しらべと夢の話をし合ったときに、
「夢の内容忘れないうちに書き止めておくと面白いよ」と私が言ったらしらべは早速メモ。
見せて貰ったメモは省略が過ぎて聴いた話とは別物。
「これじゃストーリーが分からないよ。しらべから聴いた話書いていい?」
お墨付きが貰えたので以下に記します。
~ * ~ * ~
しらべは、大学の空き教室で感想文の課題、たぶん競馬ミステリ(昔凝っていた)の感想を書きあぐねている。文章が何も浮かんで来ないまま時間が経って、次の講義が始まるので大教室に移る。
まだ講義時間前で、学生席に講演前の村上春樹が座っていた。しらべの取っている講義の大教室なのだが、そこで今日は村上春樹が講演会を行うことを知らなかった。
あまり騒がれてはいないが、女子学生数人がサインして貰っている。クリアファイルにサインを貰っている学生のクリアファイルはデザインがキレイで見惚れる。
村上春樹は写真で知っている村上春樹ではなくて、こないだネットで見て嫌いだと思ったNPO法人の代表の顔で髭がある。
サインを何にして貰おうか、あのファイルみたいな物がないかと探すと、「街とその不確かな壁」を携帯しているのに気づく。
「ああ、丁度良かった」と列に並ぶとほどなく順番が来た。
「街とその不確かな壁」を差し出すと、
思い掛けなく、「あなたにとって読書とは何なの?」(丁寧語の「ですか?」だったかは不明)と逆に質問される。
…あまり深いこと言う場合でもないし…
「現実の嫌なことを忘れるための、現実逃避ですね」
と取り合えず答えると、
「そう、そう!」みたいな感じで、「踊るってことでしょ?」と言われる。
~ * ~ * ~
それを聴かされて、あら、しらべは評価して貰えたみたい!となんとなく嬉しくなり、
「『ダンス・ダンス・ダンス』を読んだら?」と言ったら、
「イヤだ」って。でも、「村上春樹を先に読み始めたのは、私だからね」と。
しらべは以前、「ねじまき鳥クロニクル」を一気に三作読んだけど答えが分からないままだったと言ってたな。
その後しばらくして、今度は私が村上春樹作品研究に没頭した。
でも私は、しらべと反対に、イヤなことがあって村上読書を止めた。
それなのに去年暮れ、「街とその不確かな壁」をまた買ってしまったものだから、それがしらべの夢に出たらしい。
「街とその不確かな壁」は文庫になるだろうが2冊なら高くなるし電子書籍は目にツライから単行本を買ったが、読む腕に重かった。