肝だめし | アメリカでしのぐウエイトレスのブログ

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バカヤロー!って叫びたいときだってあるんです…。

寒くなってくると、家のなかに勝手に入ってくる迷惑なヤツ。





それも、食べ物目当てにやってくるといった感じではない。

部屋の隅っこを歩いているアリを、一匹、二匹、とたどっていくと、無意味な場所に、どやーっと大量発生していたりする。そんなふうに、我が家も数度被害にあったが、どうやらLAのアリさん、食べ物目当てに部屋に入ってくる、というよりは、暖かい場所を求めてやってくるのではないか、と感じる。


アリって、夏の間せっせと働いて、やってくる冬のためにエサを蓄えるんじゃなかったのか。真冬、ボロボロのキリギリスに、エサを分け与えてあげるんじゃなかったのか。

LAの太陽にやられて、一年中へらへら遊んでるのか、アリ。寒くなったからって、人ん家勝手に上がってくるなんて、ムシがよすぎるぞ。




どこからでも侵入してくるアリは、レストランでも悩みのタネだ。

食欲を失うような話で申し訳ないが、あるスシレストランでは、ネタケースを襲撃された。


朝、一番手で店に入ってきたスシマン。見慣れたはずのスシネタケースが、黒くかすんで見えたそうだ。(((゜д゜;)))

近づいてみたら、ネタケースに隙間のないほどアリが群がっていたそうで。

((>д<))


もちろんケースには一切れの魚も入っていなかった。

この日、このレストランはアリ退治と大掃除のため、半日店を閉めた。



私もときどき、職場でアリを見かけることがある。関節がおそろしく柔らかいのか、ちょっと丸めただけじゃ復活の恐れがあるので、見つけ次第、セロハンテープで固定しゴミ箱行き。


ちなみに我が家では、アリ退治に、カーペットのペットや髪の毛の抜け毛掃除用、コロコロ粘着テープを使用。行列にはコロコロっと、溜まり場には、ちぎってペタペタと、殺虫剤を使いたくない場所などに重宝する。




あるとき、職場で客のお茶を差し替えている最中に、前方9時の方向にアリ発見。(゚д゚;)

黒いカウンタートップのスシバーの上をフラフラと歩き、3時の方向へと直進中。


ヤバい、とスシバーの客の注意をそらしつつ、ヤツの通り道にそっと、だが力を込めて人差し指を置いてみた。

が、敵は器用に私の指をすり抜けて、前進。あとすこしで、客の白いサラダの皿の上に到着予定。


おい、オマエ。ちょっとは遠慮ってもんがあるだろう。

いくらオマエの通り道に、白い皿があるからっていって、それをよけて遠回りするってのが、人の道ってものじゃないか。って、オマエに言ってもムダか…。orz


敵は、挑発するようにときどき左右に進路を変えつつも、着実にサラダの皿に近づいている。


左手に急須を持ち、客との会話もしどろもどろに、右手の人差し指は、敵を退治しそこねて、スシバーのカウンターの無意味な場所を指したままの私。


もう、客の顔もまともに見ることができないが、客の視線は、私の視線の先にあるらしい。

そこには、すでに皿の上に攻め入り、レタスを侵略しようとしている、アリの姿が。


まずい。

客の機嫌が悪ければ、保健所に駆け込まれるかもしれない。だいたい、こんな時間に1人でスシバーで飲んでるなんて、奥さんとケンカしたに違いない。機嫌が悪いに違いない。明日、保健所が来る。


そんなことされるくらいなら、明日は臨時休業だ。

やったー!何して遊ぼ。ヽ(゚◇゚ )ノ

じゃなくて…、最悪の場合、訴えられるぞ。(-"-;A


もう一度、抹殺に挑戦してみるか。イヤ、無理だ。敵はすでに皿のなか。

客の気をそらして、客のサラダに指をつっこむウエイトレスが、どこの世界にいる。orz


もう観念するしかない。



お、お客様。申し訳ありません。皿の上にアリが…。今すぐ、新しいものとお取替えしますので。(;^_^A

キッチンで熱湯ぶっかけてやる、と、サラダの皿に手をのばした私を、客は制した。


いいって。問題ないよ。(*^ー^)ノ


問題おおありだろ、本来。なんて、いい人なんだ。これから奥さんと仲直りデートか?



だって…。(・∀・)


だって…?(;^_^A



ここはスシレストランだよ。オレは生魚を食べに来たんだ。アリくらい、たいした問題じゃない。

そう思わないかい?o(^▽^)o



そう思わないかい?って、



思わねーよ。((o(-゛-;)




怒られなかったのも、保健所に駆け込まれなかったのも、訴えられなかったのも、不幸中の幸い、といったところだが、



アリとスシにどういう関係が?


ゲテモノ食う感覚で、スシ屋に来てるってワケ?┐( ̄ヘ ̄)┌



すべてのアメリカ人がこうとは言わないが、大なり小なり、似たような感覚を持ってる輩が多いんじゃなかろうか、と、これまでのウエイトレス人生の中での、人種差別的な不快体験とのつじつまを合わせてみたりした。



サラダの中への侵入を試みたアリは、目の前をドレッシングの海に阻まれて皿の外へと退散し、何事もなかったかのように、スシバーの隅っこを3時の方向に消えていった。



そのまま、ドレッシングの海で命を落とせばよかったのに。

客が、それを食べるのか、スシを食べるのと同じ顔で食べるのか。


私は、見届けたかった。