アメリカは、戦後どこで戦ったのか ― “世界の警察”と呼ばれた国の、1945年以後の戦争 ― | ミミカムdays!

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歴史探索・文明研究の記録

DOCUMENTARY SERIES
THIRD PERIOD – 7
 
アメリカは、戦後どこで戦ったのか
― “世界の警察”と呼ばれた国の、1945年以後の戦争 ―
第三期-6では、
1945年に世界が作った
「新しい平和」について見てきた。

国連。
拒否権。
経済制度。
同盟。
軍事力。
核抑止。

それらが組み合わさり、
第二次世界大戦のような
大国同士の世界戦争を防ぐ秩序が作られた。

しかし――
その秩序を支えるためには、
巨大な軍事力も必要だった。
1945年。

第二次世界大戦は終わった。

ドイツは敗北し、
日本も降伏した。

世界は、
「戦争が終わった」と思った。

しかし――
アメリカの軍事力まで、終わったわけではなかった。
アメリカ アメリカ アメリカ アメリカ

戦争が終われば、
巨大な軍隊は必要なくなる。

本来なら――
そう考えるのが自然だった。

実際、アメリカでは戦後、
大規模な復員と軍縮が進められた。

しかし同時に、
第二次世界大戦によって築かれた
巨大な軍事・兵站・技術の基盤は、
新しい国際環境の中で再編されていった。

そしてアメリカは――
世界規模で軍事力を運用できる国家として、
戦後世界に残った。
7
THE AMERICAN POWER AFTER 1945

第二次世界大戦

巨大な軍事力を構築

1945年・終戦

大規模な復員・軍縮

しかし――
軍事技術・核兵器・海軍・航空戦力・兵站能力

戦後の国際環境に合わせて再編

世界規模の軍事力を持つアメリカ

「戦争が終わった」ことと、
「戦争を支える国家能力が消えた」ことは、
同じではなかった。
第1章|第二次世界大戦が終わっても、アメリカの軍事力は終わらなかった
― なぜ「戦争のための国力」が平時にも残ったのか ―
第三期-6の最後で、
一つの問いが残った。

1945年の「新しい平和」を支えるために、
最も大きな軍事力を持っていた国は、どこだったのか。
アメリカ アメリカ アメリカ アメリカ
答えは――

アメリカだった。

しかし、ここで一つの疑問が生まれる。

第二次世界大戦は、
1945年に終わった。

ならば――
戦争のために築かれた巨大な軍事力も、
縮小していくはずではなかったのか。

■ 1945年、アメリカは軍事力を縮小した
第二次世界大戦中、
アメリカは空前の規模で軍事力を拡大した。

陸軍。
海軍。
航空戦力。
兵器産業。
世界規模の輸送網。
海外の基地。

しかし――

1945年に戦争が終わると、
大量の兵士が復員し、
戦時体制は急速に縮小していった。

つまり、
巨大な軍隊が、そのまま残ったわけではない。
しかし――
本当に重要だったのは、
「軍隊の人数」だけではなかった。

戦時中に築かれた、
軍事技術。
航空戦力。
海軍力。
兵站能力。
軍需産業。
世界各地へ展開できる能力。

こうした巨大な国家能力は、
戦争が終わった瞬間に
すべて消えたわけではなかった。
7
FROM WORLD WAR TO POSTWAR POWER
第二次世界大戦
巨大な軍事・産業基盤
1945年・終戦
復員・軍縮
しかし――
国家の軍事能力は残った

