18金製おりんと真鍮製おりん - 音質に関する比較レポート | プロムナード

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仏具の一つである「おりん」、うねりと長時間に及ぶ響きが心地良く、心を落ち着かせる絶大な効果がある。仏具であるからそう感じるのか、あるいはそう感じさせるから仏具となったのかはともかく、静寂への入り口を感じさせる独特な雰囲気を創生する道具ではある。

ところで、世の中には定価500万円という、18金製のおりんがある。

 

相続税対策にもなるといわれている様だが、あくまでも仏具であって日頃使っているということが証明されなければならない等々、客観的に見て節税対策ではないことを示すという条件はあるらしいが、とにかくそういう商品はある。

その様なややこしい資産価値に関する考察はともかく、18金のおりんと庶民用おりんとでは、音色などの音質としてどう違うのかを科学的に解明してみたいと思い、最近実家から持ち込んできた真鍮製の古いおりんとの音の違いについて、スマホのアプリを用いて「見える化」し、比較してみた。

 


18金のおりんの方は、もちろん手元にはないので、GINZA TANAKAのWebに掲載されている18金おりんのサンプル音を使用した。

そのページは次の通り。ここに音声を貼り付けられればいいのだが、できないのでWebで参照されたい。

https://www.ginzatanaka.co.jp/sounds/27.mp3?_gl=1*1l5s26g*_gcl_aw*R0NMLjE2MzM0ODc4MTYuQ2p3S0NBanc3LS1LQmhBTUVpd0F4ZnBrV0oyN0habFoxblgtS3dfZ0FGMEZ0NGtSWkszRVRHcmxaSjdlWVU1OUdlNUxpM2RlUFUwLVF4b0NKblFRQXZEX0J3RQ..&_ga=2.51614633.1031202258.1633487816-1461962480.1633487816&_gac=1.263458302.1633487816.CjwKCAjw7--KBhAMEiwAxfpkWJ27HZlZ1nX-Kw_gAF0Ft4kRZK3ETGrlZJ7eYU59Ge5Li3dePU0-QxoCJnQQAvD_BwE

両者の具体的な音色の違いをスマホのスペクトログラムにて比べると、周波数成分だけではなく、うねりや余韻長にも大きな差があることが分かる。フリーアプリなので測定データの正確さなどはあまり期待できないが、概要としての全体像や時間軸での変動震動状態は比較可能だ。

 

真鍮製おりんの周波数成分

 

18金製おりんの周波数成分

 

周波数成分については、おりんを叩く棒や叩き方などでも違いが起きるので、この辺りも正確な比較はできないが、18金の方はより多くの高調波成分が含まれていることがわかる。音の厚みは真鍮製よりも大きい様だ。

周波数スペクトルを見ると、18金おりんは480Hz、1440Hz、2880Hz、4320Hz、5760Hzと言った辺りに高調波が見られるが、それ以外にも多くの周波数成分が散見され、単純音の倍音だけでないことが表示されている。一方、真鍮の方はスマホでの実測なのでかなり粗いが、640Hz、1920Hz、3840Hz、5760Hzと言った周波数が顕著で、それ以外の音は成分は小さい様だ。。


それと、両者の大きな違いの一つは叩いた後の余韻だろう。真鍮に比べると圧倒的に時間経過に伴う減衰量が少ないのだ。この余韻の主因は共振による残響であるが、18金おりんの場合は製造工程で高圧をかけて金属分子を硬化させ、振動減衰性を低減化させているので余韻が長くなる様だ。

 

真鍮製おりんのスペクトログラム

 


18金製おりんスペクトログラム
 

やはり値段が高いということには、金で出来ているということだけではなく、製造方法なども含めてそれなりの理由があるということだろう。

余韻が欲しい方は、是非18金のおりんがお薦めである。自分には買えないが...。