
次々とメンバーのコメントを投げてる中、柚雪が立ち上がった
「柊翔、俺ちょっと外に出るよ」
と隣にいた柊翔にそう言って会場の外に出ようとした。その時、ステージから稲坂の声が聞こえた
『えー、俺から1つ!ここにいるみんなに言いたいことがあるんだ、聞いてくれるかなぁ?』
稲坂は大きな声で宣言し、周囲の注目を集めた
「ふぇ…?」
柚雪は不思議そうに眉を寄せながら稲坂を見つめた
「なぁ〜に〜?」
『俺ね…いきなりだけど、付き合ってる子がいるんだ』
稲坂は深呼吸してからそう叫んだ
「えー!だぁれ〜〜!」
稲坂がそう言うと周りのファン達が一斉にそう言った
『ちょっと恥ずかしいけど…今日来てる卒業メンバー…柚雪輝春なんだ。』
稲坂はそう言った後、目があった
「あの人…っ!なにいって…」
稲坂と目が合った柚雪はフェンスに手をかける
『だから、輝春を悲しませることはしたくないし…。輝春!おじさんは!輝春一途だから心配は要らないよ!…ね?』
稲坂はそう言ったあとニコッと笑った
「きゃ〜〜♡」
ファンたちは稲坂の話を聞いてまた歓声をあげた
「柚雪…良かったじゃん。稲坂さん勇気出したねぇ♡」
柊翔はニヤニヤしながら口元に手を当てた
(あの人…っ!なんで言っちゃうんだよ…!恥ずかし…っ///)
あまりにも恥ずかしすぎて椅子に座って顔を隠した
そしてライブが終わり、周囲のファンたちが次々と会場を出ていく中、柚雪はまだ恥ずかしさがのこったままだった。
「ほら、柚雪?いつまで恥ずかしがってるの?葵唯達のとこに行くよ〜」
未だに恥ずかしがってる柚雪の手を引っ張って稲坂たちのところに連れかれる
ーーー会場の楽屋にてーーー
「葵唯〜!来ちゃった〜」
楽屋のドアを開けた柊翔は手を振った
「あれ?柊翔?!どうして…ここに?!」
ドアを開ける音を聞いた葵唯は柊翔達がいることに驚いた
「え〜!俊も居るじゃん〜♡しゅーん!」
愛美は目がキラキラしながら俊に飛びついて抱きついた
「愛美な…みんなの前で抱きつくなって…」
俊は驚きつつも、愛美の愛しさに負けて抱き返した
「なんや、瑠依も来とったんか…。もしかして…犯さrっ…」
響葉は俊の後ろにいた瑠依に近づいてみんなの前でそう言いかけた
「わー!!言わないでよ!…ちがうから…////」
瑠依は響葉のそう言いそうになった口を抑えた
「みんな、来てたの?今日のライブどうだった〜??」
玲哉達がたちが話してる中、みんなの更に後ろにいた柚雪が稲坂に近づいた
「賢久さん…ちょっと良いかな…」
恥ずかしそうに柚雪は稲坂にそう言った
「ん?うん、いいよ?言ってごらん?」
稲坂はそう言いながら首を傾げた
「ここじゃ、話しづらいから…」
そう言ったあと、柚雪は稲坂の手を引っ張って楽屋から出た
「輝春?どうしたんだい?」
人気ないとこに連れかれた稲坂は壁にもたれて首を傾げた
「……なんでみんなの前であんなこと、言ったの…?」
恥ずかしそうな表情で稲坂を見つめた
「ん?あんなこと?」
稲坂はそう言って見つめ返した
「俺が恋人だってこと…みんなに言ったじゃん…っ///」
柚雪は赤らんだ顔を隠しながらも、勇気を振り絞って言葉を続けた。
「あぁ、それは君を不安にさせないため、それにああ言ったことで薄塚がやりづらくなるからねぇ」
そう言いながら稲坂は柚雪の手を取り、手にチュッとキスした
「……っ///」
いきなり手にキスされてますます柚雪は恥ずかしそうにする
「ここら辺に泊まる予定?輝春」
そう言った稲坂はニコッと笑う
「…まぁ、泊まる…けど、なに…」
柚雪は稲坂の言葉に頷く
「じゃあ、一緒に泊まろか。輝春」
稲坂がそう言うと、柚雪の手を取り、楽屋に戻り、帰る準備して稲坂が泊まってるホテルに向かった