■ そして、世界そのものが変わった
第二次世界大戦によって、
世界の勢力関係も大きく変わった。

ドイツは敗北した。
日本も降伏した。

しかし――

戦争が終わった世界には、
新しい大国間競争が現れ始めていた。

アメリカとソ連。

第二次世界大戦では、
同じ側で戦った二つの大国が、
戦後には異なる安全保障上の利害を持つようになった。
7
つまり1945年は――

「戦争が終わった年」 であると同時に、

「新しい大国間競争が始まった年」 でもあった。
THE NEW POSTWAR POWER

第二次世界大戦

巨大な軍事力を構築

1945年・終戦

復員・軍縮

軍事能力は再編される

アメリカとソ連の対立

新しい安全保障の時代

戦争は終わった。

しかし――
戦争を支える国家能力まで、
消えたわけではなかった。

1945年。
第二次世界大戦は終わった。
 
しかし――
アメリカの巨大な軍事能力は、
新しい時代へ引き継がれていった。

では――
その巨大な軍事力は、
戦後世界のどこへ向かったのか。
 
次章では――
アメリカとソ連の対立が、
どのように世界各地の戦場へ
姿を変えていったのかを見ていこう。
第2章|冷戦は「戦争がなかった時代」ではなかった
― 超大国は直接ぶつからず、世界各地で対立した ―
第二次世界大戦が終わっても、
アメリカの巨大な軍事力が残ったことを見た。

そして1940年代後半。
その背景には、
ソ連との対立が現れた。

世界は――
新しい時代へ入っていった。
Berlin Berlin
1945年以降。

アメリカとソ連は、
第二次世界大戦のような
直接の全面戦争には進まなかった。

しかし――

世界から戦争が消えたわけではなかった。

■ 「冷戦」という言葉が隠してしまうもの
「冷戦」という言葉だけを聞くと、
戦争がなかった時代のようにも見える。

しかし実際には――

朝鮮。
ベトナム。
ラオス。
カンボジア。
中東。
アフリカ。
中南米。
アフガニスタン。

戦後の世界では、
戦争や武力介入、内戦、
そして大国が関与する紛争が続いた。

つまり――

「戦争がなくなった」のではなく、
大国同士の対立の形が変わった。
7 7
第二次世界大戦のように、
アメリカ軍とソ連軍が
正面から戦うのではない。

むしろ――

超大国同士の直接衝突を避けながら、
その対立が世界各地へ広がっていった。

■ 朝鮮半島で、冷戦は「熱い戦争」になった
その最初の大きな象徴の一つが、
朝鮮戦争だった。

1950年。
朝鮮半島で戦争が始まる。

アメリカを中心とする国連軍が韓国側を支援し、
中国人民志願軍が北朝鮮側に介入した。

ソ連も北朝鮮側を支援した。

こうして――

冷戦の対立は、
実際の戦場へ姿を現した。
northKorea northKorea northKorea northKorea
THE FIRST MAJOR HOT CONFLICT OF THE COLD WAR
冷戦
1950年
朝鮮半島で戦争
アメリカ・国連軍
中国・北朝鮮
超大国同士は直接全面戦争を避ける
地域の戦争が、
冷戦の最前線になる

■ ベトナムでは、さらに大きな戦争になった
その後、
冷戦の対立は東南アジアにも広がった。

ベトナムでは、
北ベトナムと南ベトナムの対立が激化し、
アメリカは南ベトナムを支援した。

やがてアメリカ軍は、
大規模な軍事介入を行う。

空からの爆撃。
地上部隊。
大量の兵站。

しかし――

アメリカの圧倒的な軍事力をもってしても、
戦争を思い通りに終わらせることはできなかった。
Vietnam Vietnam Vietnam Vietnam
ここで、
一つの事実が見えてくる。

アメリカとソ連の対立は、
ヨーロッパだけで完結していたわけではなかった。

冷戦の最前線は、
世界各地へ移っていった。

■ 戦争は、世界各地へ広がっていった
冷戦の時代、
対立は朝鮮半島やベトナムだけに限られなかった。

中東。
アフリカ。
中南米。
南アジア。
東南アジア。

それぞれの地域には、
異なる歴史と政治的事情があった。

そこへ――

アメリカとソ連を中心とする
大国間競争が重なっていった。


その結果、
地域紛争が冷戦構造と結びつくこともあった。
7
世界地図を広げてみる。

ヨーロッパでは、
東西がにらみ合っている。

しかし――

実際に戦闘が起きている場所は、
ヨーロッパの外にも広がっていた。

冷戦は、世界地図そのものを
対立の舞台へ変えていった。

■ 世界地図に現れた「軍事力の広がり」
戦後アメリカの軍事活動を、
地域と年代ごとに並べてみる。

すると――

その活動範囲が、
一つの地域に収まっていなかったことが見えてくる。


朝鮮半島。
東南アジア。
中東。
アフリカ。
中南米。

戦後の世界各地で、
軍事作戦や介入、支援などが行われた。
7
その広がりを可視化する資料の一つに、
「USA BOMBING LIST」
のような一覧型のビジュアルがある。

