死んだ後には続きがあるのか ‥ 4 | inca rose*のブログ

inca rose*のブログ

ブログの説明を入力します。

◆体外離脱を助けるインカの死の儀式

先住民の信仰や宗教の死生観に注目することで、臨死体験の謎も、意識とは何なのかも解明できる、とする学者もいる。南米アンデスの先住民の伝統医療を調査してきた医療考古学者のアルバート・ビロルド博士だ。長年にわたり現地のシャーマンたちから学び、伝統儀式にも参加してきたビロルド博士は、次のような論を展開している。

この世界に存在するものを量子レベルで見ると、同時に粒子であり波動であることは、すでに量子物理学で証明されている。したがって、人間も粒子(肉体)であり、かつ波動体でもあると考えられる。波動体としての人間には、アンデスのシャーマンが光体と呼ぶ2種類のエネルギー・フィールドがある。
そのひとつは生物磁気体。これは神経網を通じて手足から脳に電気信号を送るネットワークで、磁気を帯びた電磁波体であり、人体に張り巡らされている。

もうひとつは、アンデスではポポと呼ばれるエネルギー・フィールドで、実はこれが、人の本体である意識で構成された光の波動体だ。
人が生きている間は、この黄金色に輝く卵形の光の波動体が、楕円形のカプセルのように人の肉体を包んでいる。

人のからだの中では、光速でデジタルのように動く神経系と、スローな化学反応で動くアナログな分泌系が機能している。この神経系と分泌系が出会い、さらに人の本質である光の波動体と重なったところには、エネルギーの渦が起きる。これが、ヨガでいうところのチャクラで、人体には脊髄に沿って7つのチャクラがある。人が生きている間は、本体である意識はチャクラにねじ込まれ、肉体につなぎ留められている。

死とは、人間がそれまで使用していた生物磁気体が崩壊した状態で、そうなると、チャクラのエネルギーの渦も消滅し、人の本体である意識はチャクラから解き放たれて、体外離脱する。
ビロルド博士は、この証明として、本来は死期が近づいた人にシャーマンが行うインカの死の儀式を、死の予行演習として、ワークショップで教えてきた。

演習では、死を模擬体験する人は仰向けになって床に寝、数人の介在人がその周りを囲む。そして寝ている人のチャクラの上にみんなで手をかざし、時計のまわりにぐるぐる手を旋回させる。そうすることで、人の意識をからだにつなぎ留めているエネルギーのネジを緩めるのだ。

すべてのチャクラのネジが緩んだら、介在者は一緒に両手を上に向け、目には見えない人体の波動体を持ち上げるような仕草をする。すると、チャクラで人のからだに留められていた光の波動体が浮き上がる。
死の床についた人に行う本番の儀式は、魂の体外離脱のアシストが目的なので、それでおしまいだ。が、死の予行演習として行う儀式の場合は、介在者はいったん持ち上げた手を次に下にさげ、からだの外に出かかった光の波動体を体外に戻して、見えないチャクラのネジを締め直す。

実際に私もビロルド博士が行うこの死の儀式に参加したことがある。死を模擬体験する役となって、仰向けに寝て目を閉じていると、しばらくして、一瞬ふわっと自分のからだが浮き上がったような感じがした。他の参加者も全員、同じ感想だった。
インカの伝統社会では、人の臨終に際してこの儀式を行い、人の本体がうまく死体から抜け出るよう助けてきたのだ。


◆『チベット死者の書』は、臨死体験の記録なのか?

宗教のなかでとくに死を重要視するのがチベット仏教だ。欧米人でもよく知られている『チベット死者の書』は、宗教学者の間では、チベット仏教独自の輪廻転生思想の現れとみられてきた。
が、『チベット死者の書』は、輪廻転生で生まれ変わった人が、生まれる前に体験した死後の世界を覚えていて語った知識が伝えられたものだ、とする研究者もいる。宗教学者ではなく、量子物理学の第一人者として知られる理論物理学者のアミット・ゴスワミ元オレゴン大学教授だ。

『チベット死者の書』では死の過程は次のように説明されている。
肉体が滅びると人の意識は人体の開口部から外に出る。死後も意識は肉体を持たない魂として存在し続け、生前の行いなどに応じて、バルドー(ドアウエイ)と呼ばれる様々な過程を経る。そのいずれかの過程でクリアな光に包まれれば、魂は物質世界への輪廻転生から解き放たれ、純粋な意識体のままでいられるようになる。光が見えなければ、再び人か動物として生まれ変わり、自分の魂の成長のレベルにふさわしい修行を積むことになる。

