「Raven+Lily」のエシカルアクセサリー | 東京散歩 * Allons Nous Promener aux Milieux de Tokyo

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ハイセンスなヘアアクセサリーのセレクトショップMilieux de la Cultureのスタッフブログです。
新着商品情報のほか、東京都内を中心に管理人の独断と偏見(笑)で選んだMilieuxなスポットをご紹介します。


前回に引き続き、六本木ヒルズでPop-up Boutiqueを開催中の、エチオピアンシープスキンを扱うandu amet(アンドゥ・アメット)が厳選した「selected by andu amet」の商品をご紹介しています。

今日はアクセサリーです。



この原料、なんだと思います?
「薬莢」です。銃弾の外を覆っている金属ですね。

鮫島さんによると、内戦が長く続いたエチオピアでは今も銃弾や薬莢がたくさん残っているんだそうです。そのような「人を殺すための弾」を、「人を飾り、幸せにするためのアクセサリー」として蘇らせようというのがこのアクセサリーのコンセプトとのこと。


これらのアクセサリーは、AIDSを発症してしまった女性たちのシェルターで作られているとのことでした。
アフリカでも、レイプやパートナーからうつされたりするなどして感染してしまった女性たちは、周囲から激しい差別を受け、コミュニティにいられなくなるそうです。そうした女性たちが生活する場を運営するNGOがあり、そこで彼女たちの自立支援の一貫として作られているんだそうです。

鮫島さんからうかがったこれらのお話をもとにちょっと検索してみたところ、どうやらこのアクセサリーは「
Raven+Lily」のもののようです。n + L

この「Raven+Lily」というブランド、エチオピアだけではなく、インドやカンボジアなどでも、厳しい状況に置かれた女性の支援を行っているようですね。

「Raven+Lily」のブランドサイト、一度のぞいてみてください。
アクセサリーやバッグやお洋服、かなりおしゃれです

そしてその「おしゃれ」さも、移り気な先進国の人間の嗜好に合わせたインスタントなおしゃれさではなく、それぞれの土地の匂いがそこはかとなく感じられるおしゃれになっている点も魅力です。

「Raven+Lily」のエチオピアでの活動のようすは、動画でも紹介されています。



途上国のものだから安かろう悪かろう、でもなく、支援のためなんだからダサくて当然、品質に価格が見合ってなくても大目にみるべき、というのでもなく、ただただ気にいったから身につけたいという、まさにエシカル・ファッションのお手本ともいうべき取り組みではないかと思いました。

これまでの途上国支援ってある種の押し付けがましさ、みたいなものがあったように思います。「支援してやってる」的な不遜さを感じるときもあれば、「世界にはこんなに苦しんでいる人が多いのに!」的な、逃げ場のない息苦しさが勝る道徳感、「~しなければならない」という“must”の思考様式にがんじがらめになりそうになったり。

でも、日本でもandu ametの鮫島さんやHASUNAの白木さんなど、社会正義という信念は固持しつつ、“must”の息苦しさとは少し違うところで社会貢献とビジネスの両立を考える方々がスポットを浴び始めたことはとてもうれしいことですよね。ぜひぜひがんばっていただきたいです


そして現在の私たちの「消費社会」を一歩引いたところで振り返る目も持っていたいとも思います。
例えばこんなにモノが必要なのか、とか。
細々と、とはいえ、小売業を営む人間にとって、これは自己否定に近い問いであって、永遠に抱え続ける矛盾でもあるんですけれども。

一方で、鮫島さんのお話の中で少しショックを受けたのが、AIDSを発症した女性たちによってつくられた商品であるという商品のバックストーリーをわざわざ話さないこともある、とおっしゃったことでした。
そういう女性が作ったということでギョッとして敬遠する人もいるからだそうです。
女性ゆえに引き受けざるを得なかった彼女たちの困難は、同じ女性である私たちこそがなんかのかたちで分け持つ責任があるのではないかと私は思っています。

ところでこのネックレス、要するに金属の破片を集めて作られたものであって、ありあまる金属から型抜きされて作られているわけではないので、先端が不揃いになっているパーツもいくつか含まれています。
そのため細い繊維のお洋服の上につけると、ひっかかりを作ってしまう可能性があるのでご注意を。ベビーカシミアのニットや、シルク地のブラウスに合わせるのは避けたほうがよいようです。