12月8日(木)、映画「月の満ち欠け」を観てきました。

 

「そんな馬鹿な話が……」

なんて思ってこの映画を観てはいけません。思いが強ければ、そんなこともあるかもしれないと思って観なければ、この映画の良さは分りません。たとえは悪いですが、人間版の映画「僕のワンダフル・ライフ」(犬が主役の映画でした)です。輪廻転生を描いた物語です。その輪廻転生を「月の満ち欠け」する姿に例えているわけです。そして、そこにめちゃくちゃ「愛」がからんできます。ロマンチックな映画です。


どうやら物語は、薄幸の女性、正木瑠璃(有村架純)の存在でスタートします。時を同じくして、主人公である小山内堅(大泉洋)と小山内梢(柴咲コウ)の結婚も執り行われました。

 

この瑠璃、原作では同じ記憶をもったまま、4人の人物を演じるらしいのですが、映画では3人の人物を演じるようです。

 

ここまでで名前を挙げた3人の俳優さん、演技がうまいわ~! 超感心、超感動。

 

架純さん演じる正木瑠璃は、三角哲彦(目黒蓮)から見ると、実に謎多き女性に映ったことでしょう。架純さんは、瑠璃の虐げられた悲しみ、三角哲彦と一緒に過ごせる間の喜び、しかし、現在の境遇から抜け出せない苦しみ、いろいろを瑠璃を演じ分けます。様々な瑠璃がいました。

※参考画像

正木瑠璃(有村架純)が店の軒先で雨宿りしていたところ、店の従業員である三角哲彦(目黒蓮)から、
「よかったら、これを。」
と、傘を差し出されたところ。

 

愛する梢と結ばれ、小山内瑠璃(菊池日菜子)という可愛らしい娘を得、幸せな家庭を築いた大泉洋さん演じる小山内堅。登場場面で、実にいい表情をしています。それが一瞬にして愛する妻と娘を失います。失意のどん底に陥り、順風満帆と歩んできた職も退き、故郷の八戸へ帰ります。年老いた母、小山内和美(丘みつ子)との二人だけの生活。生気の薄い、くたびれたおっさんの姿があります。

 

そこへ、あなたの娘の小山内瑠璃は、正木瑠璃の生まれ変わりであったと言う三角哲彦の出現。数年後には同様のことを言う小山内瑠璃の親友であった緑坂ゆい(伊藤沙莉)との再会。すっかり混乱し、新たな悲しみに陥る小山内堅。

 

大泉洋さんのうまい演技を見てましたら、昔、たんにおちゃらけ俳優としか思っていなかった大泉洋さんを見直すきっかけになった映画での好演を想い出しました。映画「半分の月がのぼる空」で、妻との思い出の地で嗚咽する姿です(映画は原作とやや異なっているようです)。改めて、大泉洋さんはすごい俳優さんだなと感心しました。


柴咲コウさんは、いつまでたっても若々しい気持ちを持ち続ける、可愛らし妻であり、母親を演じていました。夫に対する一途な思い、それがあるから、瑠璃が話したであろう奇妙な話を信じたんだと思います。

 

伊藤沙莉さんもすごいですね。女子高生から7才の子持ちの母親まで演じてしまうんですから。従来の彼女が演じるキャラではなく、やけにトーンを落として真剣に話す場面もありましたしね。

 

ところで、ドラマ、映画で好人物を演じることの多い田中圭さん。今回は諸悪の根源的役回りでした。しかし、この人物の存在なくして、今回の出来事は生まれませんでした。

 

ところで、この物語、冒頭で小山内堅が仕事を終え、母親の居る自宅へたどり着いた場面、母親の介護をしている荒谷清美( 安藤玉恵)の娘が、「お帰りなさい」といって迎えます。もう、ストーリーの伏線が張られたんですね。

 

それから、この堅の母親役、あとで調べたら、丘みつ子さんだったんですね。私ね、昔、姉に連れられて、“丘みつ子”という十朱幸代さんに似た女優さんの映画を観たような気がします。その共演者に池田秀一さんが居たようにも思います。調べると、それって、丘みつ子さんの映画デビュー作じゃないですか。あの彼女が老婦役か…………。

 

さらに余談ですが、映画の中に架純さんが走るシーンがあるんです。どうも、走りにワンテンポずれて揺れる部分に目がいってしまいました。このことは、動きがややずれているので、違和感(?)を感じ、そこが気になるのはやむを得ないと思います。

 

ところが、三角哲彦が初めて瑠璃と手をつなぎ、まさに走り出そうとする、その後ろ姿。架純さんの“お尻”に、目がいって吸い付けられてしまいました。私、決して“お尻フェチ”ではありません。それなのに…………。

 

通常、可愛らしい女性を演じながら、“色気”、“艶っぽさ”を感じない架純さんなんですが、この映画、いつもより、“フェロモン”を出してたんじゃないですか? そのためじゃないかな…………(と、勝手に解釈)。

 

エンディングの曲について。たぶん歌だけ聞いていたんでは惹かれることは少ないと思いますが、この映画のエンディングとして聞いていると、妙に惹かれてに納得してしまう曲でした。

 

この映画、美人(架純さん)涙、子役の活躍、洋さんの熱演、私の目がウルウルしてきましたよ。