165 なにか始まるかもと思ってしまっている | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

今年の冬は暖かい。

そのせいもあってか年の瀬の雰囲気は感じられない。

12月末には12月末にしかない

「いよいよ終わり」という感じがあったと思うのだが、

いまのところ先月末と変わりなく、

ただなんとなく月だけが変わっていきそうである。



そのおかげでわかったのだが、

12月の末は世間一般で言われているほど

大ごとではないのかもしれない。

だってよく考えたら、月が変わるだけなのだ。

たまたま年も変わるときだけれど、

基本的には月が12月から1月に変わるだけ。

それは8月が9月になったり、

5月が6月になったりするのと違いはない。



12月から1月にかけてこの1年の総決算をしたり、

これからの1年の目標を考えたりする人もおられるだろう。

わたし自身はそれを嬉々としてやるタイプである。

なぜ12月末から1月はじめにかけてそれをするのかというと、

「年が変わった」と思うからである。

たった1日で新しいなにかが始まるような期待が沸いてきて、

ついそういうことをする。



ここで注目したいのは、

新しいなにかが始まりそうな根拠はなにもない、

ということである。

ただ「年が変わった」から

「なにか始まるかも」と思ってしまっているだけなのである。

だったら、総決算と目標の設定は12月末じゃなくてもいい。

1年のうち月末はほかに11回もある。

そのどこでやったっていい。

今年こそはと立てる目標は、

挫折したら挽回するチャンスは次の年まで回ってこない。

今月こそはなら、1年に12回もチャンスがある。



たしかラジオのテレフォンショッピングの人だったと思うが、

「小掃除を何度もやっていれば大掃除はやる必要がないんです!」

と力説していた。

売りたいものがあるからこその言葉ではあるが、

たしかにとうなずける面もある。

総決算と目標の設定も、

小決算と小目標の設定をコツコツと思い立ったときにやっておけば、

年末に一度に力を入れてやらないで済む。



自分がやろうとしないのを今年のせいにしてないで、

さっさとやらないとダメなのだ。

思い立ったが吉日、という言葉もあるとおり、

よしと思ったらその日が元旦でよい。

そういう1年にしよう。

もとい、1ヶ月にしよう。