ほめをまく | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

三つ子の魂百まで。

幼いころに褒められたせいか、

いい大人になっても工作が好きである。

その続きの話。



職場でプリンターのインクを

どのように整理するかという問題がもちあがった。

インクは以前からあるのだが、

その置き場がとても荒れており、

使いたいときにかぎって使いたいインクが切れているという

困ったことになっていた。

だから、ひと目でインクのあるなしがわかって

管理のしやすい整理棚が必要であろうという話になった。



この棚はわたしが用意することになっており、

当初は100円ショップで金網を買ってきて

そこにインクを吊り下げておくつもりだった。

しかし、100円ショップは遠い。



いつ行こうかなと思いつつ、

インクのパッケージを眺めていたら、

思いつくものがあった。

すぐにカッターと両面テープ(ボンドがなかった)を用意して

作業に取り掛かる。

30分ほどでごく小さな棚ができあがった。

あるもので作ったあり合わせ。

経費は0円である。



これを貧乏くさいと思うひともあるかもしれない。

器用貧乏という言葉があるが、その通りだと思う。

器用だとお金をかけずにいろいろとできてしまう。

それを貧乏臭いと言われてもしかたがない。



ただ断っておきたいのは、

安く済ませたいからするのではなく、

思いついてしまったからそうなるのであり、

思いついたことを形にするのが楽しい。

まず喜びありきなのである。



この喜びは、さかのぼれば

はじめて褒められたあの日につながっている。

褒めることは、本当にバカにできない。

いまや褒められることより、

褒めることのほうが多い立場となった。