ーーー怜哉の家にてーーー
怜哉の家に着いた葵唯は怜哉の家を見上げた
「……チッ」
舌打ちして玄関のチャイムを鳴らした
「はー…い…あおい…」
玄関が開いたそこにはキレてる葵唯の姿が
「……よぉ、怜哉?」
いつもより低音で葵唯の目が笑ってなかった
「…なんか用?これから寝るところなんやけど……」
怜哉は冷静そうに振る舞っていたが、内心ではビビっていた
「……ちょっとだけ、部屋上がらせて?」
そう言いながら葵唯は怜哉を押し戻して家の中に入る
「ちょちょっ!」
「……」
葵唯は無言で玄関の鍵を閉めて怜哉の方を振り向いた
「ちょ葵唯…なにしてんのや…」
「あんたさ、 俺が前に言ったこともう忘れた?」
徐々に怜哉に近づいていく
「…もちろんやで?!…もう柊斗の近くには…っ」
怜哉はそう言いながら後ずさりする
「……」
葵唯は怜哉を冷たく見つめる
「…ほ、ホンマや!…近づいてへん!!」
壁まで追い詰められた怜哉に葵唯は胸ぐらをした
「……んじゃなんで、柊斗の両手が縛った跡があんだ?え?」
そう言いながら怜哉を睨んだ
「知らん!俺はヤッてへん…っ!」
とシラを切るように怜哉が言った。しかし、怜哉の目つきはどこか怪しげであった。
「ふーん…?体で教えたのに…まだわかんなかったんだ?」
「……え?」
「次、やったらこんなんで済まないって言ったよね?俺」
葵唯はそう言うといきなり怜哉の顔を殴る
「ぐは…っ」
怜哉は葵唯に殴られてこの場で崩れ落ちる
「言ったよね?次はもうないって…」
崩れ落ちた怜哉を見下ろしながらそう言った
「……っ」
怜哉は口をつぐんだまま、葵唯を見つめた。
「ほんとに殺されたいんだねぇ…あれだけ言ったのに…」
そう言って蹲った玲哉に馬乗りしてあの時みたいに何回も殴る
「ほんとに、分かってないよね…怜哉」
「ぐはっ…ちょ…やめ…っ!」
ボコッと鈍い音が響び続ける
「…あの時、謝ったのにね、許したのに、なんでやるんかな?」
葵唯はニコッと笑いながら殴り続けた
「うっ……ちょ…あお…さ…やめ…」
怜哉は葵唯にされるがままになってた
「あの時にもうやめてたら…こんなことになってないと思うけど」
葵唯は殴るのを辞めてそう言った
「……ごめ…なさい…でも…諦められなかったんや…っ」
怜哉は涙を流しながらそう言った
「…は?諦められなかった?」
「…俺は…柊斗が好きなんやねん…っ!」
そう叫ぶ怜哉に葵唯は冷たくこう答えた
「……諦めな?こんなことしても、意味ねぇんだよ」
そう言いながら立ち上がる
「……っ」
「いい加減に分かれよ?次またしたら…殺す気でいるから」
葵唯はそう言い残してこの場を去った
「……はぁ、ホントなにしてんのやろ…。自分でもわかっとったのに…」
1人になった後、起き上がって壁にもたれかかって、髪をぐしゃにした。彼は心の中で、自分がこんなことしても意味ないと分かってたと、呟いた
ーーー怜哉の家の外にてー
「…はぁ、冷やす物買わなきゃ…」
葵唯は怜哉の家から出ると夜空を見上げて手を伸ばし、そう呟いた
「……さあて、さっさと買って柊斗のところに戻らないと」
そう言いながらドラッグストアに向かった
「これと、これと…これだな」
葵唯は考えながら、商品を選んでいった。そして会計を済ませて柊斗の家に向かった
「大丈夫かな、時間かかったけど…」
数分後…
「ただいまぁー…っと。柊斗帰ってきたよー」
