マラソン走ったんですよ。
つーか大阪マラソン2016、湘南国際マラソン2016の地獄の2連続で走ってるので
1年半ぶりの3回目のチャレンジなんですけど。
毎回友人に申し込みを強要されていやいや出場し、途中で筋肉が完全に死ぬので
「二度と出ない!!!!!!!!」と湘南の後言い切ったのだが、
「二度と出ないが、商品が豪華な場合は除く。」などと言ってしまったがために、
名古屋ウィメンズマラソンに出ることになってしまった・・・
はい、ティファニーマラソンです。金の亡者である時点で出ないわけにはいかない。なんせティファニーである。
勿論完走賞の商品である時点でプラチナや純金であるわけないのはわかっちゃいるが
それでも女の憧れティファニーである何に憧れているかはよくわからんが、
女が生きるうえで長年あらゆる口承伝統で潜在意識に叩き込まれてしまった宗教的価値観。
かつては皆が知っていたかもしれないし、そんなものは実はなかったかもしれないけれども、
その高い価値の根源的理由の有無以上に現代女性において絶対的意義を持つ宝飾品。
欲しい。
ということで頑張って出ることにしました。
なお3月11日(日)開催だったんだが、8月末に登山でひでえ捻挫で靭帯切れてしまい、
なかなか治らず3か月以上走れなかったので、今回準備期間が3か月しかなかったので結構大変であった。
2016年のマラソンの際には半年前から週4日は走るようにしていたが、悲しいかな、
人間とは理由は怪我であれ怠惰であれ何であれ、
しんどいとわかっていてかつ結果が出るのに時間のかかる行為については
一度止まると再び同じレベルで努力をすることを本能的に拒否してしまう。
ということで週3回練習してたら良い方で、週2回の練習ばかりであり、
結局マラソンまでの総練習量はかなり少ない状況。
まあマラソン以外に登山とかやっていたのでまあまあ体力はあったとはいえ、
本番まで「まじで42kmいけるやろか・・・?」であった。
とりあえず夜行バスで10(土)に名古屋に乗り込む。
ななちゃんお久しぶり。ちゃんとマラソンモードやね。
でまずはカーボローディングという名のもとに名古屋観光(と言っても数年前住んでんやたが)。
名古屋駅から徒歩約10分、柳橋中央市場。
威勢のいい掛け声、発砲スチロールの擦れる音、ゴム長靴が地面に吸い付き離れるパタペタ音。
ひたすら卸される巨大魚普通魚小魚、見たことがあるけれど一目でその正体がわからない牛の臓物一式。
まさに市場。おそらく築地はもっと大規模なんだろうが、このエネルギーの中にひっそりと
「ラーメン大河」がある。なお「如水」系列のお店です。
朝一でも食べられるよう調整されているのか、あっさりさっぱりとしたスープであるが、
しっかり深みもある醤油味。なおもやしの量がかなりすごい。朝から大満足。
そして駅に戻り、やはり個人的に名古屋の朝といえばこれ。
「むらやま」の小倉チーズトースト。
名古屋支店で勤務時代から、疲れた時にこれを食べて元気を出している。
あんこの甘さとチーズの塩っ気が見事にマッチ。
つーか朝からこれでどんだけカロリー取ってるんやろう・・・
まあええや、とりあえず出場手続きのためナゴヤドームへ向かいます。
ナゴヤドームでは外でファミリーマラソンをイベントやってたり、中でも色々既にお祭りモード。
各地域のゆるきゃらも応援しており大変華やかな中、
本当に突然、やる気のなさそうなカリスマが目の前にやってきた。
名古屋の誇るスーパースター、ドアラ・・・どあらあああああああああ!!!!!!!
あまりにも目の前に来たもんでびっくりした!!!!!
