『あ!理佐〜!』



付き合っていることをあまり知られたくないこともあって私達は学校から少し離れた公園の前でいつも待ち合わせをしている。

集めたノートを持って行くために職員室に寄った私はいつもよりもここにくるのが遅くなった。



『遅くなってごめん!』



私がそう言うと私の手はひんやりとしたものに包まれた。

冷えきった理佐の手が長い間ここで待っていたことを表していて申し訳ない気持ちになる。

手を繋いだまま私たちは歩き出した。







しばらく歩いていると

「葵」

『ん?』

「これ」

理佐が急に口を開いたかと思うと可愛いリボンでラッピングされた袋を差し出された。


『開けていいの?』


それを受け取り問いかけると理佐は小さく頷いた。

私はリボンを解いて中に入っているものを取り出す。



『あ!手袋!可愛い〜!』


「.....ホワイトデーだから」


普段から色々してくれる訳では無いけど、記念日や季節のイベントは覚えていて何かしらしてくれる理佐。
嬉しくて思わずピョンピョンと跳ねるように体が動く。







『理佐、実は私も...』


私はカバンから可愛らしい袋を取り出すと、それを理佐に渡した。


実は私も用意してたんだけどね...


『えへへ〜、被っちゃいました』


中身は理佐と同じ手袋。
理佐からのは赤色でうさぎ柄の、私から理佐へはグレーでニット素材のだった。


「いいよ、ありがと」


『理佐が素直だ〜!』



私があげた手袋を優しい表情で見つめる理佐。
そんな理佐を見ているだけで私まで幸せな気持ちになる。









『あ!』


私が急に大声を出したからかきょとん顔で私を見つめてくる理佐。


『ちょっと貸して〜』


私が理佐にあげた手袋の1つを自分の手にはめるともう1つを理佐の手に着け、理佐が私にくれた手袋の1つを自分の手にはめてからもう1つを理佐の手に着けた。


『じゃん!お揃い〜!ふふふっ!』


私はパッと両手を広げて理佐に見せた。

右手にはグレー、左手には赤色の手袋があった。



「...っこんなのバカップルじゃん」



口ではそう言っているものの理佐の白い頬が赤く染まっているのがわかった。


『嬉しいくせに〜』


「っ...うるっさい」


緩む頬を抑えきれないまま理佐を見つめているとポンッと優しく頭を叩かれた。






☆オマケ☆


『理佐〜!お待たせ!』

いつもの場所に行くと私を待つ理佐の姿があった。
その手には私がプレゼントしたグレーの手袋があった。


『じゃあ...はい!』


私が手袋を片方外して理佐に差し出すと理佐もまた片方を外して私に差し出す。


それから理佐と帰る時にはお互いの手袋を片方ずつ交換するのが恒例になりましたとさ。





─END