彼と彼のご両親とそんな話があった少し後に(前章をお読み下さい)、彼と一緒に遺伝カウンセリングに行きました。
病気と向き合おうと思った時に、予約したものです。
遺伝カウンセリングがどのようなものか分かっていなかったのですが、とりあえず事前に今不安な事や聞きたいことをノートにまとめてから行きました。

彼のご両親に結婚を反対されていて辛いということ。
発症前診断を受けることが条件だと言われたこと。
それを受けた時の不安があるということ。(結婚できなくなるんじゃないか、捨てられるんじゃないか等)
子供が望めるのかということ。
着床前診断や出生前診断のこと。
介護者側の不安や心のケアについてのこと。
公的サービスについてのこと。
…

私と彼は、カウンセリングの少し前に彼と彼のご両親が話した事を引きずっていたので、心がとても不安定でした。
なので、今回のカウンセリングは半ば駆け込み寺のようなものでした。
"何か将来への道すじが見えたら…"その一心でした。

初めての遺伝カウンセリング。
今自分は健康なのに、住んでいる地域でも大きい病院へ行くというのは何だか異様な感じで、漠然とした不安さえ覚えました。
予約時間より早めに着き、椅子に座っていましたが、帰りたい気持ちでいっぱいでした。
彼が私の背中をさすりながら、「心を楽にするためにカウンセリングを受けるんだよ。責められるわけじゃないよ」と言ってくれました。

しばらくしてカウンセリングの部屋に入り、カウンセラーさんと会いました。
とりあえずノートにまとめた事を一通り話しました。
カウンセラーの方はうんうん、と黙って聞いてくれました。

そして、色々なコメントを頂きました。
箇条書きになってしまいますが、

・着床前診断については過渡期であり、ハンチントン病が承認されるかどうかはまだ分からない。

・発症前診断は自分の意思で決めるものであり、彼のご両親に言われたからと言って受けるものではない。

・(でも結婚できるか否かに発症前診断が条件と言われており、受けないと結婚できないから仕方がないのだと言う私に対して)
一度周りの人間は置いておいて、純粋に2人の幸せを考えてみよう。

・(本当に結婚できるのか不安だ、彼が裏切るんじゃないかという私に対して)
彼と向き合って2人の関係性をどうしていきたいかを今一度考えてみよう。

・介護者、非介護者になる可能性は誰にでもある。どちらも同じ人間として対等な立場で考えてみよう。

・介護が必要な状態になっても1人で生きていけるぞっていうくらいの気持ちを持ってみよう。
→1人で生きていくための公的サービスや、セーフティネットはある。

・根詰めて考えるのではなく、ゆったりと大雑把に計画を立てたり、考えていけば良い。

・改めて考えた上で、自分の意思で発症前診断を受けたいという事であればカウンセリングを通じてサポートをしっかりしていく。それには、陽性と判断された時の人生設計のサポートやケアなどがある。

ざっくりとこのような感じでした。
私達が初めに考えていた答えとは異なり、明確な答えを提示してもらった訳ではないですが、心が落ち着きました。最初に持っていた不安はなくなり、なんだか心が軽くなった気がしました。

カウンセリングの初診料は10,000円。
若い私達にとっては安くない額です。
しかし2人の将来の事だから、と彼が半分出してくれました。カウンセリングも一緒に来てくれ、一緒に話を聞いてくれました。
私と一緒に歩むために彼もちゃんと向き合おうとしてくれてるんだな、と感じました。

なんで、こんなにいい人を私は信じてあげられなかったんだろう。
"本当に結婚してくれるの?私を捨てない?"
と、どうしてそんなに不安に思っていたんだろう。
そう思いました。
人生には考えたって仕方のない事があると思います。
というか、キリがないし終わりがないです。
この不安もその一つだろうな、と思いました。

その後彼と少し話して、
「とりあえず2人の幸せだけを考えて、将来のための計画や勉強をしていこう」
そう決めました。