「…よし、薄塚のところに行くか」
レッスン室に1番残った稲坂はさっそく玲哉のとこに行く
「瀬良を追っかけた感じで出たからなんか…この感じ…嫌な予感するよね…」
練習所から出てそう言いながら玲哉の家に向かった
「……大丈夫かな…」
ーーー数分後(玲哉の家にて)ーーー
「……」
\ピンポーン/
「…だれやねん…こんな時に…くそ」
玄関のチャイムを鳴ったが玲哉はそれを無視する
「おーい!薄塚!いるんだろう?!」
玄関の外から叫び声が聞こえた
「…また、稲坂…さんかよ…」
「薄塚?居ないのかー?」
「……」
玲哉は稲坂が帰るのを待つ
「……」
稲坂は無言で玄関のドアを開けてしまう
「……やば…」
「…玲哉?!」
稲坂は壁にもたれかかってた玲哉を見つけてすぐに傍に行く
「……やあ、稲坂さん。いつも…来るよね…あんた…」
玲哉はあははっと笑いながらそう言った
「…また、馬鹿なことしたのかい…?」
稲坂はそう言いながら玲哉の顔を触る
「……抑えなかった…だけや…まだ…好きなんやから…」
玲哉は切なそうにそう言うと
「…なんで、またそんなこと…」
稲坂は真っ直ぐな目で見つめる
「……。」 
「……玲哉?なんでそんなことしたんだ?殺られるって分かってたのに…」
「ははっ…そんなん…自分でもわかってた。けど…抑えなかった…また傷つけた…副リーダーとして、仲間として…失格やね…。もう大丈夫やから。柚雪の所に行ってあげて?」
そう言いながらニコッと無理に笑う
「行かないよ。君を1人にさせたくない」
「……また、柚雪に怒られるで?稲坂さん…」
「…いいや、薄塚を1人にさせると…また…なんかやらかすんでしょう?」
そう言いながら玲哉を抱っこした
「ちょっと…!稲坂さん…」
「いいからいいから…怪我人は黙ってて」
抱っこした玲哉を部屋に連れていってソファに下ろしそうとした
「…あ…」
「……そこで、馬鹿なことしてた…ってことだな…薄塚」
そう言ってソファじゃなくてベッドに下ろした 
「……っ」
ベッドに降ろされた玲哉は痛がる
「……痛いのは仕方ないよ。薄塚」
そう言いながら玲哉の隣に座る
「…それは…分かっとる…仕方ないのは…」
そう言いながらソファの方を見つめて体育座りする
「手当て、しよか薄塚」
稲坂は救急箱取って玲哉に手当てをする
「んっ…」
玲哉は傷口にしみてビクッとする
「我慢して?…あの子もこれはやりすぎだよ…」
稲坂は傷口を消毒しながらそう言った
「はは…。仕方ない。悪いのは自分やし…」
切なそうにそう言うと
「でもアイドルの顔に傷できてたら…薄塚のファンが心配するよ」
稲坂はそう言いながらガーゼを貼った
「……ありがと、毎回…。」
「いや、いいよ。…玲哉辛くないか?」
そう言って玲哉の頭を撫でた
「…ほんま、あんたって優しいよね…」
玲哉はそう言いながら稲坂を見つめる
「当たり前の事じゃないか?こんなの」
稲坂はそう言ったあと首を傾げる
「ううん。すごいよ…稲坂さんは…」
泣きそうになって焦って目をこする
「…玲哉…」
稲坂はそんな玲哉を無意識に抱きついた
「…い、稲坂さん…?!」
玲哉はいきなり抱き着かれてびっくりした
「…玲哉は馬鹿だね…」
抱きつきながら稲坂はそう言って頭を撫でる
「……稲坂さん、やめて…これ以上は…」
玲哉はそう言いながら離れようとするが
「何をやめてなの?これは慰めてるつもりなんだが…嫌だったか?」
そう言って玲哉が離れるのを阻止した稲坂
「……嫌、じゃない…けど…ほんまあいつのとこにいかんくてええの?」
「大丈夫だよ、今は玲哉が心配だよ」
稲坂はそう言って玲哉を見つめる
「……なら、いつものように…慰めて?賢久さん♡」
クスッと笑い稲坂の首に手を回す
「…おっと…それは無理なお願いだね…。俺には輝春が居るから。だめだよ、玲哉」
そう言いながらニコッと笑う稲坂
「お願い…♡♡」
玲哉は稲坂の耳元に近づいてそう囁く
「……っ///」
