【今回観た映画】
戦艦ポチョムキン(1925ソビエト連邦)
ターミネーター:ニュー・フェイト(2019米)
バンクシー 抗うものたちのアート革命(2020英)
だれの椅子?(1968日)
沖縄を変えた男(2016日)
ベン・ハー(2016米)
ラ・ジュテ(1962仏)
鴨川ホルモー(2009日)
ホワイトハウス狂騒曲(1992米)
デッド・カーム/戦慄の航海(1989豪)
戦艦ポチョムキン ★★★☆☆
1925ソビエト連邦。75分。セルゲイ・エイゼンシュテイン監督・脚本(共同)・出演。
アレクサンドル・アントノフ。ウラジミール・バルスキー。グレゴリー・アレクサンドロフ。
1905年。
黒海艦隊の巡洋艦ポチョムキンで出されたうじ虫入りのスープがきっかけとなり、水平たちの怒りが爆発する。
戦艦ポチョムキンの暴動は、やがて革命へとつながっていく。
白黒。無声映画。
119年前の映画だ。まさに古典。
"オデッサの階段の虐殺"のシーンは有名。
以前に観た「アンタッチャブル」(1987米)でもパロディ(オマージュ?)となるシーンがあった。
共産主義の宣伝みたいな映画なので日本公開は遅れ、1925年製作ながら1967年にようやく公開された。
時は学生運動華やかなりし頃。
新歓の時期になると、新入生を集めてよく上映したそうだ。
効果は抜群だったとか。
当時学生運動をしていたというタレントがテレビで言っていた。
あるいは、学校か塾の先生だったかもしれない。
ハッキリ覚えてない。笑
映画の内容はシンプル。
今みたいな凝った話は表現出来なかったんだろうと思う。
それでも、“モンタージュ理論”(視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法)の実践など当時の最先端技術を使っていたそうだ。
ターミネーター:ニュー・フェイト ★★★☆☆
2019米。129分。ティム・ミラー監督。ジェームズ・キャメロン製作総指揮・原案(共同)。
リンダ・ハミルトン。アーノルド・シュワルツェネッガー。マッケンジー・デイヴィス。ナタリア・レジェス。ガブリエル・ルナ。ディエゴ・ボネータ。
メキシコシティで父と弟とごく普通の生活を送っていた21歳の女性ダニーのもとに、未来から最新型ターミネーター「REV-9」が現れ、彼女の命を狙う。
一方、同じく未来からやってきたという女性戦士グレースが、ダニーを守るためにREV-9と壮絶な戦いを繰り広げる。
追い詰められたダニーとグレースの元に、かつて人類を滅亡の未来から救ったサラ・コナーが現れる。
シリーズ第6作。
話は「T2」の続きで、「T3」以降の作品とは別の世界となっている。
ターミネーターのシリーズは好きで、本作もそこそこ面白いんだけど「T3」以降は既視感があったり(良くない意味で)、今一つだったり。
本作も、悪くないんだけど焼き直し感がすごい。
やはり、「T2」の衝撃がすごすぎたのかもしれない。
もう30年以上も前の映画だから、ここから入る人はそれで良いのかもしれないけど。
そう考えると、これはリメイクみたいなものか。
バンクシー 抗うものたちのアート革命 ★★★☆☆
2020英。113分。エリオ・エスパーニャ監督・脚本・製作(共同)。バンクシー。ジョン・ネーション。フェリックス・ブラウン。
ドキュメンタリー。
謎の覆面グラフィティアーティストとして世界的に知られるバンクシーについて、一緒に活動したことのあるアーティストや彼を直接知る人物へのインタビュー、活動の軌跡を辿っていく。
バックグラウンドを良く知らなかったので、グラフィティアートやストリートカルチャーのことなど新たな知識を得る機会になった。
パレスチナで描いたエピソードなど、とても興味深い。
映画というよりNHKあたりの特集番組を観てるようだった。
だれの椅子? ★★★☆☆
1968日。88分。森永健次郎監督。石坂洋次郎原作。吉永小百合。渡哲也。杉良太郎。
