2024年6月22日、斎藤守也ソロピアノコンサート「minamo」相模湖交流センター ラックスマンホール
 



ソロアルバムを録音したホールです。
 
八王子を過ぎて高尾から中央本線で山梨方面へ一駅だけど、10分間駅がない。トンネルをいくつも抜けて、山梨に入る前に相模湖があります。相模原市なので、うちから車でも40分ぐらいで着くところですが、電車で行きました。このホールは音が良いので有名。ただ、相模湖の駅から10分程度で歩けるものの、高尾から相模湖までは電車が30分に1回程度で、ちょっと不便な場所でコンサートの回数はそれほど多くないため、レコーディングに使われることが多いのです。
 
ホールにあるピアノは、ベーゼンドルファーModel275。
インペリアルより少し小さいですが、充分な大きさ。
守也さんのソロアルバム『Monologue』(2018)『STORIES』2020)は、どちらもここで録音されました。
 
2年前にもこのホールでのコンサートがあって、アルバムの音そのままで衝撃的な経験。忘れられない感動・・・そしてついに再び相模湖に集える日がやってきたというわけです。
 



ピアノの場所が、ホールの90度になっている角を背にしています。東京文化会館の小ホールみたい。普通は長方形を並行に区切ってステージにしますけど、音の良さでこの配置なんだそうです。
 
アルバム『モノローグ』冒頭の〈モノローグA〉が始まり、続けて〈ノスタルジー〉。別の世界が出現してそこに入っていくような感じです。ずっとこのホールで守也さんが弾くベーゼンのこの音を求めていた。やっと聴けた‥‥。やっと。

一度聴いてしまうと、どうしてもまた聴きたい、もっと聴きたいと思ってしまう。この音があれば、もう、何もいらない。何なんですかね、この麻薬的な魅力は。

分散和音をひとつひとつ弾いているけれど、すごく響くので、音が交じり合って和音になってハーモニーになって。でもひとつひとつの音はスッキリしていて。

すべての音の粒子が、自分の内側を静かに満たしてくれる。倍音の鳴り方など、守也さんの弾く音には、何かがあるんだと思います。
 



〈FLOW〉はいろいろな場所で何度も聞いていますが、ここで聴くと、すごく力強くてカラフル。こんな曲だったんだ‥‥。〈小さき花の詩〉は、すごく響いて、静かに弾いているけれど、力強い。〈SNOW〉は響きが共鳴して透明感や流れがありました。〈PHOTO ALBUM〉も、ここで聴くと、豊かに共鳴する音がピアノ1台とは思えない不思議なスケール感。
 
オスティナート伴奏でミステリアスな〈GYRO〉の途中から、ピアノの鳴りが一段階ボリュームアップして「ええっ?」と驚くほどの音に。ぶわっと!!
凄くない? この音量‥‥!!!
ピアノが鳴ってる!!!

続く〈CHASE〉〈OROSHI〉もピアノの鳴りがものすごく、迫力満点でした。前半は抑えていたのでしょうか。前半ラストの〈猫のステップ〉はチャーミングな旋律がくっきりと浮かび上がって本当に癒される音。
 
ここで休憩。MCはほとんどなし。弾いている姿もあまり見えないので、ひたすら音に集中、客席の身動きするガサゴソ音もなく、手拍子もなし、聴く側の集中も凄くて、これはありがたかった。こういうふうに聴きたいんです、私は。マニアだ‥‥(笑)

休憩時間になったら空調がすごい勢いで入って、ああ、止めていたんだと思いました。暑さもたいしたことなかったので止まっていても平気でした。空調の音もない静寂の中で思う存分守也さんの音を聴く。これを求めてたのよ‥‥。

満足感に浸りつつ後半へ。(つづく)