知りたくなかった悲痛な事実を突き付けられた今日。
彼は、もうとっくに実家から東京に帰ってきていた。
東京の彼の自宅から程ない距離の飲み屋で、
私たちが別れたことを良く知る共通の知り合いたちと
飲み会を開き、私も繋がっているSNS上にアップしていた。
つまり、
「帰ってきていてお前とは会わないけれど、他の人とは楽しんでる。
この意味わかるよな?空気読めよ、直接は言ってやらないけど、感じ取れよ」
ということ。
彼の自宅は、電気代請求の緑色の封筒が角を見せていて
積もり積もった封書で溢れかえるポストからも、
彼がそこへ寄り付いていないことが分かった。
私から、避難して、友だちに匿ってもらっているということ。
そこまで拒絶するほどに、私は嫌われていて、疎まれている?
一緒に病気を治そうと、提案したことはそんなにだめなことだったのだろうか?
2年間その苦しみを分かち合ってきたことも、
彼が誰にも見せられない精神疾患について私だけが知ることを、
私は一生抱えて、彼の周りからは闇に葬り去れと、そういうこと?
そんなのは、あんまりだ。
私にだけ、この業を背負えというの?
彼がまた、いつ何時おかしくなるかもしれないことをわかっていて、
誰にも言わず、彼の自尊心を守り続けて、無言の苦しみに耐え、
そして自分は私のことをお互いの友人の間で酒の肴にして
それで万事良好と、そういうこと?
きっと彼は、今友人宅に身を寄せていて、もうしばらく自宅には寄り付かないだろう。
そして、友人のパソコンからSNSを開き、これ見よがしに当てつけて、
そして私の思いの丈を込めたメールをともに鼻で笑っているのだろうか。
ならばどうして、
「会えたなら優しい表情で」
「君の笑顔が大好きだ」
「君の為に別れたい」
なんて言ったの?
こんな仕打ちをするほど嫌いで仕方のない相手に、
なぜそんな尾を引かせるようなことを言ったりしたの?
だから待っていた。
彼の最後の優しさが、私にとってのけじめの瞬間を与えてくれると信じていた。
だけど、こんなことって。
彼が、あのどこまでも優しかった彼が、人を傷つけるための行為を
何度も何度も繰り返して、
私の息もできないくらいつらい状況を楽しんでいたなんて。
そんな人になってしまったなんて。
そんな人に、私がしてしまったの?
彼の中に、こんなにも怨恨込めた人物を創り出してしまったのは私自身なの?
そんな存在ならば、私に生きている価値なんてあるのだろうか。
人をそんなにも苦しめる、この私は。
ずっと、罪悪感に苛まれている。
2年間苦しめただけだったから、今こんなにも拒絶されているんだとしか思えないから。
自分が、そんな負の感情を彼に持たせる存在でしかないから。
もう二度と会いたくないと、心から思うような相手として、彼を縛りつけてしまったから。
すべて、
すべて、
もう痛くて。
一番大切な人に、愛する人に、この裏切りを受けたことが、ただただ苦しい。
彼が私に会うまでの二十何年間抱えてきたという罪悪感・自己嫌悪・自己否定の苦しみを、
私の余生で引き受けろということなのだろうか。
自分が一番忌み嫌っていた自分自身と同じ人間に、私をしようというのか。
そういう人間を、世に輩出しようというのか。
他でもない、その苦しみをもっともよく知る彼その人が。
私にとって、これは一生のトラウマになる。
自分を愛せない、認められない原因になる。
人を、貶めてしまったと。
清らかだったあの人の心を、黒く、塗りつぶしてしまったと。
一生、この十字架を背負って、
彼と同じ人生を、今度は私が、歩んでいくことになる。
そう、彼に宣告された。
今日、という日。