黒猫:こんばんは。活字ラジオの時間が……あれ、四日ほど過ぎてますね。

作者:黒猫くんそんなわけはないだろう、いくら忘れっぽい作者だからって四日も忘れるなんて…ああああ! 25日だ! 本当に四日遅れてる!

黒猫:わざとらしい。

作者:びっくりです……。

黒猫:そうでもないだろう。

作者:さてさて、『文豪Aの時代錯誤な推理』(富士見L文庫)発売からおよそ十日が経ちました。皆さんいかがでしょうか? え、今回は特典はないのかって?

黒猫:誰も聞いてないけどね。ないの? 特典。

作者:そうなんだよ。今回はなんと、特典なし。でもそれじゃあ申し訳ないってわけで、Twitter上で華影忍による「芥十夜──文豪Aの小説タイトルで断篇小説を書いてしまいがちな夜」を十夜連続で公開している。今夜がじつは最終夜、第十夜目に当たる。

黒猫:ほほう、忍先輩が……。となると、当然、艶やかな方向にいきそうだね。

作者:まあいきがちだね。でもそればっかりでもない。いろいろなテイストのものが混じっているよ。どれも1時間以内で書いてるらしいが、いちおう本気は本気だと言っていた。

黒猫:なるほど。『文豪A』は芥川龍之介が主人公なんだろ?

作者:わ……いきなりネタバレかよ。

黒猫:いや、あらすじ読んだだけでわかる!

作者:わざわざ文豪Aって隠してるのに……。

黒猫:帯に文ストのあの方がいる時点で、だな。

作者:いやぁ、いま何人かの読者は思ったよ。「あー黒猫言っちゃった…楽しみにしてたのに…」って。

黒猫:え、うそ……そうかな。

作者:謝ったほうがいいと思うなぁ。

黒猫:そう?

作者:絶対謝ったほうが感じがいい。

黒猫:わかった……あの、楽しみにしていただいていたのに「文豪A」の正体についてネタバレしてしまってすみません。

作者:まあ、やってしまったことは、謝られても取返しがつかないけどね。

黒猫:な! 何なんだ君は! 人に謝らせておいて!

作者:だいたい、謝罪は自発的なものでないと意味がないし。

黒猫:くっそ……狙いは何だ……。

作者:せっかくだから文豪Aの作品について、君から何か思い出話でも聞きたいね。

黒猫:思い出話?

作者:僕のAの作品についての思い入れなんかはあとがきにたっぷり書いたからそれを読んでいただければいい。はい、今夜は君の番だ。

黒猫:ふむ。芥川で最初に読んだのは、「杜子春」だったかな。杜子春の両親が出てくる場面が……。

作者:うわぁ……またネタバレ全開できた。

黒猫:え? ネタバレ? そういう小説だっけ?

作者:いま読者のなかに「え、杜子春の両親が出てくるの? これから読むのに知っちゃった」って思ってるぞぉ。

黒猫:いいだろ、両親が出てくるくらいわかったって!

作者:両親出るってけっこう大きいなぁ、ヒントデカすぎだなぁ。

黒猫:……と、とにかく、あのシーンが鮮烈だったんだ。

作者:なんで読んだの?

黒猫:なんで……って、家にあったから。

作者:ああ。まあそうだよな。芥川作品は、短編集ともなると家に一冊、誰が読んだか知らないけどあったなんて人は多いかも知れない。

黒猫:ベストセラー作家だからな。その後は「羅生門」を読んで、そこから『今昔物語集』に興味が移っていった。『今昔物語集』って、文章に無駄がないんだよね。そもそも説話集だから無駄なんかありようがないんだが、感情を一切排した短いエピソードに強烈な深い闇が漂っている。ほかにも説話集に関心を持ちながら、なるほど芥川がこれを小説の題材にしようと思った理由もわかるなぁと思ったね。近現代の日本人が忘れ去った闇とか町や人間の臭気、鬼の気配、そういうものがくっきりと描かれている。

作者:ふむふむ。そうか、君も君なりの芥川体験があるわけだ。さて、『文豪Aの時代錯誤な推理』では、そんな文豪Aが現代に来て、芥川マニアの女の子と一つ屋根の下で暮らすことに。

黒猫:あの、さっきちらっとTLを目で追っていたんだが、平野レミって何……?

作者:知らないのか? 料理研究家だ。

黒猫:知ってるよ。それがどうして文豪Aに?

作者:ま……まあ読めばわかる。

黒猫:読むしかないのか……。

作者:この7年のキャリアのなかで最もキャッキャウフッフした小説であり最も馬鹿らしい小説であり、しかし意外と深い小説でもあることを保証しよう。

黒猫:んん、微妙な保証だ……。

作者:ひとまず、「芥十夜」だけでも読んで。で、「特典の代わり」を読んだのに、まさか本編を読まないなんてことは、たぶんふつうの人間はしないと思うんだようなぁ(|д゚)

黒猫:な……なんだ、その妙な圧力。

作者:まさか黒猫教授ともあろう方が|д゚)

黒猫:だからやめろその顔。

作者:|д゚)

黒猫:気に入ったのか……ううむ。仕方ない。書店に行くか。というわけで、今夜の活字ラジオはここまで。森、来月はちゃんと21日にやるように。

作者:うん……そうしたい(忘れたくて忘れてるわけではない)……わかったぞ! 今日の内容を来月にアップすれば!

黒猫:(作者の口にガムテープ貼り中)では皆さん、今夜はこのへんで。