労災は関東労災病院、交通事故は関東中央病院の医師がかかわっています。
被告側の医師意見に対する批判も、認定条件の設定と・その当てはめ(本件該当性の疎明)を踏まえた展開が必要です。
第1 個別立証の2(1) 本件の診断にかかわって
正診の構造は、表のとおりです。
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器質的障害 |
石橋検査 |
紹介検査 |
精神 |
高次脳機能障害 |
問診 |
リハビリ科など |
身体 |
運動まひ |
筋力 |
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知覚まひ |
表在と・深部 |
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膀胱まひ |
問診 |
泌尿器科 |
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脳神経まひ |
Bedsideによる |
耳科・眼科など |
被告側医師は、紹介検査の列のみ批評します。
へたすると、原告側も石橋検査をはぶいて、石橋先生の所見を単なる「意見」にしてしまっています。
石橋主宰の客観的な検査は、まさに実在をとらえた貴重な所見です。
被告側医師は、正診の構造を理解できず、悪罵のみ投げつけます。
実は、患者の病気という実在に、他覚的・体系的な検査によって、どれだけ迫れるかということなのです。
裁判には、石橋カルテやbedsideの神経の診かたを提示して、画像に代わる体系的な神経診断学が、いかに客観的・科学的な方法であるかを立証しなければなりません。
被告側医師は、石橋先生にかかる前の医者が、神経学的異常を指摘しなかった、病気はなかったと主張します。
しかし、当時のカルテを点検すればわかる通り、当時の医師たちは、体系的な検査をやっていません。
検査が欠落しているのですから、病気を見逃しているにすぎません。
被告側医師は、石橋先生の診断を否定するばかりで、患者の病気を整合性をもって説明できません。
結局、上の表の石橋検査の列を無視し、神経診断学によって得られた脳損傷という病名から逃げまわっているだけなのです。
現実を直視せよ。
第1の2(本件該当性) (2)MTBIにかかわって
脳損傷という結果がある以上、原因がある。
脳の変性疾患と異なり、脳損傷には原因がある。
日本の裁判の到達点=ルンバール判例は、
こういう甚大な被害を「原因不明」とすることを許さない。
厚生労働省が尊重するWHOのMTBI定義。
これを押し込んでくれたのは、公明党の渡辺孝男参院議員、桝屋敬悟副大臣です。
この定義を満たす事故が、脳損傷の原因です。
しかし、受傷後の意識障害を把握するためには、慎重な検討が必要です。
たとえば、MTBIの専門家は、意識の空白を見きわめようとしています。
http://ameblo.jp/mildtbi/entry-11927643553.html
第一要件 |
受傷時 |
意識喪失30分以内、外傷後健忘、意識の変容など |
第二要件 |
初診時 |
Glasgow昏睡尺度:13~15点 15点は、意識清明 |
WHO2004も、WHO定義の第二要件=GCS(Glasgow昏睡尺度)を施行できない現実を指摘し、
石橋医師も、被災者が外界の出来事を、脈絡をもって明晰に把握できない時間帯が生じることを指摘しています。
存在と意識の関係から、意識のない時間帯の存在を、患者が把握できないことも明らかです。
事故のあと、入院先で気づいたなら、意識喪失を認識できますが、
30分以内の短時間の意識喪失を、間違って否認しがちなことは、上記Ronald Ruffのいうとおり。
被告側医師は、「初診時の意識障害なし」とのカルテ記載を、鬼の首をとったかのように強調しますが、
WHO定義の第二要件=初診時の意識障害は、GCS15点を含み、GCS15点はまさに意識障害なしです。つまり、WHOの定義を満たすのです。
また、WHOの定義を知らない医師の書いたカルテ、受傷時の意識障害をていねいに問診していないカルテ、GCSさえ施行していないカルテ。
こういうカルテはあてにならない。WHO定義が普及していない現状では、当時の医者を責められないとしても、
あてにならないカルテを絶対化して、被災者に受傷後の意識障害がなかったと強弁する被告側医師は、犯罪的です。
さてさて、これらの複雑な個別立証の課題、
これが労災問題を通じ、
政策課題と直結している、ということが大事です。
友の会は、第1の個別課題と・第2の政策課題をつめてきました。
患者の具体から、政治の抽象へ。ここに、苦闘があります。
個別立証ぬきに、政策課題の実現はありません。
被災者の生活保障という要求を、きちんと実現するため、
「団結、勝利」を貫きたいと思います。