休憩時間には、ロビーに出て缶コーヒーを飲んでいました。

 

寝てる人いませんか?とかチラッと守也さんがMCで言っていたけど、普通なら眠くなる人もいるのかもしれないタイプのコンサート。ずっと演奏が続くから。ただ、この日はマニアの集いですし。守也さんがレコーディングした場所でベーゼンが聴きたくて全国からファンが集結しているんですよ。眠くならなかったけど、念のためカフェイン補給。最後まで集中したいから。

 





演奏前に、空調のスイッチが切られ、しーーーーーーーーーーーんとした空間になります。守也さんが出てきて弾き始める。

 

アルバム2曲目「いつかの空」から演奏開始。きょうは即興はしないといっていたけれど、少しだけイントロが違いましたね。それも素敵。時間が長くなりすぎるのでいくつか曲をカットしているそうなのですが、アルバム1曲目「カルーセル」をカットしたのは比較的あちこちで演奏されているからでしょうか。「いつかの空」なんともいえない切ない感じなんですよね。暗いんだけど優しい、憂いがあるけど力強い。

この感じに浸るのがいいんです。守也さんのコンサートは。

 

菜の花畑を描いた「COLZA」。はじめて聞いたときに「ベートーヴェンだ」と思ったけど、やっぱりホールで聴いてもそう思った。守也さんの中にあるベートヴェンみたいな部分が出た曲。クラシカルな響きがホールとの相性抜群。

 

そこから「SHINE」。こちらは美しい中にも悲しみや痛みを秘めていて、このホールとの相性が素晴らしい。前半の音が少ない部分、ひとつぶひとつぶが広がっていく様子。後半の左手の分散和音が溶け合ってうねりのよう。

 

 

アルバムも後半に入ります。minamo ・・・SHINEの最後の音が「シ」。ホ短調の音階第5音。同じシの音で始まるminamo。なんという、スムーズな流れ・・・アルバム1枚がひとつのストーリーになっていることを実感します。minamoは

SHINEとは全然違うハ長調で、その中の「シ」。曲のイメージは相模湖ではなくて別の湖だったようですが、相模湖でのコンサートのイメージテーマ的な曲といってもいいかも。静かな伴奏パターンに、きらめく水面のように右手がうつろう。この日いちばん美しさが冴えわたっていた曲のひとつがminamo だったと思います。

 

 

ちょっとだけ歌謡曲みたいなCITY BLUE。ここで聴くとあまり歌謡曲っぽくなくてヨーロピアンエレガンスみたいな・・・憂いを帯びたメロディが沁みます。

 

分散和音が美しく華やかな「風花」「花灯り」。満開の夜桜が咲いたように音がホールに充満していて、思わず天井を仰ぎ、音を深呼吸して吸い込みました。充満する響きの海に浮かんでいんでいるかのよう。「IN THE RAIN」も、左手が駆け巡って和音を鳴らし、激流のように響きが流れていきます。

 

 SHINRAからBANDIDOへ。アルバム終盤のクライマックスです。SHINRAの出だし、楽譜には「p」と書いてありますが、この流れで来たら、弱くする感じじゃない。充満する響きの海を全力で保ち続ける守也さん。たったひとりで2時間半この世界を作り上げて・・・・こちらも、かなり、満足してきました。たっぷりと音を浴びました。温泉で長くあたたまったからそろそろ出てもいいかなぐらいの感じ。このコンサートは音の温泉だったのか?たぶんそう。

 

最後は「一本道」。やはりぶわっとピアノは鳴っていました。満足!!!

 

アンコールは「On y va!」。弾き始めたらなんだか大ホールでオーケストラアレンジで聴いたみたいな音。リズムを刻むタイプの曲はあまり今回弾いていないので、響きがまた感じが変わって「おおっ」と思いました。次回はこういうリズムの激しい曲も、もっと入れても面白いかも。あと、野暮天ブルースもこのホールでまた聴いてみたい・・・

 

 



とにかく満足。またすぐに聴きたい・・・まあ相模湖ですぐにまたやるってわけにもいかないんでしょうけど。こういうのが聴きたいという欲がとことん満たされてスッキリとしました。

 

守也さんのコンサートに行くと、ピアノってこんな音がしたんだ、と驚くことがよくあります。また今回も驚きの連続でした。響きの海に温泉に入るがごとく浸かるあの感覚。贅沢過ぎです・・・・

 



 コンサートが終わって、駅まで歩く間も、相模湖は空気がいいですね。素敵な余韻を楽しめました。高尾からトンネルを抜けて、緑に包まれた駅に降り立つ時間も全てコンサートの日の素敵な思い出の1部になっています。


今も目を閉じると、コンサートの空気が蘇ってきます。

聴いたことないぐらいの音圧。

響きが天井から降ってきて

響きの海に浮いているような時間。

終わったら、スッキリと疲れが浄化された感。