東京都同情塔 九段理江
東京都心に「シンパシータワートーキョー」と名づけた高層刑務所の建設が計画された近未来の物語。(wikiより)
第170回(2023年下半期)芥川龍之介賞受賞作品。
面白い設定だと思った。AIとか建築とか、新鮮味があって興味深い。
しかし、構成はごちゃごちゃして読みにくいと感じた。
その意味で、とても新人らしい作品だった。
新人だけあって、作者はまだ書きたいものや主張がたくさんある人のように感じた。
こういうのってベテラン作家にはあまり感じない。この辺も新人らしいと感じた。wikiを見たら、まだ若い人(作家にしては)のようだった。
途中から登場する男の子のキャラはひどいと思った。
主人公と交わす会話も、男の子のモノローグも、ちょっと気持ち悪かった。
女性に都合が良すぎるキャラ、というか。
もちろん、小説に出てくるのが客観的に見て変なキャラでも全く構わないし、それも個性の範疇だとは思うけど。
それに、私は好きになれなかったけど、“それが良い”って人もいるはずだから、こういう気持ち悪い個性もそれはそれで良いと思う。
その後で出てきた外国人の記者よりずっと良い。こちらのキャラは気持ち悪くなかったけど、代わりに存在感もなかった。
どこかから借りてきたみたい。
「文藝春秋」2024年3月号で読んだ。単行本と違って、雑誌で読むと選評が付いている。どれも面白かった。
「小説の可能性を押し広げてゆく書き手」(小川洋子)
「このディストピアに生きる当事者たちの狂気や抵抗をもっとアクションとしてして作品に盛り込んでいたら、より多くの読者のシンパシーを獲得できたはず。」(島田雅彦)
さすがに作家はうまいこと書くなあ、と思った。
私も同じようなことを、うまく言語化は出来ずにモヤモヤっと考えていた。笑
確かに、そんなアクションがあればもっと小説に入り込めたし、面白く読めたと思う。
本作はここ数回の芥川賞受賞作の中でもかなり個性的な作品だったし、魅力があると思った。
けれど、残念ながらストーリーはあんまり面白くなかった。
こういうのは何作も書く内にきっとうまくなるんだろうから、作者の中に書きたいものがあってギラギラしてる内に、ぜひテクニックも磨いて更に面白い作品を書いて欲しいと思った。