勘定合って銭足らず・・・
つまり、黒字倒産。
何故こんなことになるのでしょうか。
それを防止するためには、まずは「利益」(損益計算書)と「儲け(キャッシュ)」(キャッシュ・フロー計算書)の違いを知る必要があります。
では、簡単に損益計算書(PL)とキャッシュ・フロー計算書(CS)の違い、つまり利益とキャッシュの違いを見ていきましょう。
1.発生主義会計と現金主義会計
(1)発生主義会計
取引の発生に基づいて収益や費用を計上する考え方。
会社が商品を販売して引き渡した時に売上を計上し、
商品を購入し引き渡しを受けた時に仕入高を計上します。
(2)現金主義会計
現金の収支によって収益や費用を認識して計上する考え方。
売掛で商品を販売した場合、すでに商品を相手に引き渡していても、
売掛金が入金された時点で収益に計上します。
BSやPLは基本的には発生主義会計、
CSは基本的には現金主義会計であるため利益とキャッシュは一致しません。
例えば、お客様に請求書を発行した月に売上を計上しますが(=発生主義→PLに計上)、
入金が翌月であれば、その翌月の入金時にキャッシュは動きます(=現金主義→CSに計上)。
このように、PLに計上される月とCSに計上される月がズレるので一致しません。
2.非資金損益項目
資金の支出が伴わない経費については、PLでは費用計上されますが、
CSでは計上されないため利益とキャッシュは一致しません。
例:減価償却費、固定資産除却損
例えば、ある会社が100億円でビルを建て、その代金は一括で支払ったとします。
そして、その他にその年にかかった原価や経費などのコストが70億円で、
売上は120億円稼いだとします。
キャッシュ・フロー=売上120億円-コスト70億円-ビル建設費100億円
=△50億円
ここで、このビルは5年間使えるものだとすると、
ビル1年分の費用は20億円(=100億円÷5年)と「認識」されたとします。
利益=売上120億円-コスト70億円-ビル費用20億円(1年分)
=30億円
キャッシュ・フローはマイナス50億円に対して、利益はプラス30億円。
仮にこのビルが10年間使えるものと「認識」されたとすると、
ビル1年分の費用は10億円(=100億円÷10年)となり、
利益=売上120億円-コスト70億円-ビル費用10億円(1年分)
=40億円
となります。
つまり、利益は、どのように「認識」するかによって変わってしまう曖昧なものです。
一方のキャッシュ・フローはどのように「認識」したところで
マイナス50億円という「事実」は変わりません。
ちなみに、この「ビル費用」が「減価償却費」と言われるものであり
キャッシュが出ていかない費用であるため、利益とキャッシュの違いとなります。
なお、ビル建設費50億円のうち10億円が初年度に減価償却費として計上され、
残りの40億円は資産としてBSに計上されます。
そして、残り4年にわたって毎月10億円ずつ減価償却費として計上され、
4年後には資産に計上されているビルはゼロとなります。
3.会計処理の違い
(1)減価償却の方法
会計処理の選択肢としては、「定額法or定率法」が選択可能です。
(2)棚卸資産の評価基準
会計処理の選択肢としては、「原価法or低価法」の選択が可能です。
(3)請負の収益計上基準
会計処理の選択肢としては、「完成基準or進行基準」の選択が可能です。
(4)繰延資産の処理方法
会計処理の選択肢としては、「資産計上or費用計上」の選択が可能です。
以上のように、会計処理にはいくつかの方法があり、
どの方法を選択するかによってBSやPLは変わってきます。
つまり、モノサシがいくつもあります。
一方、CSはキャッシュの「入り」と「出」という1つのモノサシしかありません。