カタカナ書きの破壊力  - カタカナによるネーミング効果 | プロムナード

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これまであまり意識したことがなかったのだが、 最近気付いたことの一つに、
 
カタカナの持つ魔力というか破壊力
 
がある。
 
この写真は古い頓服薬。右書きだから戦前から戦後間もないころの薬だろう。「トンプクかぜぐすり熱の母」、及び「ネツトリハハ熱の母」というコピーがあるので、「熱の母」というのが商品名の様だ。高級新薬セキドメの母らしい。ところが左側に「トンプクはらぐすり胃腸の母」というコピーもあるので、風邪薬と胃腸薬が同居しており、事態はかなりややこしい。
 
しかし、何と言ってもキャッチーなのは、中央で時計(ただし、長針と短信の長さが同じ)を抱きかかえた国籍不明なハチマキ男性が実にアヤシすぎること。また、彼の不思議な形をしている腕の先にある指で示すところに「二十分デナオル」と書いてあるのも、怪しさに拍車をかける。「この人に勧められてもなぁ」という気がしないでもない。
 
この図案を立案した人にぜひ会ってみたいものだ。因みに、「乃木製薬研究所」とあるがネット検索ではヒットしない。
 
 

ところで、商品名にカタカナを用いたものはたくさんあるが、カタカナの与える印象に就いて考えてみると、カタカナは外来語を表記する場合に用いられることから、何か「ハイカラ」なイメージや精鋭的、斬新的なものという先入観を与える高架がありそうだ。或いはおしゃれな感覚も与えているかもしれない。上記の写真に示す宣伝がハイカラかオシャレかはともかく(当時はそうだったかも?)、インパクトがあることは確かだろう。

一方、カタカナ書きで表すことによって、例えばケータイの様に本来の広義として示す物事を離れて独自の商品群を示すことがある。「ケータイ」とカタカナ書きすれば、携帯電話やスマホといった商品の総称となる。

薬の名前を見てみると、現在もカタカナを使ったものが多く存在しているが、薬品の名称としては薬効成分の名前そのものか、それを基にした造語が多い様だが、昔の商品名にはそれとは別のユニークな、ある意味コミカルなネーミングのものがある。
 

こういう遊び心的なネーミング、もちろん現代にも多く存在するが、あまり奇をてらった名称でない限り、消費者に簡単に記憶してもらえる上、意外と好感度は高いかもしれない。