桜が咲いて散り、
長雨がやがて開け、
降るような蝉しぐれが終わり、
雪が大地を真っ白に覆い。
あれから一年が巡りました。
あまりに多くの命を飲み込んで、
あまりに多くの日常を破壊した、たった数分の揺れ。
津波が引いた後の光景は、空襲の後のようだった。
高熱を出していた太郎を抱えて非難し、
水浸しになった床を余震に怯えながら掃除した。
ガソリンを入れることが難しくなり、
スーパーもコンビニも、どこにいっても棚が空っぽで、
病院は救急以外は外来を断られた。
あれから一年。
こっちはもうすっかり元通りになってる。
でも、あの日を忘れてる人はとても少ないと思う。
いつもいつも心を裂いてるワケじゃなくても、
ふとした時に何度も、とめどなく蘇る。
震災前と今で変わったことはたくさんある。
食品の買い物に気を使うようになったこと。
幼稚園や学校、公園が次々に除せんされて、
重機や白い袋に入った土をよく目にするようになったこと。
出掛けるとき、その行き先に東北を選ばなくなったこと。
初めて海に行かなかった夏。
大洗に必ず毎年行ってた。
ブイの手前の「魚の道」みたいなラインが大好きだった。
飽きずに何時間も浮いてたよ。
復興はきっと、まだとても遠い。
少しずつ少しずつ、進んでいるんだろうけど、
一年経っても変化は乏しい。
来年の今日、再来年の今日、十年後の今日に。
違うことが、言えるといい。
もう少しかなって。
言えるといいな。
亡くなられた全ての方のご冥福を謹んでお祈り致します。
行方不明の方の所在が、1日も早く明らかになることを心より祈っています。
黙祷。