こうした資料には、
国や年代、「bombing」の定義などに
資料ごとの差異がある。

したがって、
一つの「確定した戦争一覧」としてではなく――

戦後アメリカの軍事活動が、
どれほど広い地域に及んだのかを考えるための資料


として見ることができる。
THE GLOBAL REACH OF THE COLD WAR

ヨーロッパ

アジア

中東

アフリカ

中南米

冷戦の対立は、
一つの地域には収まらなかった。

二つの超大国の対立は――

世界各地の現実と結びついていった。

■ 冷戦とは、何だったのか
ここまでを見ると――

「冷戦」という言葉の意味が、
少し違って見えてくる。

冷戦とは、
戦争がなくなった時代ではなかった。

むしろ――

超大国同士の直接戦争を避けながら、
その対立が世界各地へ広がった時代


だった。
THE COLD WAR PARADOX
アメリカとソ連が対立
核兵器による直接衝突のリスク
超大国同士の全面戦争を回避
しかし――
世界各地で紛争・介入・代理戦争
「冷たい戦争」と「熱い戦争」が
同時に存在する世界

1945年以降。
世界大戦は起きなかった。
 
しかし――
戦争がなくなったわけではなかった。
 
超大国は直接ぶつからない。
しかし、その対立は――
世界各地の戦場へ姿を変えて現れた。

つまり――
第二次世界大戦は終わった。
しかし、世界から戦争が消えたわけではなかった。
 
アメリカとソ連の対立は、
ヨーロッパだけではなく、
世界各地へ広がっていった。
 
では――
世界各地へ展開された
この巨大な軍事力は、
いったい何を意味していたのか。
 
「秩序を守る力」だったのか。
 
それとも――
「大国の影響力を広げる力」でもあったのか。
 
次章では――
同じ軍事力が、
なぜ「秩序」と「覇権」という
二つの異なる意味を持つようになったのかを見ていこう。
第3章|「世界の警察」という言葉の裏側
― 同じ軍事力が、「秩序」と「覇権」の二つに見えた ―
冷戦が、
「戦争がなくなった時代」ではなかったことを見た。

アメリカとソ連は、
直接の全面戦争を避けながら、
その対立を世界各地へ広げていった。

そして――
その世界的な対立の中で、
アメリカの巨大な軍事力が動いていた。
7
しかし、ここから見方を変える必要がある。

同じ軍事力でも――

それを見る人の立場によって、
その意味はまったく違って見える。

■ アメリカから見れば、それは「秩序を守る力」だった
冷戦期のアメリカには、
自らの軍事力を正当化する明確な論理があった。

共産主義の拡大を防ぐ。

同盟国を守る。

地域の安全保障を維持する。

自由主義陣営を防衛する。

つまり――

アメリカの軍事力は、
戦後の国際秩序を守るために必要な力だった。
7
THE AMERICAN VIEW
共産主義の拡大を防ぐ
同盟国を守る
地域の安全保障を維持する
自由主義陣営を防衛する
国際秩序を維持する

