聞いたときはショックはショックで・・・
パコとは、マドリード短気留学中からの縁です。
人柄的にもすごくいい先生で、大好きでした。
スペイン舞踊全般においての巨匠で、私は特にカスタネットを使ったクラシコエスパニョールや、
フラメンコを習っていました。
出来がいいと、満面の笑顔で”ムイ・ビエン!(良く出来ました!)”といい、
悪ければ地団太を踏んで「なんでできないんだー!」と、子供のような反応でした。
私の本名を何度聞いても覚えられないので、「君はサラ」と名前をつけ、ずーーっとサラと呼ばれ、
記念にもらった彼のサイン入りのポスターにも「親愛なるサラへ」と入ってました。
そのカスタネットの音や、美しいポーズに彼の芸術性が表現され、年を重ねてもその存在感だけでオレーと唸るほどでした。
最後に私が彼から習った”エル・ビト”と呼ばれるクラシコは、彼の生前の最後の振り付けだったように思います。それを習えてよかった。そしてその手ごたえが新しいうちに、私の生徒さんたちにも伝授しておいてよかったと本当に思います。
このエル・ビトの振り付けの間、どんどん振り付けを忘れてしまうパコ先生のアシスタントとして、振りを覚える”振り取り”として、私はクラスの始まる15分前に行き、彼の指導を受けながら振り付けを覚えていきました。とても貴重な時間だったと思います。
先生との思いではたくさんあります。
人が集らなければ、クラスをしない先生も多い中、彼はたった一人しかいなくても教えてくれる先生でした。
私がある日、スリにお金をとられた話をしたら、本当に心から案じてくれてレッスン代も徴収しないような先生でした。
その後すぐに“体の具合が悪いらいしい”ということでクラスはしなくなりましたが、まさかこんなに悪いなんて思ってませんでした。
実は、彼が亡くなる1ヶ月ほど前、スタジオの前で彼を見かけました。交通量の多い道路の反対側にいて、手をふってはみたのですが私に気がつく様子も無く、私も「あれ、調子よくなったのかな?」と思いそのまま通り過ぎました。
そのときの事が、悔やんでも悔やみきれない。
もっと、色んなことを大事にしようと思い直しました。
何の偶然か、彼の亡くなる数日前に「カスタネットを教えて欲しい」と依頼をうけ、それをきっかけにまた少しカスタネットも練習を再開してたのですが、このパコ先生の事をきっかけに、余計にやろうという気持ちになりました。
タナトリオと呼ばれる、お墓に入る前のお別れする場所に行き、最後の挨拶をしてきました。
その人柄にますます優しさが加わった、安らかな、きれいなお顔でした。
パコ先生、どうもありがとうございました。


