年金暮らしになったら、毎日図書館に通って、ゆっくり本を読みたい。
そう思っているアラフィフ中間管理職です。
子どもには本を読む人であって欲しい。
でも現代の中学生も、なかなかに忙しい日々を過ごしています。
この本は、最近ブロ友さんがコメント欄で教えて下さいました。
本屋さんでは見つからず、図書館も予約待ちだったので、Amazonでポチッとしました。
気になる本を、読みたい勢いがなくならないうちに手に入れられるAmazonはありがたいです。
表紙の猫は、お腹部分が白いアカトラのようです。
猫と言えば、西加奈子さんの『きりこについて』が好きです。
人間の言葉を理解する黒猫・ラムセス2世は、『吾輩は猫である』の猫風でした。
この本の猫さんも何か名作へのオマージュなのだろうか?
そう思いながら表紙を捲りました。
『本を守ろうとする猫の話』
目次を見て。
序章 事の始まり
第一章 第一の迷宮「閉じ込める者」
第二章 第二の迷宮「切り刻む者」
第三章 第三の迷宮「売りさばく者」
第四章 最後の迷宮
終章 事の終わり
最初の一文。
まず第一に、祖父はもういない。
…ディケンズの『クリスマス・キャロル』かな?
でも、じーさんはもう死んでるのか。
孫が主人公みたいだから『クリスマス・キャロル』ではないのかな?
主人公の高校生は夏木林太郎だって。
森鴎外の本名の森林太郎から来ているのかも。
そう言えば作者の夏川さんはお医者さんで、『神様のカルテ』を書いている人でした。
医師で文豪の森鴎外リスペクトなのかしら。
古書店を営む祖父と二人暮らしだった林太郎は、祖父の急死で一人ぼっちになってしまう。
約一週間後のクリスマス頃に叔母に引き取られることになり、高校にも行かず、一人で店の本を読む林太郎。
ほらほら、やっぱりクリスマスだよー!
孤独な少年のいる店を、じーさんの亡霊が訪れるのか。
高校の先輩で古書店の常連である秋葉は、文武両道でビジュも性格も良く、『自縛少年・花子くん』の源先輩みたいな人。
こんな男子がプルーストを読むとか、カッコ良すぎる。
「やっぱりいい本屋だよ、ここは」
本を買い、林太郎に学校に来るように促す。
学級委員の柚木も、連絡帳や宿題を届けに、林太郎の元を訪れる。
真面目で正義感が強く、ユーモアがある素敵な女の子です。
林太郎は、彼女が責任感故に自分のところに来ていると思い、少し迷惑に感じている。
そして林太郎の元を訪れるのは、じーさんさんの亡霊ではなく"本を守ろうとする猫"でした。
トラネコのトラと名乗る堂々たる雄猫は、林太郎に「本を助け出すためにお前の力を借りたい」と言いました。
間口が狭く細長い古書店のどん詰まりの壁を抜けて、一人と一匹は本を助け出しに行きます。
この先はネタバレになるので詳しくは書きませんが、猫と林太郎は三人の「本を損なう者」に対峙します。
二人目の敵には、猫を見ることが出来た同級生の柚木も仲間に加わります。
都度、現代社会で本が置かれている苦境と、林太郎の本への思想が明らかになります。
猫の求める手助けを無事終え、少し成長した林太郎ですが、猫も予想していなかった最後の敵が彼らの前に立ちはだかります。
最後の迷宮を抜けたとき、林太郎が下した決断は。
【あとがき】では、トラネコのモデルが明らかになります。
はっきり書いてはいませんが、私には分かりました。
あー、あいつか…
大人が泣けるよね、あの絵本の最後のページは。
本を愛する、本好きのための小説ですが、「一人で本を読んで完結するのではなく、人とのつながりにこそ読書で得たことを生かして欲しい。人生が豊かになるよ」というメッセージを受け取りました。
あの猫がその猫なら、きっとそう。
最後の迷宮のラスボスは、ミッション校に通う娘にもぜひ感想を聞きたい!と思う相手でした。
小学生時代に『雨ふる本屋』という児童書シリーズを愛読していた娘は、きっとこの小説も楽しんでくれることでしょう。
そして私は引退後に、長くて手を出していないプルーストやらガルシア・マルケスやらを、ゆっくりと読みたいです。