■ しかし、反対側から見れば景色が変わった
同じ軍事力を、
介入される側から見るとどうなるのか。

外国軍が国内に入る。

空爆が行われる。

特定の政権や勢力が支援される。

内戦に外部勢力が関与する。

その地域に住む人々から見れば、
それは必ずしも――

「世界秩序を守るための行動」

には見えない。

むしろ――

「外国の大国が、
自分たちの国の未来に介入している」


そう受け止められることもあった。
imageimage
ここで重要なのは、
どちらか一方だけを選ぶことではない。

同じ軍事力が――

「秩序を守る力」

にもなり、

「主権へ介入する力」

にもなった。

■ 一つの軍事行動に、二つの意味が生まれる
ONE ACTION, TWO MEANINGS

アメリカから見れば

秩序を守る

同盟国を守る

勢力拡大を防ぐ

VS

介入される側から見れば

外国の軍事介入

政治への干渉

自国の主権への圧力

同じ軍事力でも――

立場が変われば、
意味まで変わって見える。

■ そして、アメリカは「世界の警察」と呼ばれるようになった
世界各地に軍事力を展開し、
国際秩序の維持に関与するアメリカ。

その姿はやがて――

「世界の警察」

という言葉で表現されるようになった。
7
THE "WORLD POLICE" PARADOX
国際秩序を守る
同盟国を防衛する
地域紛争に介入する
「世界の警察」
しかし――
誰が「警察」を監督するのか?
国内の警察なら、
その警察自身にも法律が適用され、
監督する制度が存在する。

しかし国際社会には、
世界全体を上から監督する
単純な「上位の警察」は存在しない。

だから――

「秩序を守る力」を持つ大国が、
同時にその秩序そのものへ
大きな影響を与える。

■ アメリカは世界を守ったのか
ここで、
一つの大きな問いが現れる。

アメリカは――

本当に世界の秩序を守ったのか。

それとも――

自らに有利な世界を作ろうとしたのか。

この二つを、
完全に切り離して考えることはできない。
7
なぜなら――

一つの軍事行動が、

秩序を維持する効果

と同時に、

大国の影響力を拡大する効果

を持つこともあるからだ。
THE SAME POWER, DIFFERENT MEANING

アメリカ側

「秩序を守る」

介入された側

「主権への介入」

そして――

同じ一つの軍事行動

異なる立場

異なる意味

だから歴史を見るとき、
「秩序」か「覇権」かの
二択だけでは見えなくなるものがある。

■ 「秩序」と「覇権」は、完全に別物なのか
アメリカにとっては――

「自由主義陣営を守るための防衛」

だった行動が、

相手側から見れば――

「アメリカの影響力を広げる介入」

に見えることがある。

そして重要なのは、
この二つが必ずしも
完全な嘘と真実に分かれるわけではないことだ。
つまり――

秩序を守ること

自らの影響力を広げること

は、必ずしも同時に存在し得ないわけではない。

むしろ――

一つの力が、
その二つの性格を同時に持つ。

■ 「世界の警察」という言葉が残した問い
だから、
アメリカを単純に

「世界を守った国」

とも、

「世界を支配した国」

とも言い切れない。

見るべきなのは――

誰の立場から、
その軍事力を見ているのか。
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TWO PERSPECTIVES
アメリカ側
「秩序を守る」
介入された側
「主権への介入」
同じ軍事力
異なる立場
異なる意味

冷戦の時代。
アメリカは、
世界各地に軍事力を展開した。
 
それは――
「世界の秩序を守る力」
とも見ることができた。
 
しかし同時に――
「アメリカの影響力を世界へ及ぼす力」
とも見ることができた。

つまり――
同じ軍事力が、
「秩序」にも見え、
「覇権」にも見えた。
 
では――
その巨大な軍事力を、
アメリカはどうやって
維持することができたのか。
 
そこには――
軍隊だけではなく、
巨大な経済力、
世界最大級の工業力、
そしてそれを支える国家の構造があった。
 
次章では――
この「世界規模の軍事力」を可能にした、
アメリカの経済と産業の巨大さを見ていこう。
第4章|「もし、アメリカと対立したら?」
― 超大国の軍事力を見た世界は、どう自国を守ろうとしたのか ―
アメリカの軍事力が、
「秩序を守る力」にも、
「大国の影響力を広げる力」にも
見えたことを見た。

しかし――

ここで視点を、
アメリカから離してみよう。
もし――

自分の国が、
世界最大級の軍事力を持つ国と
対立することになったら。

外交だけで、
自国の安全を守れるのだろうか。

その国より弱い国は、
何を頼りに生き残ればいいのか。
7
■ 超大国の時代に、小国はどう生きるのか
1945年以降の世界では、
アメリカとソ連という
二つの超大国が巨大な軍事力を持つようになった。

