〜登場人物紹介〜

ユイデレラ→欅王国のお姫様 末っ子
アカネ→欅王国のお姫様 次女
フユカ→欅王国のお姫様 長女
小池→欅王国の召使い
葵→魔法使い
ゆい姫→隣国のお姫様
ラクダ



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昔々、欅王国には3人の美しいお姫様がいました。
そのお姫様にとって今日は年に一度の大切な日。


ア「今年も楽しみ!」
フ「今年こそ素敵な王子様と...!」


アカネとフユカがたくさん並んでいるドレスを真剣な眼差しで選んでいる中、部屋の隅で箒を手に掃除をしている娘がいました。


小「ユイデレラ様、早く舞踏会の用意をしてください。後は私にお任せ下さい」


ユ『.....あ、私行かないので...』


ア「小池〜早く行かないと遅れちゃう!」

ユ『小池さん、お姉様が待っています。私は大丈夫なので』


小池はユイデレラに向かって軽く頭を下げるとアカネ達の元へと向かっていった。








しばらくするとアカネ達を乗せた車は隣国に到着した。
その頃、ユイデレラはというとすっかり静かになった家で1人、黙々と掃除をしていた。




その時、ユイデレラは部屋の隅でキラリと光るものを発見した。


なんだろう...?


そう思ったユイデレラはそれを手に取った。



ユ『...ガラスの...靴?』



その時、突然眩い光に包まれ、ユイデレラは思わず目を瞑った。
恐る恐る目を開くと目の前にいたのは小さな女の子。



ユ『子ども...?』

?「子供じゃない!大人だもん!大人!」

ユ『小学生みたい...』

?「もう...!小学生じゃない〜!ユイデレラ!ユイデレラは舞踏会に行かなくていいの?」

ユ『...私は別に』

?「本当に?本当は行きたいんでしょ?」

ユ『...大丈夫を気取ってます...』

?「やっぱりー!あ、私の紹介が遅れたね、私は葵!あなたの願いを叶えてあげる!」

葵「行きたかったらその靴を履いて?」

ユイデレラは躊躇いながらもゆっくりとそのガラスの靴に足を入れると、またさっきと同じ光に包まれて、目を開けるとユイデレラは美しいドレスに包まれていた。


ユ『...綺麗...』

葵「あ!大変〜!もう時間がない!行くよ!」

ユ『え?どこに?』

葵「いいからついてきて!」








ユ『何...これ?』

葵に言われるがまま向かった先には見たこともないラクダの乗り物があった。

馬車なら聞いたことあるけど、ラクダって...

砂漠じゃあるまいし...

葵「早く乗って!」

ユ『は、はい...』

葵の勢いに圧倒されて反射的にそれに乗り込む。

ラ「可愛い娘さんを載せられるなんて幸せだな〜」

ユ『え、しゃべった!?...』

ラ「そうだよ〜私は喋れるんだよ」

葵「もう!ダニ!早く!」

ダニとはこのラクダの名前なのだろうか

葵が喝を入れるとさっきの口調からは想像もつかないようなスピードで走り出した。









葵「着いたよ!」

ユ『ここは?』

葵に着いたと言われて降りると目の前にそびえ立つのは立派なお城。

葵「ここで舞踏会が開かれてるんだよ!早く行きなよ!」

ユ『そうなんだ...でも、私は招待状が...』

葵「大丈夫、その靴があれば入れるから」

ユ『そうなの...?』

葵「うん!楽しんできてね!」

葵「あ!言うの忘れてた!12時の鐘が鳴ったら魔法が解けちゃうの!それまでにここに戻ってきてね!」


ユイデレラは葵に礼を言うと、恐る恐る城へと足を踏み入れる。

門番の方と目が合うと、その方はにっこりと微笑んでどうぞと手をお城の方へ向けた。


本当に入れちゃった...





中に入るとここは建物の中なのか疑うくらい広く、天井は高い。

豪華なシャンデリアの下で大勢の美しい男女が談笑している。

そんな中話す相手もいない私は隅の方に追いやられるようにただただ突っ立っている。

ここに確かに私は存在しているのに誰の目にも止まっていない
まるでの透明人間になったかのように...

なんとも言えない寂しさがユイデレラを襲った。

私なんかがこんなところに...

改めて場違いだと思い知らされる。

だから毎年招待状がこないわけだ。






そんな時、突然肩を叩かれた。


ゆ「はじめまして!まぁ素敵なドレス!あら、アナタなかなか可愛いじゃない!あなたの名前は?」

ユ『え?私?』

ゆ「あなた以外他に誰がいるのよ」

ユ『えっと、私はユイデレラ...あなたは?』

ゆ「嘘!やっぱりゆいちゃんはみんな可愛いのね!私の名前はゆい、あなたもゆいなのね!」

それから私達は色々な話し込んだ。
ゆいちゃんは隣国のお姫様らしく、ゆいちゃんは隣国のこと私は欅王国のことなどたくさんお互いのことについて話し合った。
その間だけはあっという間に時が過ぎていった。

「ゆい姫様ぁ〜〜」

ゆ『あら呼ばれちゃったわ、また後でゆっくりお話しましょう』

由「はい...!あ、いけない...」


時計を見ると間もなく0時私は急いで葵と別れた場所へと向かった。




葵「セーフっ!」

ユ『よかった〜』

葵「楽しめた?」

ユ『んー、普通ぐらい...』

葵「あれ?靴は?」

ユ『え!あ...』

葵「うっそぉ...んー、まぁとりあえず帰るか...」

ユ『ごめんなさい...どうしよ...』









__ルルルルル...

ア「ユイデレラ〜電話よ、電話」

家に着くや否やアカネお姉様に声をかけられる。


ユ『え?私に?』

電話なんていつぶりだろう...
いや、そもそも私に電話がきたことなんてあっただろうか...

ユイデレラは不思議に思いながらも受話器を耳にあてる。

ユ『もしもし...』

ゆ「あ!出てくれた!よかった〜!あのさ、忘れ物...してない?」

ユ『え?』

ゆ「靴!あの綺麗なガラスの靴」

ユ『持ってるの?どこかで失くしてしまって...困ってたの』

ゆ「よかった〜」

ユ『ゆいちゃんわざわざありがとう』

ゆ「大したことないって、だって友達でしょ?」

友達...

ゆいちゃんの声でその言葉で私の心は喜びに包み込んだ。


ゆ「また遊びに来てね」

ユ『もちろん!』



王子様と仲良くなるよりも友達ができたことに大満足のユイデレラでした。





─END─