母には、あまり褒められない癖がある。


ドアやふすまを最後まできっちりと閉めないのだ。母が通過した後は、たいてい、2~3㎝隙間を残して、開いている。まだ私が実家にいた頃は、それが気に入らなくて、よく「ちょっとー、ちゃんとしめてよぉ」と文句を言っていた。


でも、今、なんと、この私にも・・・・同じ癖が!!


この癖、母も私も、小さい頃からの癖ではない。二人とも、この癖が身についてしまったのは、そう、子を産んでからだ。


むずかる子に添い寝して、歌を聴かせたり本を読んだり、背中をさすったり、そうしてやっと寝付いた・・・、そぅっと立って、足をしのばせ、ふすまを閉める・・・・・「ピシッ」・・・・・・・子:ぱちっ(目を開ける)。「うゎーん」・・・・・・あー、起きちゃった。もう一度やり直し。ぐすん。


なんてことが日常だったから、だんだん、ふすまやドアを閉めたときの、「かちっ」とか「ぴしっ」という音に恐怖感を覚えるようになってしまって。気がついたら、最後まできちんと閉めないで隙間を残すのが、癖になってしまった。既に子は成長してしまっているのに、こういう癖は、なかなか直らない。


母に言ったら、「そうでしょー。わかるわかる。私もそうなのよ。あんたたち、ねてくれなくてさー」って言ってた。


もちろん、子供には個人差があって、どんなに物音を立てても、ぐっすり眠って起きない、大物なお子様もいるし、一様ではないけれど。


で、朝ドラ「ちりとてちん」大好きなんだけど、こんなシーンがあった。


喜代美が妊娠したのが分かって、糸子さんが、手伝いに行く。

「今日はお母ちゃんが、ご飯を作るから、あんたは寝ときなさい」といって、夕飯の支度をする。

喜代美は、「今は食べたくない」といい、糸子の作った茶色いおかずの夕食をながめつつ、夫の草々の稽古する落語の声を聞きつつ、お腹をなでながら、幸せそうな顔をして眠りにつく。(このシーン大好き。涙がなぜか出てきちゃう。)


喜代美が眠ってしまった頃、糸子がそばに来て、夕食にラップをかける。このとき、ラップを切る「ぴりっ」という音を立てないように、そうっと切る。

このシーンがねぇ。ああ、分かるよ、その気持ち。こんなに大きくなった娘でもね、起こしちゃいけない、ってもう、これは母親の条件反射的な行動なんだよね。うんうん。なんて、いたく共感できちゃって。


こんな、心理、よく表現できるよなあこのドラマは。わかってるよ、こころの機微が。なんて生意気に思ってました。


これは、演出なんですかねえ、それとも和久井さんの演技なのか、それともそこまで脚本に書いてあったのか。いずれにしても、こんな母親の心理までよく描けているなあと。


まあ、「ちりとて」は、こういう場面のオンパレードで。

本当に希有なドラマだったなあ。