その周囲には――

ヨーロッパ。
アジア。
中東。
アフリカ。
中南米。


それぞれの国が、
異なる歴史や政治的事情を抱えながら、
超大国が存在する世界を
生きなければならなかった。

そこで生まれたのが、
非常に現実的な問題だった。

「自国の安全を、どう守るのか?」
7
THE NEW SECURITY PROBLEM
超大国が巨大な軍事力を持つ
周辺国が脅威を感じる
自国の安全保障を考える
「自分の国をどう守るのか?」

■ 最初の答え――「自分も強くなる」
一つの答えは、
自国自身の軍事力を強化することだった。

軍隊を整備する。
兵器を増やす。
国境を守る。
防衛体制を整える。

つまり――

「相手が強いなら、
自分も弱いままではいられない」


という考え方である。

しかし、ここには限界があった。

超大国と同じ規模の軍事力を、
すべての国が持てるわけではない。

経済力も。
人口も。
工業力も違う。

そして――

軍事力を増やすことが、
必ずしも安全そのものを
保証するわけではなかった。
7
THE SECURITY DILEMMA
ある国が軍備を強化する
周辺国が警戒する
周辺国も軍備を強化する
互いの不安が高まる
安全のための軍備が、
新たな緊張を生む

■ もう一つの答え――「同盟」
自国だけで、
超大国に対抗するのが難しいなら――

他国と結びつく。

一国だけでは小さな力でも、
複数の国が協力すれば、
より大きな安全保障の枠組みを
作ることができる。

こうして戦後世界では、
一国だけで安全を考えるのではなく、
同盟によって安全を支える
という考え方が大きな意味を持つようになった。
7
FROM NATIONAL DEFENSE TO ALLIANCE
一国だけでは対抗できない
他国と協力する
同盟を結ぶ
より大きな軍事力を背景にする

■ 同盟は、安全を大きくした
同盟には、
一国だけでは持てない力を
補う意味があった。

自国の軍事力だけではなく、
同盟国の軍事力や経済力、
外交的な支援を背景にする。

つまり――

「一国で守る」から、
「複数の国で支える」へ。
THE POWER OF ALLIANCE

一国だけでは弱い

同盟を結ぶ

軍事力を補い合う

経済・外交でも協力する

自国だけでは持てない安全保障を作る

しかし――

同盟にも、
別の側面があった。

■ 「守ってもらう」ということの代償
同盟を結べば、
自国の安全を支える力は大きくなる。

しかし――

同時に、
自国の安全保障を
同盟国の判断に依存することにもなる。

もし、
同盟国が別の地域で危機に直面したら。

もし、
自国が望まない対立に
巻き込まれることになったら。

そして――

同盟の中心にいる大国そのものが、
巨大な軍事力を持っていたら。
安全を得るために、
大国と結びつく。

しかしその瞬間――

自国の安全は、
自国だけの問題ではなくなる。
日米 日米 日米 日米
THE DILEMMA OF ALLIANCE
自国だけでは弱い
同盟を結ぶ
大国の力を背景にする
安全保障が強化される
しかし――
大国の判断にも左右される

