Milieux de la Cultureです。
引き続き「ターナー展」について書き連ねております。
今日はターナーがイギリス外で描いた絵について。
会場では、ヴェネチアの風景を描いた絵の前で多くの人が立ち止まっていました。
一番人気は、パラッツォ・ドゥカーレ(Palazzo Ducale)と牢獄のあいだにかけられた「ため息の橋」(Ponte dei Sospiri) を描いたこちらの作品。
確かにこれは色合いがとても綺麗で、明るくて華やかで、広い応接間に優雅に飾っておきたい作品ではあります。
ですが、このテの絵なら、描き手はターナーじゃなくてもいいんじゃないか…という気がしたりもします。
ということで、個人的にはターナーが描くヴェネチアの風景画については、上の油彩よりも水彩のほうが気に入りました。
たとえばこんな絵です。
《ヴェネツィア、月の出(「大運河とジュデッカ島」スケッチブックより)》
これを目にしたとき、以前観たクロード・モネの描くヴェネチアに似てるなと思いました。でも年代としてはむしろ逆なんですよね。モネのほうがターナーより後の世代の人ですから。
《The Doge's Palace》 Claude Monet
《The Grand Canal, Venice》 Claude Monet
事実、クロード・モネはターナーの絵に大きな影響を受けていたということを今回初めて知りました。
どうりでなんとなく雰囲気が似ているはずです。
晩年になるほどにぼわぼわした絵を描くところまでそっくりです。
さてターナーはフランスの風景も描いています。
南仏の風景が多いそうなんですが、私はパリを描いたこの絵が好きです。
《パッシーの市門より望むパリ (『ターナーの年次旅行』[1835年]のための原画)》
これ、なんといっても構図が好きです。
4分の3の面積がセーヌ川と空を描いたおおらかなで、しかし繊細な水色が広がっています。一方、左下に建物と人物が色とりどりにごちゃごちゃっと描かれています。
このコントラストが素敵!
お洋服の赤や黒がちょっとしたアクセントになっています。
それからもうひとつ、フィーチャーされていたのが夏目漱石です。
今回の注目作品のひとつである「チャイルド・ハロルドの巡礼-イタリア」、
この左手の大きな木を思わせる一節が、漱石の『坊ちゃん』に登場するからです。
なるほど、というか、そういえば、というか。
漱石はロンドン留学中にターナーの絵にも触れていたとのことです。
漱石のロンドン生活でのエピソードってあまりいい話を聞きませんが、もしかしたら薄曇りのどんよりとしたお天気が続くロンドンでの生活のなかで、ターナーの描く光が漱石のささやかな癒しになっていたのかもしれません。
いろんな意味でおもしろいなと思いました。
4分の3の面積がセーヌ川と空を描いたおおらかなで、しかし繊細な水色が広がっています。一方、左下に建物と人物が色とりどりにごちゃごちゃっと描かれています。
このコントラストが素敵!
お洋服の赤や黒がちょっとしたアクセントになっています。
それからもうひとつ、フィーチャーされていたのが夏目漱石です。
今回の注目作品のひとつである「チャイルド・ハロルドの巡礼-イタリア」、
この左手の大きな木を思わせる一節が、漱石の『坊ちゃん』に登場するからです。
なるほど、というか、そういえば、というか。
漱石はロンドン留学中にターナーの絵にも触れていたとのことです。
漱石のロンドン生活でのエピソードってあまりいい話を聞きませんが、もしかしたら薄曇りのどんよりとしたお天気が続くロンドンでの生活のなかで、ターナーの描く光が漱石のささやかな癒しになっていたのかもしれません。
いろんな意味でおもしろいなと思いました。
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「ターナー展」は4月6日まで。神戸市立博物館で開かれています。ターナー展: http://www.turner2013-14.jp