いきなり耳元で囁きされてビクッとする稲坂
「かわいい反応するやん…稲坂さん♡♡」
そう言って玲哉は稲坂を押し倒した
「うわっ…。ちょっと薄塚っ!」
稲坂は驚きながらも反応してしまった。
「ねぇ…賢久さん…」
玲哉は稲坂の顔を見て、にやりと笑って首から触り始める
「…んっ…、ちょ、う、薄塚…っ!///」
稲坂は顔を赤らめ、玲哉を押しのけようとしたが
「おっと…。賢久さん…。いい加減に慰めてよ…」
玲哉はそれを阻止して手を押さえた
「……また、馬鹿なことを…っ!」
手を押えられた稲坂は玲哉に少し睨んでしまう
「そんなに睨まんといてや…♡♡」
玲哉はそう言ながら稲坂の手を舐める
「…薄塚、こんなことしても…無駄だと思うけど」
稲坂はそう言いながら手を振り払った
「あはっ…この状態で、逃げられると思うん?」
「この慰め方じゃなくても…いいだろう…っ!」
そう言いながら玲哉を押しのける
「……っ。だって…俺だって…人の肌が恋しいんや…」
玲哉は悲しそうな表情で稲坂を見つめた
「…俺は、傍に居るだけで充分だろう?玲哉」
稲坂はそう言って玲哉の頭を撫でた
「……」
なんも言わないまま悲しそうな表情で稲坂を見つめた
「そんな顔しないで。薄塚とはヤれないけど、添い寝、傍に居る事はできる。ね?」
そう言いながら稲坂は玲哉の頬を触る
「普通にこういうことするのに…なんで…」
玲哉は、稲坂の手が触れるのを感じながら見つめ続ける
「……意味はないよ。俺がしたいからしてるだけだよ」
そう言ってニコッと笑う
「…そうやね」
そう言ったあとに玲哉は稲坂の手をべしっと叩く
「…痛いな。何するの」
「……優しくしないで、俺に…」
そう言って立ち上がってバイクの鍵をもって外に出ようとした
「ちょっと!…薄塚っ!」
すると、稲坂は慌てたように玲哉の手を掴んだ
「…もうなんやねん…。稲坂さんは柚雪のところに行って?俺はもう大丈夫やから」
手を掴まれた玲哉は振り向いてそう言った
「…じゃ、なんでそんなに…寂しそうな顔するの?」
「……あんた、分かっとるやろ…?なんで俺が寂しそうにしてるのか…」
玲哉は切なげな笑顔でそう言った
「……」
なんも言えなくなって稲坂は黙り込んでしまう
「…あの、稲坂さん…手ぇ離して?」
「……そばに居るだけはダメかい?」
と稲坂は玲哉の言葉を無視してそう言った
「……だめ。それじゃ、足りんよ…?」
玲哉はそう言いながらニコッと笑う
「……」
稲坂は黙り込んでしまう
「稲坂さん…?いい加減に…手ぇ離して」
「離すわけないだろう?」
稲坂は冷静にそう言って玲哉をベッドに押し付ける
「うわっ…!」
玲哉は突然の出来事に驚いた
「今日は遅いから。今日はゆっくりしな?」
稲坂はそう言って玲哉の頭を優しく撫でた
「…あんたね…」
「大丈夫。今日はいるから、心配しないで体を休ませて?」
そう言いながら稲坂はベッドに腰を下ろして柚雪に連絡した
「……ほんまに、行かなくてええの?」
玲哉はそう言いながら稲坂の服をぎゅっと掴んだ
「あはは。大丈夫だよ、薄塚はそんなことは気にしないで?」
ニコッと笑いケータイをテーブルの上に置いた
「……体で慰めて欲しいな?」
稲坂を誘うような言葉を投げかけた。
「懲りないね、玲哉…。ダメだって言ってるだろう?」
しかし、稲坂は玲哉の言葉に冷静に対応した。
「…じゃあ、さっき言ってた添い寝でええ…お願い」
玲哉はそう言いながら稲坂を見つめる
「はぁ…。添い寝だけね?」
稲坂はそう言って玲哉の隣で横になった
「…ありがと…稲坂さん」
横になった稲坂を抱きついてお礼をした
「ふぅ…。いいよ。気にしないで?」
稲坂は玲哉を抱き締め返して頭を撫でる
「………やっぱりあんた優しすぎ。ほんまに」
「あはは。これがウリだからな」
「……ごめんね…毎回毎回…」
玲哉は小声で言ったが稲坂は聞こえなかった。
静かな夜の中、二人は寄り添いながら眠りについた。