■ 軍事力と同盟、それでも残った問題
ここまでを見ると、
戦後世界の安全保障には
二つの大きな方法があった。

自分自身の軍事力を強くする。

そして――

同盟によって、
自国より大きな力を背景にする。


どちらも、
国家が生き残るための
現実的な手段だった。

しかし――

どちらを選んでも、
完全な保証にはならなかった。
THE LIMITS OF SECURITY

軍事力を強化する

相手との軍拡競争につながる可能性

VS

同盟を結ぶ

大国同士の対立に巻き込まれる可能性

どちらにも、
安全を支える力と、
新たな不安があった。

■ 「守る」だけでは、最後の問題が残った
軍事力。

同盟。

大国との関係。

それぞれに意味があった。

しかし――

どれほど備えても、
戦争そのものを完全に遠ざけられるとは限らない。
もし、自国よりはるかに強い国が、
本気で攻撃を決断したら。

自国の軍事力だけで、
その攻撃を止められるのか。

同盟国は、
本当に最後まで支援してくれるのか。

そして――

戦争が始まってから守るだけで、
本当に十分なのか。
では――

安全保障には、
まだ別の方法があるのではないか。

超大国が、
巨大な軍事力を持つ。
 
その力を見た世界は、
自国の安全を考え始めた。
 
軍事力を強化する。
同盟を結ぶ。
大国の力を背景にする。
 
しかし――
それでも、
完全な安全の保証はなかった。

戦後世界が直面したのは、
「どうすれば戦争に勝てるのか」
という問題だけではなかった。
 
むしろ――
「どうすれば、
強大な国から自国を守れるのか」
という問題だった。
 
軍事力。
同盟。
大国との関係。
 
どれも必要だった。
しかし――
それでも、答えは完全ではなかった。
 
そして世界は、
もう一つの発想へ向かうことになる。
第5章|「大国を倒すため」ではなく、「大国に倒されないため」
― 世界は、「攻撃させない力」を求め始めた ―
超大国の軍事力を前に、
世界が自国を守るために
軍事力を強化し、同盟を結び、
大国の力を背景にしたことを見た。

しかし――

それでも、完全な安全の保証はなかった。
7
では――

「守る」だけではなく、
そもそも「攻撃させない」ことは
できないのだろうか。

■ 「守る」から、「攻撃させない」へ
戦争が始まってから守る。

それでは、
都市も、人命も、社会も
すでに大きな被害を受けてしまう。

だから安全保障は、
もう一段階先へ進む。

「攻撃されたら、どう守るか」 ではなく――

「そもそも、攻撃させないにはどうするか」 という発想である。
7
FROM DEFENSE TO DETERRENCE
攻撃されたら、守る
軍事力・同盟で備える
しかし――
攻撃そのものを思いとどまらせる

■ 1945年――「その力」が現れた
相手に、
「攻撃すれば、自分も無傷では済まない」
と思わせるには、
それだけの破壊力が必要だった。

1945年、
人類はその答えを目の前にした。

広島。
そして長崎。


一つの都市を一瞬にして
壊滅させるほどの破壊力。

核兵器は、
単なる新兵器ではなく、
「戦争を始める前の計算」 そのものを変える可能性を持っていた。
7
もし――

その兵器を、
相手も持っていたら。

攻撃すれば、
自分も壊滅的な損害を受ける。


その認識が、
相手の判断を止めるとしたら――

■ 核兵器は、「大国に勝つ」ためだけの力ではなかった
1949年、
ソ連が核実験に成功する。

核兵器を持つ国は、
一つではなくなった。

そして世界は、
新しい安全保障の論理に直面する。

相手を軍事的に打ち破れなくても――

「攻撃すれば、自分も無視できない損害を受ける」

と認識させることができれば、
相手の攻撃を思いとどまらせられる。

つまり――

大国に勝てる力ではなく、
大国に攻撃させない力。
7
THE NEW LOGIC OF SECURITY

攻撃すれば

相手からも重大な反撃を受ける

勝っても、代償が大きすぎる

だから、攻撃しない

これが――

「抑止」

という、新しい安全保障の考え方だった。

■ しかし――「攻撃させない力」には矛盾があった
一国が核兵器を持てば、
相手から攻撃されにくくなる。

しかし相手から見れば――

その核兵器こそ、新しい脅威になる。

だから相手も核を持つ。

すると、さらに相手の脅威が増える。

こうして――

安全を求める行動そのものが、
相手の不安を生み出す。
7
THE NUCLEAR PARADOX
攻撃されないために核を持つ
相手も核を持つ
互いに報復能力を維持する
攻撃すれば、双方が甚大な被害
だから、攻撃できない
しかし――
世界は、かつてない破壊力を抱える

1945年。
人類は、核兵器を手にした。
 
その数年後――
核兵器を持つ国は、
一つではなくなった。
 
そして世界は、
一つの新しい現実に入った。
 
「攻撃する力」が、
「攻撃させない力」になる。

しかし――
その「攻撃させない力」は、
世界を完全に安全にしたわけではなかった。
 
戦争を防ぐために、
戦争そのものを想定し続ける。
 
その奇妙な均衡の中で、
核時代の安全保障は始まった。
 
そして――
第三期-7 終
 
第三期-8では――

「攻撃させない」という考え方は、
どのように国家の安全保障へ
組み込まれていったのか。


抑止という「考え方」が、
どのような「仕組み」へ変わったのか。