〜1組〜


─志田side─




閉会式が終わり、体育館から教室に戻って、制服に着替えながら話す。



平「ぴっぴ〜!お疲れ〜!」

志『...お疲れ』

平「今日のぴっぴはまた一段と冷たい〜せっかく優勝したのに...何かあった?」


さすが平手、いつもいるだけあって鋭い


志『特に何も』

平「絶対嘘だ〜何があったの?」
 

平手は私のの頬をつまみながら問い詰める。


志『んー、ひゃい...ひうから』

平「で?なになに?」


私がそういうとぱっと手を離し、大人しく座って小動物のような目でじっと私を見つめてくる。
 


志『理佐ってわかる?』

平「うん。隣の渡邉さんだよね。バレー現役の愛佳と張り合えるとか、バド部なのにすごいよね」

志『あー、理佐ね、バリバリのバレー経験者。しかも本当は私よりも上手かったし』

平「へ〜、やっぱそうだよね、そうじゃないとバレー部エースの愛佳となんて.....って何で知ってんの?」

志『中学までずっと同じだったから』

平「え?渡邉さんと?」

志『あ、言ってなかったっけ?』

平「いや、初耳」

志『昔から親同士が仲良くて、理佐と私も小さい頃からずっと仲良しで...でも、中三の時、親の転勤で理佐が転校して別れたんだけど、高校でまた再会できて...嬉しかったけど変わっててびっくりした』

平「そんなに違うの?」

志『うん、昔は髪も長くて、なんて言うか...うちと正反対で地味なやつだった。』

平「えぇー、想像つかない。でも、愛佳はその頃から派手だったんだ」

志『そのツッコミはいいから...でさ、高校で理佐と再開した時なんて言われたと思う?』

平「え、何?久しぶりとか?」

志『全然。はじめましてって』

平「え?ずっと知り合いだったんでしょ?なんで...」

志『わかんないんだよな....ふとこの時のこと思い出しちゃってね、暗い顔してたかも』


これ以上聞かれないようにと、私は体操服を手にロッカーに向かった。


本当はわかってる


理佐がなんで忘れたいのか、も...


なら、あの時の私の言葉も理佐はなかったことにするのかな...?



あーぁ、やっぱり私の想いは届かない








志『今の理佐も好きだけど...私は昔の理佐も好きなんだよな...』



私は窓の外を見つめながら無意識でそう呟いた。


慌ててなかったことにしようとしたが、それが平手の耳にはしっかり届いていたようで食いついてきた。



平「え!今、好きって...」

志「なっ、そういう意味じゃないしっ」

平「へぇぇ〜〜」



平手は私の髪からぴょこんと覗く大きな耳をつんつんと触ってくる。
多分真っ赤に染まっているのだろう。
自分でも耳に熱をもっているのがわかるくらいだから...



志『.....でも、いじめだけはやめてほしいな....』

平「なんでいじめって起こるんだろうね〜...」

志『今度こそ理佐を救ってあげられないかな...』

平「救う?ん?どういうこと?」

志『....理佐、中学の時いじめを受けてたんだ』

平「.....!!」


平手にこのことを話していいのか少々の躊躇いはあったものの、平手なら信用出来ると思った私は中学の時のことを話した。


中2の時、中1の頃、中1の中から唯一レギュラーに入っていた生徒と入れ替えで中2の中から唯一理佐はレギュラーに選ばれた。

正直、皆その中1でレギュラーに選ばれた子がそのまま選ばれると思っており、ましてやバレー部の中で1番目立たないくらい地味で静かな理佐が選ばれたため、皆驚いていた。

でも、放課後も最後まで1人残って練習もして、きちんと片付けもして、人一倍、いや誰よりも1番努力してたことを知っていた私は素直に納得もしたし、自分のことのように嬉しかった。


やっと理佐の努力が報われたんだ。


そして、それを監督もきちんと見ていてくれたんだ、と


なのに、そのことを知らずに選ばれた理佐のことを気に食わない同級生達が理佐の陰口を言い始めた。


「私の方が上手いのに」
「いや、あいつより上手いやつなんかほとんどだよ」
「あはははっ」


なんであいつが選ばれたのだ、と


その理由はすぐわかることになる。


三日後の近くの強豪校との練習試合。
そこで理佐は大活躍。


私はこれで理佐は認められると思った。


でも、先輩に褒められチヤホヤされる姿を見た同級生はますます理佐を気に入らなかった。


それから理佐に対するいじめはヒートアップした。



それでも理佐は努力をし続けた。



身体的なダメージと精神的なダメージが重なり、もう理佐はボロボロだった。


そんな時、理佐のお父さんの転勤が決まって理佐は転校していった。






志『私はこの時、ただ見てるだけだった。何もしてあげられなかった。』

平「でも、じゃあ、それならなんで渡辺さんに...」

志『実はさ.....見ちゃったんだ』

平「...え?」




私はぽつりぽつりと平手に話し始めた。


私は知ってる。


理佐が本当はいじめを楽しんでいるわけではないってこと。


自分が優位に立ってるって周りに見せておけば自分がいじめにあうことはないからね...





この間、見ちゃったんだ。




理佐が渡辺さんにお金を渡しているところ。







─続─