この小説が刊行された2023年、娘は小学5年生でした。
辻村深月さんの小説を、私はいろいろ、娘は『かがみの孤城』を読んでいました。
この本も「面白そう!」とは思ったのですが、読むのにかなりエネルギーが要りそうで、その年は手に取らずにいました。
最近、きちんと読む機会があり「この夏」が「あの夏」=新型コロナ禍の最初の夏である2020年の夏だったことを今更知りました。
あの年、2020年。
私が直接に新型コロナの影響を受けたのは、2月の末。
当時の安倍首相が突如、全国一斉休校を発表したときでした。
保育園から小学校に入学し、学童保育にも慣れて、ようやく2年生を迎えようという時期で、保育園のママ友LINEが大騒ぎ
になってことを覚えています。
それから、緊急事態宣言を受けて、小学校は休校や分散登校になりました。
公園の遊具には黄色いテープが張られ、子どもの習い事やイベントも減りました。
子どもの預け先がなくなったため、親は仕事のやりくりに必死でしたが、小2の娘自体は親といる時間も増え、あまり不自由を感じていないようにも見えました。
今思えば、まだ家族以外の集団にさほど依存していない年齢だったのです。
そのころ、小学校高学年や中高校生のいらっしゃったご家庭は、もっと大変な思いをしたかと思います。
部活や課外活動の発表の場を奪われ、特に最上級生は、修学旅行や「最後の夏」の活動が出来ずに悔しい思いをしたことでしょう。
2022年の言葉ですが、仙台育英の野球部の監督さんが「青春って、すごく密なので」という名言を残されました。
若者の努力を、ずっとそばで見てきた方ならではだと思います。
この作品はフィクションですが、そんなコロナ禍の夏を過ごした、中学生と高校生の天文部、天体観測のお話です。
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『この夏の星を見る』
【あらすじ】
一つ目の舞台は、茨城県の高校。
2年生の亜紗は、休校の息苦しさを感じていた。
楽しみにしていた天文部の合宿がなくなることにショックを受けたが、友人たちもそれぞれの活動を制限されていてしかたのないことだとも思う。
天文部の顧問の綿引先生から、この状況でも出来ることを考えるように言われる。
二つ目の舞台は、東京渋谷区の区立中学校。
生徒数の少ない学校で、男子でたった一人の一年生となった真宙は、サッカー部がないことに失望していた。同級生女子の中井に誘われ、理科部に入部する。理科部の顧問である森村先生は、若くてあまり経験がないが、生徒を応援してくれている。中井の熱意に押され、天体望遠鏡を手作りしているという茨城の高校にコンタクトを取ることになった。
三つ目の舞台は、長崎県五島の公立高校。
家が旅館を営んでいる円華は、コロナ禍に島外の人を受け入れていることで、周囲から疎外感を感じていた。そのため大好きな吹奏楽部の活動にも行きづらくなっていた。
そんな時、県外から留学生としてきている武藤と小山から、島の天文台に招かれ、生まれ育った土地の星空のすばらしさを知る。天文台の館長の知り合いが茨城県の高校で天文部の顧問をしている縁で、その高校と、東京の中学生と「スターキャッチコンテスト」を開催することになった。
コロナ禍の影響で五島を去り、東京に帰っていた留学生の興も、その取り組みに参加することに。
新型コロナで制限のある夏。
日本の離れた場所の中高生が、同じ星空を見ることで繋がることが出来るのか。
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私が子育てをしてきた13年の中で、一番大きな出来事だった新型コロナ禍。
中学生になった娘は、学校や部活などの人間関係に生きがいを感じているので、もしも同じ状況になったら相当なストレスだろうと思います。
学生にとってはただ一度の「この夏」を、どう過ごすでしょうか。
娘には困難な状況でも、好きなことをする方法を探して欲しいです。
この本の中で「茨城県出身の女性宇宙飛行士」として描かれている花井うみかさんの言葉。
「もし、そちらの方面に才能がない、と思ったとしても、最初に思っていた『好き』や興味、好奇心は手放さず、それらと一緒に大人になっていってください」
なかなかね、難しい、ということを大人は知っているけれど。
花井さんのようなことを、子どもに言ってあげられる人になりたいです。

