森千広氏の色鉛筆作品  - もはや似顔絵ではない描画術 | プロムナード

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世の中にはスゴイ才能をお持ちの方がいる。森千広氏という色鉛筆画家だ。

 

四の五の言わず、まずはこの絵を見て欲しい。これは、森さんが色鉛筆で描いたもの。

 

色鉛筆でこんなに豊かな表現が出来るなんぞ、これまで全く思ったことはなかった。

 

モデルは乃木坂46の齋藤飛鳥。描かれている人と完全に視線が合って、思わず照れ臭くなる。

 

 

小生、自慢するほど絵を描くのは苦手なので、絵の上手な人は無条件で尊敬しているのだが、森さんは更に格別だ。

 

普段、そもそも絵を見てときめくという感覚はあまりないのだが、初めて森さんの絵を見た時はすさまじい衝撃があった。描いている人物に小生の好きな乃木坂46のメンバーがたくさんいるということもあって、その後は完全に森ワールドにはまっている。

 

これ以外にもいくつか作品があるので紹介しよう。もちろん、ご本人の了解済みでの開示だ。卒業生も含め、乃木坂46のメンバー(白石麻衣、橋本奈々未、西野七瀬)の一部である。

 

    

 

もちろん、絵のモデルとなっている子たちの顔面偏差値が高いということもあるだろうけれども、このレベルの絵となると似ている云々ではなく、それをモチーフとして昇華した「別もの」に仕上がっているのだ。音楽で言えばオリジナルのメロディが編曲によって、より一層完成された楽曲に変わっていく様なものだと思う。

 

それと、小生が森さんの絵が好きな理由の一つには、森さんがその絵を描くに当たって参考にしている写真をきちんと示しているということがある。つまり、

 

「このスナップ写真を題材としていますよ」ということを、写真と共にはっきり公開していることだ。

 

これは、ある意味自信がなければ出来ないことだろう。実際、絵と写真を見比べてみると、絵の方が写真よりも数デシベルぐらい品質が高いことに気付く。ここに暗示されていることは、即ち意図的に森さんが「写真に写っているが描かない」とか、逆に「写真には写っていないが描く」とか、そういう緻密な計算結果によるものなのだろうと思う。

 

たしかに科学論文などに記載される画像としての描画であれば、例えば顕微鏡を観察しながら昆虫の脚を描く場合など、足の爪の近くに生えている毛の一本一本まで忠実に描画することが大切なのであるが、芸術品は記録ではないのだから、むしろ、

 

作者の感性による様々な加減算の結果が描かれるべきであり、自ずから写真とは異なるわけだ。

 

かつて小生はテレビの映像信号伝送技術に携わっていたことがあったが、その時に学んだことの一つに、描画は必ずしも現実に対して忠実である必要はなく、むしろ、視聴者の思い込みに忠実な方がユーザーに満足感を与えるということだった。桜の花など、現実の色よりも紅へ色相がシフトしている方が日本人にはウケが良いという。

 

確かに空の色など土地によって異なるから、見慣れれている色に忠実な方が違和感を持たない。テレビメーカーにとっては、この微妙な色の違いがノウハウとなるそうだ。

 

そんなことを想い出しながら、森さんの絵を見ると、描画に対する妥協しない「こだわり」が見え隠れする気がする。どういうこだわりなのか、小生ごときでは言葉に出来ないのだが、なぜ森さんの作品に共鳴したかというと、恐らくそのこだわりと小生の感性の同期がぴったり合ったということなのかもしれないと思うし、恐らく極めて多くの人とも同期が取れるはずだと思う。

 

興味ある方は「森千広 色鉛筆」で検索すれば多くの作品に触れることが出来る。これからの森さんの活動が楽しみだ。