神様のカルテ(1~3) 夏川草介

長野県の信濃大学を卒業後、医局を出て地元の本庄病院で働く内科医の栗原一止。

急患やたくさんの入院患者を抱えて、忙しい日々を過ごしている。

以前に1巻だけ読んでいた。

その後が気になっていたので、一止が本庄病院を去る区切り(だと判断した)の3巻まで読んでみた。

主人公の一止は内科医で、夏目漱石の「草枕」をこよなく愛する文学青年でもある。

その他にも文学への造詣が深くて、作中に色んな文学作品が登場するのも興味深い。

人の生死に関わるシビアな話もあるけど、どこかユーモラスな雰囲気があるのは漱石へのオマージュかもしれない。

固い表現が出てきたり、文学的な拡張高い描写もそこここにある。

でも、小説全体はライトノベル並みに読みやすい。とても工夫されていると思う。


ストーリーは言うまでもなく面白い。

映画やドラマになったり、大ヒットする訳だと改めて思った。


一止は患者を40人も担当していたり、当直で徹夜した翌朝から休むことなく日常の勤務があったりと過酷な職場だ。

実際にどこまで本当か知らないけど、これは相当にブラックだ。

更に、非番の時も携帯電話で呼び出されたりする。

ストーリーを楽しむだけでなく、働き方について考えさせられる。

同僚の辰也や先輩の小幡先生など、新キャラが登場すると、彼・彼女も色んなことを抱えている。
つい、自分を振り返ってしまう。


日本酒についても。

私は飲まないが、飲む人ならもっと楽しめるんじゃないか。とても美味しそう。