耳がふかふかやった。
なおやる気がない割に子供やスポンサーにはめちゃめちゃサービスが良い。
おしりのボール兼しっぽがくそかわええ。揉みたかった・・・
時間がたっぷりあるのでスポンサーブースを回る。
メナードのブースでお肌診断してくれたお兄さん、というか、メナードの男性、間違いなくルックスで選ばれてる気がする。
やたら小奇麗な若い子が多かった。さすが女性のための会社じゃ。
そして一番メインとなるティファニー&フィニッシャーTシャツ発表とおもてなしタキシード隊発表イベント。
タキシードというスーパーアイテムによるブースト効果で微妙な人もものすごくかっこよく見える。
衣装大事。集団であること大事。
とにかく走りきればタキシードの男性がティファニーをくれる、というものすごく大きいモチベーション。
女の心と体と試算を動かすのは宝飾品と男。
脚が折れようが裂けようがとりあえずゴールせねば全く意味がないので明日頑張るぞ、と会場を後にする。
お昼にコンパル名物海老サンド。海老サンドは勿論好きだがコーヒーが濃くて好き。
喫煙でも気にならない人は是非。
で名古屋観光。久々の名古屋市美術館へ。
ここの常設絵画の「シベリアの王女」という超巨大な海があるんだけど、本気で憂鬱になるのでマジオススメ。
そして個人的に一番の名古屋オススメスポットである名古屋市科学館。
なんつったって見た目のかっこよさ、施設の充実度、プラネタリウムの椅子の良さ、どれをとってもNo.1。
元素ロッカー選びから既に楽しいので名古屋観光の際は是非。
夜ご飯もカーボローディングとして麺を投入。
東海の一部のみでやたら有名なベトコンラーメン「新京」。ニンニクがこれでもかと入っているので、
明日友人にニオイでつっこまれるやろな、と思いつつ、エネルギー漲る。疲れ気味だったが元気出た。
市内のホテルが取れなかったので刈谷市へ。
ホテルで赤福を食う。餅はマラソンに良いので残りの半分は朝に食った。
さあ明日頑張るぞ・・・と11時に就寝。
で、朝である。天気晴れ。朝は2度だが昼から15度以上になるらしい。
捻挫防止にテーピングを巻きまくり、大曾根から徒歩20分、ナゴヤドームは見渡す限り女の山。
いつものマラソンと違い皆のウェアがピンクやパステルカラーで華やか。
人だらけの中なんとか友人たちと合流。
準備体操から何かようわからんがウェーイ系の体操。下手するとこの時点で怪我してしまいそうだが筋肉を伸ばす。
9時半にAブロックがスタートし、それから約10分後にスタート地点へたどり着く。
湘南マラソンで名古屋とは同じようなスタート位置でだったのに30分以上待たされたことを思うとこのサクサク感最高。
名古屋の道はさすが車社会、広い。最初は住宅街チックなのだがそこでも十分に広い。
湘南マラソンが精神的にしんどかったのは道の狭さによる人の混雑であったので、
早い段階で人が散って、前の人を抜かすのに最適なスペースができるまでが比較的早かったのは良かった。
というか湘南がクソなのか。
毎回の傾向で、20km迄はかなり軽快な走りができるものの、
練習不足も前回、前々回と同様、間違いなく28kmまでに脱落するのが見えている。
いかに省エネに走ることができるか・・・これが自分の勝負の分かれ目でもある。
名古屋ウィメンズは20kmを超えないと食品のエイドがないので、
色々なエネルギー補給グッズを携帯してエネルギー切れに対策を行った。
てかまじでこのエイドのバリエーションの少なさは何とかしてほしいと思った。
あと最後の方に出てくるレッドブル+音楽は本当に元気出たのでもっとあちこちの大会に出てきてほしい。
まじで翼授かったので今後レッドブル飲もうという気になった。
それにしても今回予想外だったのが、脚の疲れである。
前のマラソンでも20kmを過ぎれば何らかの疲れが出てきて、28km位で音を上げ始め、
それを何とかごまかしながら進むんだが、今回はあまりに早い段階で耐えがたい疲れが眼を出した。
最初は気にしていなかったのだが、たった10kmしか過ぎていないのに
既に20km走ったような、下から突き上げてくるような足の疲れが出てきた。
6分/kmのペースは確かにこれまでの自分のフルマラソンのスピードの中では速いペースではあるが
日々の練習ではこれより速いペースであるので、10kmの時点でこの疲労感はおかしい。
前日の観光疲れとは明らかに違う、自分の外側由来の苦痛・・・
原因は道路の堅さである。
名古屋のコースは通常のアスファルトではなく、はるかに堅いコンクリートでできているという。
後からネットで調べて出てきた又聞き情報なのだが、メンテナンスの頻度が大幅に減るコンクリート道路は
国内では名古屋に集中しており、そしてこのマラソンコースがまさにそこにあたる、とのこと。
走るたびにガンガンと両足に地味なダメージを加え、足首から太腿まで全体に響き、通常の何倍もの苦しみへ。
ひどく地味なダメージ。しかし確実なダメージ。
友人も確かに疲れているが、本人的には間違えて選んできた、履きなれてないゲルカヤノが良かったらしい。
普段の道だとアシックスのゲルカヤノは足に優しく作られすぎてて、スピード重視派には物足りないらしいが、
名古屋のこのカチコチの道には最適な衝撃吸収力があったようだ。
自分のシューズはそこまでのクッション性はないので、とにかくダメージをこらえ走り続けたが、
二人についていくのに耐えがたい。そしてこの二人は止まらない。
とにかく痛い。
自分はいつも練習の際、酷い時は数キロごとに停止するんだが、ドリンクを取るとき以外一切止まれない。
かなり早い段階で限界が来ていた。
20km地点の白川公園にエアーバンテリンを置いたテントがあった。助かった!