死に際して人が最も注意しなければならないのは、からだのどこの穴から、意識を脱出させるかだ。お尻の穴ではなく、頭のてっぺんから自分の意識を体外離脱させることが重要で、そうしないと、地獄のようなバルドーに行ってしまう。そのためには意識がしっかりした状態で死に際を迎えなければならない。

ゴスワミ博士によれば、量子物理学的にいうと、意識はフォトン、つまり光でできていて、その光で宇宙はできている。臨死体験者が体験する光の世界は、チベット仏教が説くバルドーで現れるクリアな光のことで、『チベット死者の書』はフィクションではなく、死の過程のリアルな解説書なのだ。

人が死ぬ過程で、からだはどう変化するのか、人の意識は死後の世界でどんな体験をするのかについての知識と、正しい死に方のハウツーを詳細に示したマニュアルが『チベット死者の書』なのだ、とみることもできるということだ。
チベット仏教では、人の魂は死後の世界で光に受け入れられれば、解脱を果たすとされている。臨死体験者のなかには、人の存在や宇宙についてすべてを理解した、全知全能の意識と融合した、といった記憶をもつ人もいる。ゴスワミ博士の仮説によれば、そうした人たちは、光の世界に入って宇宙意識に目覚める段階まで死の過程を進み、悟りをひらいて帰ってきた人たちなのかもしれない。


◆健康になっても超常現象が続くことがある

死後の世界を体験してこの世に戻ってきた記憶をもつ人が、現代医学の常識を超えた回復力を示すことは先に述べた。それは本人や近親者にとってはまさに願ってもないことだろうが、赤の他人からすれば、奇異な現象だ。

実際、臨死体験者の大半は、自分の体験が疑いの目で見られているだけではなく、死の淵から生き返って元気になったことでも、気味悪く思われているのではないか、と気にかけている。そんななかで、臨死体験を公表した人も、他人からさらに奇異の目で見られるのを恐れて口にしたがらないため、あまり一般には知られていないのが、臨死体験者のその後の人生につきまとう超常現象だ。
超常現象は科学者にとってもオカルトとか似非科学として疑問視されやすい領域であるため、研究発表としてはあまり公にされていないが、臨死の体験者や研究者の集まりに行くと討議されているテーマのひとつだ。

よく耳にするのは、臨死体験した後には、家の中の電球や通りがかりの街灯が頻繁に消えたり、家電製品やコンピュータが故障しやすくなる、という現象だ。
超心理学者や超常現象を研究する物理学者の間では、電化製品やエレクトロニクス製品の誤作動は、超能力者や霊能力者の周囲、また心霊現象の現場でも起こりやすいことは以前から知られ、そうした人々や目に見えない霊体がもつ特殊な電磁波が機器に影響を与えるのではないかと考えられてきた。

いわゆるポルターガイスト現象のひとつで、超常現象の研究者は、ポルターガイストは、電磁波的に特殊な体質をもつ人や霊体から出る電磁波と、常に変動する自然界の電磁波、家電やエレクトロニクス製品から出る電磁波の相互作用で発生する突発現象だと考えている。
そうしたことから、臨死体験者の場合にも、物質世界とは次元の異なる死後の世界から帰ってくることで、人体がもつ電磁波に何らかの異変が起こったのではないか、と推測されている。18歳のときに、臨死体験し、臨死体験者のサポーターになったソーシャルワーカーのキムバリー・シャープさんも長年にわたって、家電製品の故障やポルターガイスト現象、幽霊体験など超常現象に悩まされ続け、夫の死も共死体験したという。

臨死体験者のなかには、生き返り、瀕死の状態ではなくなった後も、しばらくの間は、意識がどこか別の次元に飛んでしまったり、臨死体験中に出会った天使とコミュニケーションできたりしたという人が少なくない。
とくに蘇生した後にしばらく昏睡状態が続いていた人の場合には、その間、意識がからだから出たり入ったりを繰り返していたとみられるケースが多い。

蘇生した後にも、そう意図することで意識を体外離脱させることができるようになる人がいる一方、自分の意志にかかわりなく、意識が時として勝手に体外離脱してしまうようになる場合もあるようだ。
すっかり健康を取り戻したいまでも、特殊なサウンドを聞きながら瞑想することで臨死体験中に行った世界に戻れる、と語っているのは、脳神経外科医で臨死体験者のエベン・アレクサンダー博士だ。

臨死体験を経て、深遠な悟りを得たと考えるアレクサンダー博士は、一般の人にもそうした意識変容を体験してもらいたいとして、自分が臨死体験中に聞いた音を再現したサウンドを使った瞑想用CDまで販売している。














『死んだ後には続きがあるのか     ー臨死体験と意識の科学の最前線ー』
著 . エリコ・ロウ

から抜粋。