国を被告とする軽度外傷性脳損傷の裁判(労災認定裁判)で、国側は、国立障害者リハビリセンターの高次脳機能障害・診断基準を証拠に出してきました。

 診断基準を含む手引き(2008年改訂版)は、全文、下記により見られます。

http://www.rehab.go.jp/ri/brain_fukyu/kunrenprogram.html

 国は、画像に見えない外傷性脳損傷を否定しようとしているようですが、この診断基準には、次のように書かれています。

 検査所見(MRIなど)で「脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る」と。

 石橋先生は、まさに1時間以上かけて、神経診断学を実践し、裏づけになる専門検査も紹介し(まさに慎重な評価)、外傷性脳損傷による精神機能障害・身体性機能障害を診断しており、この基準にも合致するのです。

 また、この手引きは先日、関西のTVでも報じられたとおり(石綿被害の集会で、阪神医療生活協同組合の仲間が見せてくれましたーー私こと・おさるさんもうつっております)、むしろ埋もれている脳損傷・高次脳機能障害の患者をすくうためのもので、被告のようにその病気でない、仮にその病気でも本件事故のせいでない、と責任のがれするためのものではありません。

 なお、被告が引いてきた2006年版の手引き「はじめに」には、江藤文夫先生が、広義の精神機能障害について触れています。石橋医師は、外傷性脳損傷による精神機能障害には、高次脳機能障害のほか、発作性意識障害や心因性反応が含まれると述べています。