私は父親が嫌いです。

できれば顔も見たくないし、話もしたくありません。


実の親を嫌うなんて、おかしいことだと思います。


感謝してないわけではありません。でもそれとは別の次元で、人として彼を許せません。


時間が経てばある程度は緩和することかもしれません。

でも今はどうしても許すことができません。



父は、社会的には多少、甘い蜜を吸った人です。

30代で会計事務所をクビになり、資格も何もないのに自分で会計事務所を立ち上げました。


あんたについていく、と言ったお客さんも、ふたを開けてみたらまったく、最初は母と二人、駆けずり回って集客したようです。


昔お客さんが言っていました。


駆け出しの頃、Nさん(母)が顧客一人一人綺麗に包んだお赤飯を炊いてご挨拶に来てくれた時、本当に誠実に顧客を大事にしてくれる方々なんだと、心に響きました、と。


母はそんな一生懸命自分の砦を守ろうとする父を、仕事の面でも家庭の面でも、今までずっとサポートしてきました。


誰よりも早く会社に来ていた父。

早いね、と母が言うと、自分の会社だからね、とうれしそうにしていました。


母は頭の回転が速く、言うなればキレモノ。よく気のつく人です。

父は全く逆で、鈍感で事務能力はほぼゼロ。コンサルタントなのに、おしゃべりも決してうまいわけではなく、人柄と努力だけでやってきた人でした。


そんな中、父を信じ、会社立ち上げを全面に助けてくれた人がいました。


とある工場を経営する社長さんでした。頭が上がらないくらい、お世話になったそうです。

後にその社長さんは亡くなり、娘さんが後を引き継ぐこととなりました。

私も娘さんにはお会いしたことがありますが、従業員一人一人を大事にする、いつもにこやかなとっても大らかで暖かい女性でした。


その方のおかげで、会社はなんとか軌道にのり、子供たち4人を大学にやれるくらいの収入は得られるようになりました。


その努力たるや、きっと私の想像以上なんだと思います。



10年経ち、15年経ち、経営も落ち着いてくるはずの頃から、母は序々に違和感を感じ始めたようでした。


私用で使ったお金が、当然のように会社の経費でおちている。

経営の苦しい小さな会社には、コンサルタントであるにもかかわらず、経営に関するアドバイスは一切せず、電話口で顧問料の未払いをののしるだけになった。

自分に利益がある(飲み屋さんのお客さんなら、飲み代がタダになる等)顧客には、たとえ支払いは1年滞っていても、「今は請求の時期じゃない」と言って放置。

毎年変わる税法に関しての勉強は一切しなくなり、雇われの税理士におんぶにだっこ。

客先を訪問しても、自分の自慢話と他人を蔑む話ばかり。

 

そんな小さな違和感を感じつつも、母は、ここは父の会社である、彼が経営者である、ということで、ついてきました。



ある時までは。