今回読んだ本。
「浪花少年探偵団」東野圭吾
「人魚の眠る家」東野圭吾
「カッコウの卵は誰のもの」東野圭吾




「浪花少年探偵団」東野圭吾

若くて美人で、見かけによらない豪快なキャラの竹内しのぶ先生と、田中鉄平や原田郁夫など小学生の悪ガキ‥もとい、子供たちが大阪の町で事件に遭遇する。

大阪府警のベテラン、普段は頼らないけど時間があるとしゃんとする漆崎刑事と、一見2枚目だけど実は3枚目、しのぶ先生に惚れている新米の新藤刑事、お見合い相手で同じく惚れているK工業の本間義彦も加わって、事件解決に向けて活躍する。

連作短編ミステリ。

軽くて楽しい話。




「人魚の眠る家」東野圭吾

播磨薫子は、娘の瑞穂の私立小学校入試が終わったら夫の和昌と離婚するつもりだった。

しかしある日、瑞穂はプールで溺れ、植物状態となってしまう。

薫子は脳死判定を受けさせずに、別居中の夫・和昌の協力を得て介護を続ける。

IT系機器メーカーを経営する和昌は、部下で優秀な技術者である星野を自宅へ派遣する。


人の生死を分けるものは何か。考えさせられる話。

以前に映画を見た。その時も同じように感じた。


難しいテーマだけど、エンタメとしてもきちんとよく出来ていて、途中で張られた伏線はラストまでにきれいに回収されている。

結末も読み手が納得できるもので、スッキリと読み終えることができた。

読後感までちゃんと考えられていると思った。

エンタメは変に奇を衒った結末にするより、スッキリと読み終わりたい。

その点、東野作品は安心して楽しめる。




「カッコウの卵は誰のもの」東野圭吾

緋田宏昌はアルペンスキーの元オリンピック選手。娘の風美も将来有望な選手に成長していた。

しかし、実は風美には出生の秘密があった。

風美の所属する会社「新世開発」では、スポーツ選手の素質を遺伝子から研究していた。

しかし、父親の宏昌は出生の秘密から協力を拒んでいた。

一方で、彼にもわからないことがまだあって、亡くなった妻が赤ちゃんを取り替えたのはなぜか、どうやったのか探っている。

そんなある時、風美が競技に出場することを阻止しようとする脅迫状が届く。

前後して、宏昌の前に風美の実の父親が現れる。

しかし、彼もまた秘密を抱えていた。

そして、風美と会った直後にバスの事故で亡くなってしまう。


様々な要素が複雑に絡み合いながら話は進んでいく。

重いテーマとエンタメが両立していて、本作もとても面白い。

誰かのエッセイで、新人の刺激的な本も良いけれど、安心して楽しませてくれるベテラン作家の本につい手が伸びてしまう、という話があった。

東野圭吾を読むと、そのエッセイを思い出す。

※印象に残ったところ(ページは光文社文庫より)

P230 新世開発の貝塚が、部下でスポーツ科学と遺伝子の研究者である柚木に対して

「(略)金の卵は、ふつうの卵よりも割れやすいっていうからな」

そんなことが言われているとは知らなかった。

文中ではそれ以上何も書かれていなかったので、ネットで検索してみたけど何も出てこなかった。

小説なので、キャラクターが根拠のないことを話していてもそれはそれで良いんだけど。