お待たせしました!
お知らせしてた中編です!
小林由依×渡邉理佐
『気づかない、気づかれない』
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キーンコーンカンコーン
今「ゆいぽ〜ん!帰ろ〜!」
終業のチャイムと同時に私に向かってこう叫ぶのは親友の今泉佑唯。
でも、今日は...
由『ごめん、楽譜のコピー頼まれちゃって...』
私は吹奏楽部に所属していて、そこで楽譜係を任された。
楽譜係とは主に楽譜のコピー、製本を担当する。
お互い一人で帰るのは嫌だったけど、待っててもらうには遅くなりすぎてゆいちゃんに悪いからと先に帰ってもらうことにした。
佐「じゃあ小林さんはこれ、お願いね」
放課後、楽譜係のリーダーの詩織先輩の元へ行き、コピーする楽譜を受け取った私。
職員室前のコピー機は理佐先輩が使っていたので、先生に頼んで教員用のコピー室を使わせてもらった。
ガチャ...
コピー室の扉にかかったプレートを使用中に変えて、コピー室の電気をつける。
コピー室に着いて渡された楽譜を広げるとかなりの量があった。
由『はぁ...』
コピーをするのは2回目で、1回目は詩織先輩に教えてもらいながらだったため、1人でコピーをするのは初めてで失敗ばかり...
由『あぁ、また切れた...』
楽譜はA4よりも少し大きいためどうしても端が切れてコピーされてしまい、ミスコピーが机の上に積もっていく。
ガチャ...
由『...!?』
そんな時、急に扉が開き、理佐先輩が入ってきた。
理「ゆいちゃん終わった?」
由『まだです...理佐先輩は?』
理「私は終わった」
由『お疲れ様です』
楽譜係は自分の担当の分が終われば各自で勝手に帰って良いため、理佐先輩もてっきり帰ると思っていたら理佐先輩は椅子に腰掛けた。
理「ゆいちゃんどこまで終わった?」
由『まだ全然で...』
理佐先輩は机に積もったミスコピーに気づいたようで椅子から立ち上がり、私の元に来た。
理「楽譜、どこに置いてる?」
由『えと...ここ』
理「あぁー、そりゃ切れちゃうよ、ここだと大丈夫」
そう言いながら私の手に自分の手を重ねて楽譜を2センチほど横に移動させる理佐先輩。
ドクッドクッ...
それだけなのに私の胸の高鳴りは止まらなかった。
何で...
相手はただの先輩なのに...
由『すごい!!』
コピーされ、出てきた紙を見るなり私は驚いた。
楽譜は切れることなく綺麗に紙におさまっていたのだった。
理「まぁ、毎年楽譜係だからね〜」
由『すごいですね!ありがとうございます!』
先輩に教えてもらった場所でコピーをすると上手にコピーすることが出来た。
一生懸命コピーをしていた時、しばらく経ってふと気づいた。
それは、私がコピーしている横で椅子に座って何やら今日の学校で面白かった話をしている先輩のこと。
由『先輩帰らなくていいんですか?』
理「あ、私?私は全然、それよりゆいちゃん早く終わらせて帰ろ!」
由『あ、はい』
いいのかな?
そう思いながらもそれ以上聞くことはしなかった。
由『終わった〜!!』
そう言って大きく伸びをする私。
理「ゆいちゃんお疲れ様〜」
由『理佐先輩、ありがとうございました』
始めた頃オレンジ色だった空は終わった頃にはすっかり暗色に染まっていた。
パチンッ
由『きゃっ!?』
理「ごめんごめん」
いきなり理佐先輩が電気を消したため私は驚いて声を上げてしまった。
そんな先輩の後を追うようにして、アルトサックスの入ったケースを背負い、鞄を手にコピー室を出た。
コピー室を出た理佐先輩は靴箱ではなく階段に向かった。
待っているのもおかしいと思った私は先に帰ることにした。
でも、駅に着いてからも申し訳なさでいっぱいだった私は先輩にLINEをいれた。
由[待たせてしまったのに先に帰ってしまいすみません🙏💦最後の最後までありがとうございました🙇✨]
これでよし...と、
そう思ってカバンに入れた時、携帯が短く振動して、慌ててカバンから携帯を取り出す。
理[全然気にしないで、私が帰る用意してなかっただけだから笑]
理[今日はお疲れ様]
特に絵文字があった訳でも特別な言葉があった訳でもない。
なのに返事が来ただけで嬉しくて、その文面に温かさを感じた。
そう思ったのはなんでだろう...?
─続─