葵唯は玄関を開けて部屋に行く
「…おそかったね…葵唯…」
元気なさそうにしてた柊斗に近づいて抱きつきながら
「あー、遠いところまで行っちゃった」
そう呟いた
「……やめて…葵唯」
柊斗はそう言いながら引き離そうとした
「ん?なんで?」
引き離そうとした柊斗に葵唯は阻止する
「……なんでも…」
柊斗はそう呟いた。その時、彼は葵唯の手の甲をチラッと見えた 
「手、冷やそ?柊斗」
「…それより…その手、どうしたの?」
そう言った柊斗は葵唯の手を指す
「あー…ちょっと…ね?」
葵唯はさっき買ってきたものを取りだして柊斗の手を冷やす
「……怜哉…のとこに行ったの…?」
恐る恐るそう呟くと…
「……」
葵唯は黙ってニコッと笑った
「…なぐ…ったの?」
「…ううん?ちょっとだけだよ?殴ったのは」
「……ごめんなさい…」
柊斗はいきなり涙を流した
「え?なんで泣くんだよ?大丈夫だよ!ね?」
葵唯は驚いて慌てて言い、柊斗を抱きしめた
「ごめんなさい…ごめんなさい…っ!」
柊斗はしばらく泣き続け、葵唯は彼の背中を優しく撫でながら、彼が泣き止むのを待った。
「…グズッ…グズッ…っ」
「大丈夫だよ。柊斗はなんも悪くないよ。」
葵唯はそう言いながら柊斗の目元をなぞる
「…でも俺…また…また…抵抗出来なかったんだよ…?」
涙目になりながら葵唯を見つめた
「……柊斗…」
そういった後葵唯は柊斗にキスした
「んっ……ちょっと…やめてよ…俺は汚いんだよ?」
「ううん、汚くないよ」
そう言いながら柊斗の顔を触りながらそう言った
「…俺は、嫌なの…」
柊斗はそういった後、葵唯の手を軽く叩く
「……じゃあ、別れるの?」
切なげな表情でそう言うと
柊斗は葵唯の問いかけに寂しそうにうなずき、そして
「……そうになる……」
と小さく答えた
「俺はやだな…何年も付き合ってきて…あいつのせいで別れるのは……俺は嫌」
「でも……汚れたんだよ?俺は」
また泣きそうになりながらも冷静に話してた
「上書きすればいい。何回も何回もね?」
そう言ったあと、葵唯は柊斗を押し倒した
「……っ、やめてよ……」
「上書きすればいい話だよ、柊斗。」
押し倒した柊斗の顔を触る
「……あお…い…」
ビクッと身体を震わせて見つめる
「ね?柊斗…」
葵唯は悲しそうに見つめる
「葵唯…泣かないでよ…」
そう言って、ゆっくりと葵唯の顔に手を伸ばし、そしてキスをした。
「んっ…。しゅうと…別れたくないんだよ…」
葵唯はそう告げると、柊斗にしがみついた。
「……あおい…」
柊斗は葵唯を強く抱きしめて
「そんな事言わないで…柊斗」
「……こんな俺でもいいの?ほんとに…」
柊斗は不安そうに尋ねた。
「俺はあんたしかいねぇんだよ…柊斗」
と真っ直ぐな目で見つめる
「葵唯が……いいなら…別れない」
そう言いながら柊斗は葵唯に見つめ返した
「…ほんとに?」
と葵唯は不安そうに尋ねた。
「もちろん。葵唯がいいなら……ね?」
と柊斗は優しく微笑んだ。
「しゅうと…っ!」
葵唯は安心したように微笑み返し、抱き締め返した
「葵唯…ごめんね…俺ほんとだめだね…」
「しゅうとはダメなんかじゃない…俺の大事な恋人なんだ!優しすぎるけど……」
「ごめんなさい…」
柊斗と葵唯は、互いに謝罪し、仲直りした。彼らは、お互いが大切な存在であることを再確認し、幸せな時間を過ごした。