とある高校へ赴任してきた英語教師の沢村恵子は、国語教師菅原謙一の純朴なところに惹かれる。
恵子はプレイボーイの宮川次郎からプロポーズされる。
恵子は菅原に相談するが、望んだ答えは得られなかった。
結婚式。誓いを交わすその時に、菅原は立ち上がる。
ようやく、自分の気持ちに気付いた菅原と恵子の式が改めて執り行われた。
昔の青春映画。
くすぐったくなるような感じ。
結婚式で花嫁を奪い取るのはダスティン・ホフマン「卒業」の影響だろうか。
(1967年と本作の前年に公開されている)
でも、次郎や周りが菅原にあっさり譲ってしまうのは「卒業」とかなり違うけど。
この展開にはちょっと笑ってしまった。
吉永小百合がきれい。「サユリスト」なんて人たちがいたのも分かる。
渡哲也が若くてイケメン。
宮川次郎役の俳優はどこかで見たと思ったが杉良太郎とは気付かなかった。
現代劇の、青春ものに出ていたとは意外だった。
沖縄を変えた男 ★★★☆☆
2016日。120分。岸本司監督。ゴリ。田中永一。川満彩杏。
沖縄水産高校野球部を1990、91年連続で夏の甲子園大会準優勝へ導いた栽弘義監督の物語。
実話ベース。
沖縄水産高校の他に歴任した小禄、豊見城高校のエピソードも織り込まれている。
廃部寸前の琉球水産高校野球部監督に就任した栽弘義は部員たちに過酷なトレーニングを課して鍛え上げる。
しごきに耐え抜いた部員たちは、栽が掲げる甲子園優勝も夢ではないと思いはじめる。
昭和のスポ根ドラマ。ある種、狂気じみてる。
今じゃ絶対無理だけど、昔はこんな世界もあった。
いや、昔にしてもよく問題にならなかったものだけど。
そういえば、準優勝のあとに大野投手を潰したと叩かれていた。
本作の太田くんを観ていて思い出した。
彼は他の要素も入っているのか分からないけど、ほぼ大野投手がモデルだと思う。
チームメイトに水飲み場でお前のせいで負けたら許さないと恨み言を言われるシーンがあったけど、同じ話を何かの記事でを読んだことがある。
無名の高校をここまで持って来るんだから色々あったんだろう。
その後、ご本人が栽弘義監督は恩人ですと答えるインタビュー記事を読んだ。
お笑い芸人がたくさん出演しているので時々笑いが入ってるけど基本はシリアスな話。
とても面白かった。
難を言えば、ヘルメットとか目立つ道具は当時の仕様にして欲しかった。
ああいうのは結構冷めるので。
ベン・ハー ★★★☆☆
2016米。141分。ティムール・ベクマンベトフ監督。ジャック・ヒューストン。トビー・ケベル。ロドリゴ・サントロ。ナザニン・ボニアディ。アイェレット・ゾラー。モーガン・フリーマン。
エルサレムの貴族であるベン・ハーは、義兄弟のメッサラに暗殺未遂の罪を着せられ奴隷船送りになる。
ナザレのイエスとの出会いの後、ベン・ハーは数年ぶりに戻った故郷で戦車競争に出場し、メッサラとの宿命の対決に挑む。
何度もリメイクされるほど魅力ある話なのかと思わなくもない。
有名で広く知られているから、たぶん興行収入が見込めるんだろう。
原作はルー・ウォーレス。1880年の小説で、タイトルは同じ。
これまで、
1907年(白黒。サイレント)
1925年(白黒。サイレント)
1959年(アカデミー賞作品賞他受賞)
2003年(アニメ)
の4度映画化されている。本作は5度目の映画化。
これまで、1925年版と1959年版は観たことがある。
本作は、よりエンタメ寄りになって親しみやすく、良い意味で疲れない映画になってる気がする。
1959年版は良かったけど、疲れたから。笑
演出やテンポなどが良くなってるんだと思う。
長さも、141分と決して短くはないものの1959年版の212分に比べればコンパクトになった。
今、3時間半を超える映画を作っても長すぎてヒットしないと判断したんだろう。
それなら、アマプラやNetflixで配信ドラマにした方が良いと思う。
メッサラへ復讐しローマ人を皆殺しにすると言いうユダ・ベン・ハーを族長イルデリムが諫める中で、奴隷船での地獄の5年間について恨みを語るベン・ハーに対して
