FMから地デジまで使える広帯域アンテナの自作  - 理論より実践! | プロムナード

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以前、USB型ワンセグチューナーを使い、SDR(Software Defined Radio)をインストールしてPCを広帯域ラジオ化させる方法を紹介した。

 

1セグチューナーUSBあそび -440円で作れる広帯域受信機

http://ameblo.jp/millimeter-wave/entry-12175731609.html

 

そのときはFM用のアンテナで動作確認をしたのだが、最近になって広帯域のアンテナを繋いでみたくなり、自作する事にした。もちろん、アンテナの設計には膨大な計算が必要であり、しかも建物などの障害物などの環境諸条件が複雑に絡んでくるので実際には計算通りとはならず、いきおい、アンテナ設計はやってみるのが一番というオチのある試みではある。実際、小生がかつて学んだ電波工学の教授いわく「五素子以上のアンテナは計算し切れないし、計算するよりもカットアンドトライで作った方が早い」と豪語していた。今から40年以上も前の話なので、現在ではコンピュータを用いた様々なアンテナ設計アプリや電磁界解析も出来ているが、それでも実際の郊外では環境条件の総てを計算するのは、現実的に考えると不可能だ。その意味、大雑把に作っておいて後で調整出来る様にしておけば、自作も楽である。

ということで、適当に作り始めた。

 

まずは、アンテナ。この場合、長さを自由に調節出来る無指向性のロッドアンテナが最適だ。

 

ロッドアンテナとは、昔から手元にある身近なアンテナのことで、かつての携帯電話の一本モノやアナログテレビ時代の室内アンテナや現在のFM卓上アンテナに用いられている二本のものが一般的だろう。今回は、土台を固定したまま縦横に自由に張れる様、180度回転出来るものを4本使うことにした。これをアマゾンで一本260円にて調達。しばし待つ事数週間、中国の北京から直送されてきた。

 

 

それを厚み1cmのアクリル板の上へ四角に配置し、電動ドリルで穴を開けてネジ止めする。厳密に言えばこの素材も誘電率が問題となるが、今回は加工性のみ重視。アンテナ間の距離に就いては、狙う相手がVHF帯、つまり100MHzであれば3mもあるので、数cm程度の違いは誤差の範囲として作業開始。専門家からみたら相当いい加減であるが、効率を測定する目的ではないので、いい加減で十分。

 

ロッドアンテナの固定穴の直径は2mmなので、2mmのドリルで穴を開ける。ここでちょっとした事故が発生した。少し力を入れすぎたため、ドリルの刃が折れてしまったのだ。相手がアクリルとはいえ、2mmというのはさすがに細い様で、掘削時に手でしっかりと固定させればよかったのだろうが、力加減が強かったのだろう。たまたま折れた頭がアクリルの上に出ていたのでペンチで引っ張りだす事が出来たが、失敗失敗。次いで3mmのドリルで再挑戦。今度は力をかけずに緩く進めたので成功。その穴を四つ開けた。

 

次いで圧着端子に同軸ケーブルをカシメる。同軸ケーブルは手元にあった3C-2Vのものを使う。3C-2Vはこんな感じの同軸ケーブル。ごく一般的なケーブルだ。

 

 

これをロッドアンテナの穴と一緒にアクリル板に固定し、ケーブルの反対側にはPC用ワンセグチューナーに接続させるF型コネクタをつけて完成。

 

 

完成した形は、2x2のロッドアンテナで構成されたAWXアンテナもどきのやつである。先に述べた様に、殆ど計算などせず適当に勘だけで作成した。受電できた暁には、後で原理を考察すればいい。

 

まずはSDRに接続してみた。これが結果驚くほど利得が高い。実際、拙宅からはかなり遠くて一階では受信できなかったFM横浜もきちんと入る。試しに、市販されているFMアンテナに切り替えてみたが、殆ど入感しない。ブースターをオンにすればいくらか良くなるものの、なんとブースター無しの自作品に劣る利得となった。

 

 

写真は、拙宅で受信した84.7MHzのFM横浜。拙宅まで直線距離で65kmだ。ブースター付市販品よりもブースター無し自作品の方が利得が高いことがわかる。

 

4本あるアンテナの長さや方向を色々と調整すれば、更に高いゲインが得られそうだ。

 

 


おりしも、知り合いから使っていないというテレビを一台もらったのでテレビのない部屋に置くことにしたのだが、その部屋には壁にアンテナ端子がないため、別の部屋からアンテナ線を引き込むか室内アンテナを設置する必要あるので、簡単に済ますために室内アンテナを置く事にした。

 

とはいえ、拙宅のロケーションは東京スカイツリーから約30kmあり、いわゆる中電界という地域であるので室内アンテナはブースター付の大型のものが必要と言われている。とは言え、もしもその大型アンテナでもダメだったら買ったアンテナが無駄になる。高価な室内アンテナを捨てるのは忍びないので、無謀にも強電界用の安いアンテナで「勝負」することにした。とは言え、さすがにブースターが装備されているタイプとした。価格は約3000円程度のもの。結果は、受信のたびにアンテナの位置を探る必要はあるが、その手間を惜しまなければまずまずの性能が得られた。

 

さて、そこで今度は自作アンテナの登場だ。これを試す事にした。この自作アンテナは、素子が総てロッドアンテナとなっているのでアンテナ長は可変だ。そこで地デジの周波数に合わせてアンテナを短くする。これを使って受信してみた。結果は頗る良好。しかもこの自作アンテナはブースターも無し。これには我ながら満足。

 

こうなってくると、もっと素子数を増やしたり色々やってみたくなってきた。

 

こうやって実用よりも好奇心が勝ると、色々とモノが増えてきてしまうのである。