143 しかたがないことではなかったと気づく | 群衆コラム

群衆コラム

耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

夏と冬。

カップラーメンができるまでの3分。

お風呂の湯がいっぱになるまで。

1ヶ月、とくに12月の。

90分授業。

50分授業。

小学校の6年間。

大学の4年間。

夏休み40日。

スイミングスクールの1時間。

家から学校までの道のり。

部活の練習。

図工と体育がない日。

ちゃんと読む本1冊。

ノート1冊を使い切るまで。

ボールペンのインクがなくなるまで。

電車で行く東京。

高速道路で行くどこか。

池で釣りができる数ヶ月間。

犬1匹が生まれてから死ぬまで。

更地に家が1軒建つまで。

擦り剥いた傷が治るまで。

散らかった部屋がきれいに片づくまで。

原稿用紙を文字で埋める。

画用紙全部に色を塗る。

ご飯をぜんぶ食べる。

23時以降の時間。



長くて待ちくたびれることばかりだったはずだ。

まだかまだかと思っていたはずだ。

いまはそういうものがめずらしくなり、

早い早いとつぶやいて

1日1日が過ぎて行く。

しかたないことではないと思っている。

たまに長く感じることがあると、

しかたないことではなかったと気づく。