労災再審査の機関で、その裁決が、裁判所の判例のような意味合いを持つ労働保険審査会。国会同意人事ですが、救済率は数パーセントに過ぎません。

 軽度外傷性脳損傷でも、ろくな裁決がなく、ひどいのでは、石橋医師が詳細な神経診断学を行って診断したのに、労働局側の医師の検査がずさんであることも、石橋医師が指摘したのに、外傷性脳損傷を否定し、国相手の裁判になっている事例さえあります。

 労災行政は迅速公正をむねとしますが、従来審査会は公開審理まで1年、そのあと裁決まで1年、あわせて2年以上かかっていました。批判を受け、最近は公開審理まで半年、ところが1ヶ月で棄却という、処理優先・棄却 先にありきの裁決があとを絶ちません。

 別のかたの軽度外傷性脳損傷で、公開審理に先立ち、いままでの監督署・審査官・被災者側の資料をとじこんだ事件プリントが送られてきました。

 A4の横書き・たて置きのとじこみです。石橋先生の著作・軽度外傷性脳損傷も、見開きでコピーして提出したところ、事件プリントにとじこまれています。

 見開きで、横書きが左ページ・右ページと続きますから、見開きの上の部分を、たて置きの左側にして帳合いしなければならないのに、事件プリントでは見開きの上部を左に・右にと交互に続き、とてもじゃありませんが読めたものではありません。

 些事ですが、審査会の姿勢ーー被災者の資料をただとじればいい・半年で処理すればいい・原則棄却で、という被災者を踏みつけにした態度をよく示すものと評価します。