ずっと何かを忘れている気がしていた。

でも、それが何なのか、思い出せずにいた。


探しても見つからなくて、

気づかないふりをしているうちに、

その感覚さえ、どこかに溶けていった。


けれどある日、風の音にふと足をとめたとき、

静かな光にふれたとき、その「なにか」がそばにいたことを知った。


思い出そうとしなくても、

思い出せなかったものは、

ずっと、ここにいた。


それは、言葉よりも前にいて、

ただ、気づかれるのを待っていた。