夢物語 | ちょっとつぶやき

ちょっとつぶやき

徒然に書き綴っております

橙の月が
半月にもなれず
満月にもなれず
霞みかかってぼんやりと
浮かび上がっている

桜の花弁が ふわりふわりと舞い降りては
大地で消えてゆく

その下で ボロボロの着物を着た男が立っていた

柊は 唸り声を出しながら問うた

「屋敷になんの御用でしょう…」
きつく光る瞳で男を睨みつける

「主にお話がある お目通り願う」
下を向いたまま 男は答えた

「突然の御訪問 母様はお好きではないゆえ」
柊は 丁寧に断りを申し出た

パタパタと走る音が聴こえると
鶫が 笑って柊に耳打ちをした

柊は 頷くと
「母様が 御約束をうっかり伝え忘れたようです
失礼致しました
ささ お入り下さいませ」

「心配りかたじけない」
男は そう言うと唱え 着物を一新した
男は 柊の後をするりするりと進む

鶫は その後ろ姿を見ながら
笑っていた