乃木坂46が誕生してから2年後に発売となった楽曲「バレッタ」のPVも、そういった短編映画的色彩の濃いビデオのひとつで、ここに描かれている映像は、法秩序云々と云った四の五の言う野暮な仕組みを一刀両断に切り捨てる爽快感と、逆にそこに潜む得体の知れない恐怖感が巧妙に折り重なっているためにビデオを見終わった後の不気味感は半端なく、またそれを演じる乃木坂46の演技力も秀逸であるがゆえ、
小生のお気に入りビデオの最高峰にあるビデオだ。
因みに映像に出てくるスマホに表示された日付は、今からちょうど2年前の2013年10月15日となっている。

https://www.youtube.com/watch?v=5DLrnKOiVlA
このビデオ作品は、二期生の堀未央奈が先輩たちを一気に追い抜いてセンターに立つという大抜擢が話題となった時期のビデオなのだが、ビデオのストーリーとしては歌詞との相関関係は殆どなく、いかがわしい集団に囚われの身となった仲間を救出すべく、メンバー達が銃器を携えてその集団を壊滅させるというストーリーで、難解なイデオロギーの様なものがない単純なストーリーなのだが、これがアイドルグループのプロモーションビデオなのかと思わせる禁断の演出が見られるビデオ作品として仕上がっているのだ。
ラストシーンは観る者の想像を遥かに超える展開となっており、乃木坂46のウラ事情まで推察すると恐ろしく奥が深く、ファンに「なぜこんなビデオを?」という疑問を持たせたナゾの多いビデオでもあり、ファンの間ではむしろ乃木坂46の立ち居地や内部事情を暗示するものという解釈が多くみられ、2年を経た今日でもその議論は収拾がつかない状態にある。
ストーリー最後のセリフ、「だって、こうするしかないじゃない?」は一体誰に向かって言っているのか、あの銃声は誰が誰に対して発砲したものなのか、真面目に分析すればするほど滑稽なくらいにハマる作品なのだが、この楽曲の歌詞を支配している「妄想」という心理状態を鑑みれば視聴者の間で様々な見方が生じても可笑しくはなく、恐らく答えもない作品なのだろう。
見終わった視聴者にあれこれ議論させるという、まさに制作者冥利ともいえる罪な作品でもある。