“その前までは特権を享受していた筈だ”
という台詞が印象に残った。
ラ・ジュテ ★★☆☆☆
1962仏。28分。クリス・マルケル監督・脚本。
第3次世界大戦後。
パリは廃墟と化し、戦争を生き延びた数少ない人類は放射線を避けて、地上から地下へ逃れ、やがて「支配者」と「奴隷」に分かれて暮らすこととなった。
実験によってタイムトラベルの能力が開花したある「奴隷」の男性が過去へと旅する。
男はやがて、記憶の中にあった美しい女性と知り合い親しくなる。
こうしてあらすじを振り返ると面白そうなんだけど、映画は白黒の静止画。
作品紹介か、せいぜいダイジェスト版といった趣で、とても入り込めない。
面白くはなかった。
この見せ方なら、史実やドキュメンタリーならある程度見られたかもしれない。
創作の、しかもSF物に合う表現とは思えない。
鴨川ホルモー ★★☆☆☆
2009日。113分。本木克英監督。万城目学原作。山田孝之。栗山千明。濱田岳。石田卓也。芦名星。笑福亭鶴光。荒川良々。石橋蓮司。
2浪して京都大学に入学した安倍は新歓コンパで早良京子という女性に一目惚れして謎のサークル“青竜会”に入会する。
そこは体長約30センチの“オニ”の姿をした式神(しきがみ)を操って戦う謎の競技“ホルモー”を行う会だった。
予備知識無しで観た。
冒頭で“原作・万城目学”と知り、これは期待出来ないかもしれないと思った。
以前に何冊か読んで、どうにも相性が悪かったので。
(あくまで、好みの話です。)
なので、原作者が第170回(2023年下半期)直木三十五賞を受賞したニュースを見た時はびっくりした。
山田孝之、栗山千明など役者は良かった。
映像も良かった。
でも、つまらなかった。
本作は読んでないので、原作のせいかどうかは分からないけど。
以下は余談。
主人公たちは京大生。
原作者の出身校をモデルにしただけかもしれないけど、京大生って何となく“天才だけど良い意味で変わった人”がいるイメージ。
東京だと早稲田大学がそんな感じ。
(あくまで、個人的なイメージです。世間の扱いを見てるとそんな気がする)
ホワイトハウス狂騒曲 ★★★☆☆
1992米。112分。ジョナサン・リン監督。エディ・マーフィ。レイン・スミス。シェリル・リー・ラルフ。
詐欺師のジョンソンは死亡した議員に代わって当選しワシントンDCへ。
最初は割の良い金稼ぎのつもりだったが、次第に周りの大物議員のやり方に疑問を抱くようになる。
コメディ。
気楽に楽しめるエンタメ映画。
エディ・マーフィが若い。1992年なので31歳。
全盛期かと思うけど、その割に本作のことは知らなかった。
私が疎いだけかもしれないけど、でもこの人は早くから人気が落ちた印象がある。
初期の「ビバリーヒルズ・コップ」なんかはものすごいヒットだったけど。
デッド・カーム/戦慄の航海 ★★★☆☆
1989豪。97分。フィリップ・ノイス監督。ニコール・キッドマン。サム・ニール。ビリー・ゼイン。
レイとジョンの夫婦は息子を失った心の傷を癒すため、ヨットでクルージングに出かける。
途中で小型ボートに乗った男ヒューイが助けを求めていた。
しかし、助けられたヒューイは豹変して夫婦はヨットを乗っ取られてしまう。
ニコール・キッドマンが注目されるきっかけになったオーストラリア映画。
ヨットの中という限られた空間で、力で劣る女性が正体のしれない男に知恵を絞って対抗する、という設定は平凡かもしれないけど、観てみたいと思わせる。
話は話は先が読めてしまう。良くも悪くもオーソドックスな展開。
前半はあまり面白くなかったけど、後半はハラハラするところもあった。
最後にもう一度襲われるのは余計かと思うけど。
簡単に倒されてしまうし、これまでの緊張感を台無しにしている。
こういうところはまさにB級作品。
ニコール・キッドマンで話題になっただけで、本来は日本まで来るような映画ではなかったんだと思う。