国立科学博物館企画展「電子楽器100年展」から ー 元祖電子楽器「テルミン」  | プロムナード

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先日、上野の国立科学博物館で開催されていた企画展「電子楽器100年」に出展されていた元祖電子楽器のテルミン、自分も試してみたいと思っていたら、12年前の「大人の科学」に「なんちゃってテルミン」が付録キットだったことが分かり、通信販売で調べてみると未開封品の中古品というのがある。販売当時価格よりも高価とは言え、目くじら立てる様な値段でもないし、少しの間かも知れないがオモチャとして遊べそうだし、あれこれと改造も出来そうだし、ということでそれを購入し、組み立ててみることにした。

 

 

注文後ほどなく到着。新古品とは言え10年以上前の商品なので、開封してみると外装などは経年劣化が見られるが、中身は問題なさそうだ。

 

写真は、キットの内容。この様に、部品実装済みプリント基板とプラスチックケース、アンテナなどがキットとなっている。プラスのドライバ一本あれば、プリント基板をケースに入れてアンテナを立て、電池ケースをはめ込めば完成だ。

 

 

 

 

回路を見ると、二つの高周波発振回路とアンプが入っている。発振回路の片方は固定でもう片方は可変となっており、オーディオ信号発生原理としては、この二つの発振周波数を僅かにずらして合成した時に、その差分で発生するビート信号のエンベロープが可聴帯域のオーディオ信号となるため、その信号をアンプで増幅するというものだ。可変発振回路側の発振周波数はアンテナと人体との間で形成されるコンデンサの静電容量で決定されるのだが、手を近づけると静電容量が大きくなって共振周波数が低くなり、固定発振器の周波数との差分周波数が大きくなるために生成されるオーディオ音は高くなる。逆に遠ざければ音は低くなるので、手とアンテナの間の距離によって音の高低が産まれるという仕組み。つまりアンテナに手を近づけたり遠ざけたりすることで音階を奏でるという、いわばエアー楽器の様なものだ。

 

生成されるサウンドとしては方形波に近い歪音なので、結構きつい。また、発振がかなり不安定なので、少し改造することにした。改造内容は付録にある本を参照しながら、使い勝手を鑑みて、ケースに外付け端子を付けて回路基板からグラウンドを引っ張り出し、人体接地する様にしたことや、発振周波数領域を拡大すべくアンテナをロッドアンテナに替えたり、更に内部スピーカでの再生以外にも音を弄れる様に、ホーンジャックを付けた。

 

これによって、発振は安定し、また付属品のアンテナは相当に華奢なためにフラフラと揺れを起こし、それはそれで周波数の変動によるビブラート効果となるのだが、ビブラート無しの音を出すためには揺れが止まるのを待たなくてはならないという問題があったのだが、ソリッドなロッドアンテナに交換したことで周波数は安定するようになった。

 

更に音をなんとかすべく、取り合えずはLPF(ローパスフィルタ)を噛ませてみた。先に、ホーンジャックを取り付けてあるので、本体とアンプの間に入れればよい。取り急ぎ遮断周波数を可聴周波数帯域の高音部に設定して手持ちの抵抗とコンデンサだけで組んでみたところ、ある程度、音の角が丸くなった感じになったものの正弦波の様な音とは程遠いので、まじめに矩形波→正弦波の変換器を設計しようと考えているところである。また、ギター用のエフェクタがあるので、これも噛ませてみよう。

 

 

こうやって色々と弄っていると、ふとこのおもちゃは電子業界に入ってきた文系出身新人への教育ツールとして使えそうな気がしてきた。さすが、学研の商品である。常に購入できるようになっていると有難い。