スターピープルはあなたのそばにいる アーディ・クラーク博士のUFOと接近遭遇者たち ‥ 2 | inca rose*のブログ

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第十章   ベア・ビュートに舞うUFO

二○一三年の夏、私はベア・ビュートに向かって車を走らせていました。最後にベア・ビュートに登ったのは一九八○年代のことで、ラピッド・シティ学校区のラコタ族の子供たちの引率をして、頂上まで登りました。それは学校の遠足でしたので、数人のラコタ族の長老と保護者も付き添っていました。遠足の目的は、ベア・ビュートが人々にとって大切な場所であることを子供たちに教えることでした。

それから三三年が経過し、私は今度は一人でこの地への旅をしていました。私が丘を登り始めていた時、背後からもう一人の足音が聞こえてきました。肩越しに後方をちらりと見ると、ニコニコした青年が私のわずか三メートル足らず後ろを歩いていました。私は彼が追いつくまで足をとめて待ちました。

「やあ、伯母さん」彼が声をかけてきました。私は彼と血縁関係はありませんでしたが、その呼びかけに驚くことはありませんでした。先住民の習慣として、女性は誰でもある一定の年齢に達すると、親しみを込めて“伯母さん”と呼ばれていたからです。
「こんにちは」私は返事をしました。
「ずいぶんと早起きなんですね」彼は言いました。
「混雑と炎天下を避けたかったのよ」

「僕もそうです」彼はこたえ、
「これまでもベア・ビュートに登ったことはあるんですか?」と尋ねました。
「三三年前にラコタ族の生徒のグループと来たことがあるの。一日がかりの遠足よ」
「僕は去年ここでハムブレイシアをして、十八歳の誕生日を迎えたんです」
「それは素晴らしいわ」
「それは人生を変える体験となりました」そう答えた彼は、もの思いにふけっているようでした。

それから二、三分間、私たちは黙ったまま小道をたどって歩いていました。
時おり彼は足をとめて、道沿いに育っていた野生のカブや薬草類を指しました。しだいに頂上に近づくにつれて道が荒れて曲がりくねってくると、彼は私の足取りを安定させるために手を取ってくれました。頂上に到達すると、そこにはこれまで数えきれないほどの人たちが霊的な探究心を持ってこの場所を訪れていたことが一目瞭然でした。

頂上の背後を取り囲んでいる小さな木々には、何百ものタバコの束が結んでありました。
「ところで、僕はデュアンといいます」彼が言いました。私が自己紹介をすると、彼は満面の笑みを浮かべました。

「僕はUFOと遭遇したんです。ここでハムブレイシアをしていた時のことでした。ここでと言っても、正確にはいま僕たちが立っているこの場所ではなくて、自分たちのために用意してある特別な場所です。ヴィジョン・クエストを始めて二日目の晩に、UFOが現れたんです。それは僕の人生を変えてしまう出来事となりました」

私は目の前に立っているこの若者を見ていました。彼は私を一三~一五センチほど上回る身長で、矢じりを象った黒曜石を生皮製の紐で首から掛け、擦り切れたリーバイスのジーンズを履き、Tシャツの胸には“ブラックヒルズは売り物じゃない”の言葉がプリントしてありました(訳注  ブラックヒルズの山は、かつて金鉱床に目をつけた白人と聖地を守るインディアンとの激しい戦いの場となっていた)。
襟のそばにある小さな穴は、そのシャツが彼のお気に入りであることを物語っていました。彼は長い黒髪を背中に垂らし、笑うと笑顔が顔全体に広がって、両頬にできるえくぼがブロンズ色の肌にくっきりと浮かびました。

「あなたの体験が聞きたいわ。今日はここを下りたらどこへ向かう予定なの?」私は尋ねました。
「ラピッド・シティに戻ります。父さんはまだそこに住んでいるんです」
「あら、私もラピッド・シティに行くの。その町で一泊する予定よ。たぶんそこでお話できるわね」
「まるで、あらかじめ何かに仕組まれていたみたいですね」彼は笑みを浮かべ、ベア・ビュートを二人で降りていく際に私の手を取ってくれました。

二時間後、私たちはラピッド・シティのオマハ通りにあるザ・イスタパ・メキシカン・レストラン内で、隅の三角テーブルの前に腰かけていました。チキン・エンチラーダとアイスティーを注文した後、デュアンは父親との暮らしぶりについて私にいろいろ話してくれました。

「僕は子供の頃から夜空に不思議なものを何度も見てきました。住む場所がニューメキシコ州、サウスダコタ州、ノースダコタ州へと移っていっても、不思議な光とUFOを見続けてきました。僕は宇宙に我々の兄弟が存在することを知るために選ばれたんだと、なぜか常に感じていたんです。他にもこんなことを言う人にあなたは会ったことがありますか?」
「子供時代からずっと、UFOとの遭遇体験をしているという人たちと私は会っているわ」

「僕は物心ついた頃からずっとUFOを見てきましたが、彼らと交流をした記憶はなくて、その体験を初めてしたのが、あの晩のベア・ビュートでの出来事でした」
「その晩にあったことを話してくれる?」

