【今回読んだ本】
「下町ロケット」池井戸潤
「下町ロケット ガウディ計画」 池井戸潤
「ケンカ国家論」 落合信彦
「逆説の日本史27 明治終焉編」 井沢元彦




「下町ロケット」池井戸潤
第145回(2011年上半期)直木三十五賞受賞作品。

受賞当時に読んで以来、久しぶりに読んだ。

改めて傑作だと思った。

池井戸作品を読むといつも感じるんだけど、本作もこってり・ギトギト味。

これでもかと次々にピンチが訪れる。

その度に、佃社長と仲間たちは困難に立ち向かい、克服していく。

反撃は痛快で、胸がスッとする。

前にも著者の他の作品を読んだときにブログに書いたけど、展開が昭和のプロレスを思い出させる。

アントニオ猪木がタイガー・ジェット・シンやアンドレ・ザ・ジャイアントに痛めつけられて、絶体絶命まで追い詰められた後、ついに反撃を開始する・・

そんなシーンを思い浮かべてしまう。

前半はナカシマ工業との訴訟問題。後半は、帝国重工へのバルブ納入。

その他にも色んな要素が入ってる。

初期作だけあって、本作では短いエピソードだけど、この後別な小説へ発展していったのかなと想像できるものもあった。




「下町ロケット ガウディ計画」 池井戸潤

「下町ロケット」の続編。

相変わらずこってり・ギトギト味。超濃いめ。

疲れた時には読めない。笑

さっきと繰り返しになるけど、昭和のプロレスや時代劇のような、お約束的だけどみんなが大好きな展開。

主人公はピンチの連続で、絶対絶命まで追い詰められてから反撃を開始、そして大逆転。

悪役も見るからに憎らしくて、「そちも悪よのう」なんて台詞が似合いそう。

展開は本当にうまくて、エンタメのお手本になるような本。ハリウッド映画みたいな、計算された展開だと感じる。


印象に残った箇所。(小学館文庫で読みました。初版第一刷)

P79   津野営業第一部長が佃製作所を評して

「(前略)ウチなんか単純というか、風通しが良すぎて寒いぐらいですからねえ」

P213   開発を続ける立花と加納に佃社長が
「スマートにやろうと思うなよ。泥臭くやれ。頭のいい奴ってのは、手を汚さず、綺麗にやろうとしすぎるキライがあるが、それじゃあ、ダメだ」

P270   北陸大学病院を訪れ、患者である子どもたちを見舞った立花と加納に、一村教授が
「(前略)この病気で一番苦しんでいるのはお母さんですよ」

P329   飲んで愚痴を言い合った帰りに、会社にまだ明かりがついていたので誰かいるのかと寄ってみた江原係長が、作業に没頭する立花と加納を見つけて
(前略)一心不乱に取り組むふたりには、息を呑むほどの気迫が漲っており、とても酔っ払いの自分が声をかけられる雰囲気ではない。
「こいつら、本気だ」
(中略)
「すまん、立花。申し訳ない、加納」

P343   佃製作所を訪れた一村教授が、佃社長の案内で開発現場の立花と加納を見て
(前略)一村がふと立ち止まった。手作業をしている立花と加納のふたりが放つあまりの真剣さに、気圧されたようになったのだ。




「ケンカ国家論」  落合信彦
著者が亡くなったニュースを見て、何か読みたくなって本棚から引っ張り出した。

訃報の後、書店には何も並ばなかった。著作も、特集した雑誌やムックも何にも出なかった。

既に「過去の人」になっていたんだと実感した。

長嶋茂雄、アントニオ猪木の時はたくさん出たのに。

比べちゃいけないか。でもちょっと寂しい。


改めて見ると、本書の初版は2013年3月。もう13年前だった。

かなり晩年の著作だと思うので、書かなくなってから知らない内にかなり経っていた。

訃報が話題にならなくても仕方ないのかも。


内容は、「戦争」や「紛争」、「外交」などを中心に、広く「やるべき時に先送りせずにやらなければいけない仕事」が「ケンカ」というキーワードで語られている。

時代を反映して
・アメリカの退潮
・中国の台頭
・情報機関
・改憲
などがテーマになっている。

他の著作と同様に、日本の現状を憂いて叱咤激励し、尻を叩く論調だった。

これは他の本と同様だ。10年後の今でも通じそうな話だ。


振り返ると、著者の本は今の池上彰みたいに社会情勢を軽くおさらい出来るようなものが多かった。

池上彰よりはかなりエンタメ寄りだったので、一緒にしたら池上彰が怒るか。

まあ、市井の一読者の印象ということで。

時に筆が滑って、エンタメが行きすぎて陰謀論みたいに受け取られてしまい、「盛り過ぎ」とか「トンデモ」だと批判されたりもしていた。

CIAとか諜報機関の話がよく出てきたせいもある。

また、自身の経歴についても突っ込まれてた。

批判本みたいなものも出ていたと思う。

批判本が商売になるなんて、著者が当時いかに売れていたかってことだと思うけど。

真偽は知らないけど、著者が書く自分自身のエピソードが格好良すぎるのは確かだった。

例えば、少年時代から習得した空手を使って、アメリカ留学時代に大男からたくさんケンカを売られたが無敗だった。

負かした相手とはその後、友人になった。とか。

個人的には、この辺はエンタメとして楽しめばいいじゃんと思うけど。

でも、池上彰にエンタメが混ざってたらそれは怒られるか。


何にしても、著者の本ではたくさんの知識を得て、同時に楽しませてもらった。

ご冥福をお祈りします。




「逆説の日本史27 明治終焉編」  井沢元彦

第一章  韓国併合への道
第二章  「好敵手」中華民国の誕生
第三章  「明治」という時代の終焉

文章はやや冗長に感じるものの、興味深く読んだ。

歴史小説やドラマ、映画ではあまり見ない時代、テーマだと思う。

学校で習って以来、久々に目にした。

天皇制が日本の民主化に果たした役割という分析が面白かった。