とにかくこのダメになりつつある足の地獄をごまかしたい。
1本使い切るんじゃないか、という勢いでエアーをひたすらかけまくる。
それでも道に戻るが疲労が取れない。
友人たちはひたすら進む。僕は眠りたい。それが無理なら休みたい。
トイレに駆け込む。目的は尿よりも停止だ。止まらせてくれ。
このようにして今回は友人と別れ、ここから一人旅の始まりである。
友人とともに走っていると、途中で憑かれて来たらしょーもない話をして疲労と救難であふれかえる脳内をだまし、
なんとなく流れに任せて通常以上のパワーの維持ができたりする。
人によっては友人に鼓舞される効果だったり、集団で走る責任感から通常以上のポテンシャルを発揮する効果もあり、
マラソンに自信がない、またはモチベーションが低い初心者は友人と走るのが結構いいんじゃないかな、と思う。
しかし友人から脱落した場合、本当に大変だ。
多くの人は一人で走っているとはいえ、人と一緒に走っていた状況から1人になるのはなかなか精神的に重い。
走るという行為の本質は変わらないのに、走らねばならない、という意味がよくわからなくなる。
特に自主的にマラソン大会に出ているわけではない自分にとっては余計に。
自分のために走る・・・意味が分からない・・・何のために走らねばならないのか・・・
何と戦っているのか・・・走ることにかけがえのない価値でもあるのか・・・
不安と疑問。そしてよくわからない怒り。
やってたバンドが何らかの事情で解散して無理やりソロデビューさせられる感覚ってこういう感じなのかもしれぬ。
先ほどまでみんなで6分/kmで走っていたのが一気に7分台に落っこちる。
よくわからない事情のため走る。ただ一応わかっている。ティファニーのために走っている。
だがティファニーは買える。このマラソンのオリジナルデザインだって、毎年ヤフオクやメルカリに出品される。
金さえあれば何とかなってしまうのは知っている。
だが既に金を払ってわざわざ名古屋まで来て走っているのだ。
この大会は金を払っても商品はくれない。あくまで完走しないともらえない。
損得勘定。投資におけるリターン。苦痛に対する見返り。
人間を動かすものは利益だ。痛みゆえに余計に獲得せねばならぬ利益。宝飾品。
念仏のごとく「宝飾品。宝飾品。」とつぶやきながら前に進む。
途中から意識がもうろうとはせず、ひたすらはっきりしてくる。
走ることが自分の人生においてどのような価値を持つか、そもそもなぜ生きているか、問いかけている。
生きる目的は数時間でわかるほどわからないが、走ることは自分の生きる目的ではない、絶対ない。
それでも自分の生活の一部を金銭という形で切り取ったという事実において、
何かを得ねばならない。
ティファニーに別にこだわりもないし集めてもいない。
ティファニーへの愛以上に、損することへの嫌悪が執念の42km達成につながるだけだ。
30km前後で足の痛み、心の痛みがさらにひどくなっていく。なぜか涙が止まらなくなっていた。
これは42kmという刑罰だ。ゼッケンは囚人番号だ。
いったい何の罪に対する罰なのかわからないが、これが罰でなければなぜこんなに痛いのか。辛いのか。
実際に沿道から「●●番頑張れ!」と自分の番号を叫ぶ見ず知らずの人間の声が飛んできた。
お前に何がわかる。明らかにひどい足の痛みを抱えて前に進み続けているのだ。
動かない足を無理やり引っ張りまわして前に進んでいるんだよこっちは。
頑張っている人に頑張れなんて言わないでほしい、というのが精神の奥にまで沁みてくる。
怒りが原動力になる人がいるが、まさに自分はそれだ。
35kmを超えてくる。あまりにもひどい疲れでワンオクのthe beginningを歌い始める。
まだ1時間近く走るのか、とうんざりしてくる。
あそこにもあちらにも駅がある。地下鉄に乗りたい。そもそもなんで走るんだ。
本能的に休みを求め、走りを止めてまた歩く。あと1時間でゴールできるだろうか・・・
疲れは常にピークだが、横にスタッフに囲まれた芸能人がいる。名前はわからない。
(ていうかこのマラソンのゲスト、誰一人有名な人がいないんだが・・・)
道の端に寄ることもなく、ど真ん中で停止してのんびりストレッチを始めるその姿を見て怒りを覚え、
「金もらって走ってる芸能人にタイム負けるわけにはいかねえ!」と謎の闘争心に火が付くw
ああ、こういう効果のために芸能人が走ってるのだな、と謎の納得。
で、とりあえずグロスタイムでは初めて4時間台でゴールできました。疲れた・・・
そしてタキシード男子からティファニーをもらう。
たしかにゴール地点にタキシード男子がいるのは華やかでドリーミーだし
彼らからティファニーもらえるのはなんだかんだでうれしい。
あと完走賞の商品のTシャツがかわいかったのも良い。
これがあるならまた出てもいいかなあと思ってしまったw
そして終了後のビールがくっそうまい。
なおこの日新幹線が停止して帰れなくなってた人が続出してたが、打ち上げしてたおかげで影響なかったw
なお次の日は生まれたての小鹿みたいな動きになりました・・・