「僕はベア・ビュートで三日三晩を過ごすことを決めてやってきていました。初日の晩は温かかったんです。風も吹いておらず、その夜は何事もなく過ごしていきました。けれども二日目は、真夜中頃になって雨が降りだしたんです。風も容赦なく吹き付けてきまた。雨粒は僕の肌に打ち付けるように当たり、まるで何百回も蜂に刺されているかのような鋭い痛みを覚えました。真夜中を少し過ぎると、雨は雪に変わりました。僕は凍りつくほどの寒さを感じていました。それから偉大な精霊に祈りを捧げ、自分の将来についての“しるし”を求めました。僕は自分に問いかけていました。自分は身の程を知らないんだろうかって」

彼はそこで口をつぐみ、窓の外を見やり、神経質そうに指先でテーブルをトントン叩いていました。
「あの晩、降り注ぐ雪の中を貫くように、一筋の白く輝く光が突然に降り注いできて、周囲一帯を明るく照らしたんです。その光線に乗って一人の男性が舞い降りて、僕のほうに歩み寄ってきました。そして怖がらなくてもいいと僕に言いました。その時、僕の周りには雪が降り続けていて、風もヒューヒューと吹いていたにもかかわらず、急に体に温もりを感じたんです。

彼は自分たちは僕のことを長い間ずっと見守っていて、僕に見せたいものがあると言いました。そして彼は僕を宇宙船に乗せました。
次に覚えているのは、そこから別の星を眺めていたことです ー滅びかけている惑星です。
彼がいうには、その惑星はかつては地球のようだったけれど、今は瀕死の状態にあり、居住者たちは自分たちの世界を大切にすることをこれまでずっと怠ってきたため、今はその日一日を生き延びるために懸命になっていて、これは未来における地球の姿でもあるとのことでした」

「その惑星はどこにあるの?」私は尋ねました。
「分かりません。僕に分かっているのは、それは荒廃して死にかけている惑星だということだけです」
「起きてしまったことを変えるために、何かできることはなかったの?」

「彼がいうには、もし地球の状況がこのまま変わらなければ、もう人間にとっては手遅れになるだろうとのことでした。それから彼は、いつの日か僕は指導者になり、地球を変え得る幾つかの決断を下す立場になるだろうと言いました。そして全ての重大な変化は、一人の個人もしくは少人数のグループによってもたらされるもので、僕はその一役を担うように運命づけられていると言いました」
「その予言についてあなたはどう思っているの?」

「僕にはよく分かりません。僕はごく普通の男です。自分がどうすればそのような役割を担えるのか分かりません」
「長老たちにそのことを話してみた?」
「そうしました。彼らは僕の夢はとても力強いものだと言いました。僕はこれは夢ではなく、自分は宇宙船に乗せられたんだと説明しました。そのとき祖父のルーサーはとても真剣に受け止めてくれたのを覚えています。祖父は僕の話を信じてくれて、その運命から逃れることはできないと言いました。僕の運命はあらかじめ計画されていて、僕は星々の指導者になるように運命付けられているのだと」

「お祖父さんは、それがどういう意味なのか説明してくれた?」
「いいえ。僕は祖父のもとを五、六回訪れていますが、まだ教えてもらっていません」
「宇宙人があなたを地球に戻してくれた時、他に何かあなたに言っていたことはある?」
私の質問に彼は首を振りました。

「他の惑星に連れていってもらってからほどなくして、気が付くと僕はまたベア・ビュートに戻っていました。まだ雪はやんでいませんでした。僕は一人きりになっていました。僕は“ツンカシラ(祖父なる精神)”へ指示を求める祈りを捧げました。ベア・ビュートを去っていった時、僕は自分には誰かを導くための十分な知識がないことを自覚していました。僕は翌学期に大学に入学しました。学位を取得するまであと三年かかりますが、際立った存在になるためには、さらに学び続けなければならないと感じています」

「あなたの専攻は何?」
「物理学です」そう言ってから彼は豆のディップを平らげて、笑いながら言いました。
「それも僕には説明がつかないことなんです。高校では科学を好きになったことなんて一度もなかったんです。実際のところ、それを敬遠していました。ところが、専攻する分野を書く欄に、僕は物理学と記入したんです」彼は信じられないといったそぶりで首を横に振りました。

「あなたがそれを選んだのには理由があると思うわ。専攻した分野の勉強はどんな調子?」
「僕は一つの物理学のコースしか修了していませんが、A評価をもらいました。まるで本を開く前からその内容が全て分かっているような感じでした。必修科目でも好成績を収めています。数学は試験だけで単位を取得できて、これにも我ながら驚いています。僕は急速に成績を伸ばしていて、おそらく予定の四年間よりも早く卒業できるだろうと思います」
「すごいわねえ」

私はその後もデュアンと連絡を取り合っていて、彼の大学での活躍を興味深く見守っています。彼は三年間で学士課程を修了して学位を取得しました。この期間中、彼は学生委員会の活動に加わり、インディアンクラブの会長も務めてきました。彼は現在、物理学の修士課程に在籍していて、卒業後に士官の任務に就くように海軍からオファーを受けています。彼はまずパイロットを目指し、最終的には宇宙飛行士になることを目標としています。私はデュアンが自身の使命、あるいはハムブレイシアの最中にスターマンに告げられた使命を達成する途上にあるのだろうかと思わずにはいられません。どのような理由であれ、私は彼が際立った存在の指導者になることを確信しています。













『スターピープルはあなたのそばにいる     アーディ・クラーク博士のUFOと接近遭遇者たち 上 』
著 . アーディ・S・クラーク

から抜粋。