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《雲が描いた月明り こううんたくげつ》
“こういたくげつ”という水墨画の筆法があります。
周りのこまごまとしたことを書くことによって、描くものを浮き立たせる。
他のものによって主体を引き立たせる。
同上の手法を使って文章を書く。
例えば、周囲を暗い雲模様でぼかして月の形を美しく浮き出させる。
一つのものを借りて他のものを引き立たせる。
つまり、このような他のことによせて引き立たせる筆法は、主体をいっそうはっきりさせる。
丸く余白を残しておき、雲を描いて月を表現する技法。
雲を描いて月を際立たせる。
-『中国語大辞典 上』 参照
『中日大辞典』 参照
『熊野中国語大辞典』 参照
本日3月3日 は桃の節句。
雛人形を飾ったり、ちらし寿司や蛤のお吸い物を食べたりするなどされる方もいらっしゃるはずであろう。
かくいう私も五目ちらし寿司と蛤のお吸い物は今晩準備しようと思っている。
桃の節句は元々中国の行事=上巳の節句が起源である。
巳(へび)は脱皮をして生まれ変わることから、穢れを祓い清める行事とされていた。
人形(ひとがた)、あるいは形代(かたしろ)と呼ぶ草木あるいは紙やわらで作った素朴な人形に、自分の災厄を移して海や川に流した祓いの行事と、平安時代に始まるお人形遊び(ひいな遊び)とが、長い間に結びついたのが、現在の「ひな祭り」と言われている。
季節の変わり目に無病息災や子孫繁栄などを願う五節句の一つとして、日本ではかなり昔から定着している。
桃の花が満開を迎える時期の行事でもあるので「桃の節句」とも呼ばれるが、桃には魔除け・厄除けの効果があるという言い伝えがあるので、ダブル・ミーニングとなっている。
ところで、「桃の節句」に準備をする蛤のお吸い物。
この蛤にはどのような言い伝えや由来があるのか、ちょっと気になった。
蛤の貝殻は一対になっていて、決してほかの貝と合うことはない。
ほかの貝と合うことはない蛤は、平安時代には「貝合わせ」遊びに用いられた。
つまり、「桃の節句」では生涯一人の人と添い遂げるようにという願いが込められている。
ただ、ここで終わっては「桃の節句」が何となく際立てないまま。
もう少し蛤の深掘りをしてみよう。
日本神話においてウムギヒメは蛤を神格化した女神と考えられている。
因みに赤貝を神格化した女神はキサガイヒメと呼ばれ、ウムギヒメとは姉妹のような扱いで登場する。
『古事記』『出雲国風土記』の両書において二柱の女神はカミムスビノカミと関係があり、前者ではカミムスビノカミに派遣されて大国主命の治療に従事し、後者ではカミムスビノカミの御子神であると記されている。
大国主命の神話では、多くの兄神たち(八十神)から嫉妬された大国主命が、八十神が猪と偽って山上より転がした焼ける岩を抱き止めて絶命してしまった。
カミムスビノカミは早速キサガイヒメとウムギヒメを絶命した大国主命のもとに派遣した。
キサガイヒメは粉末にした赤貝の殻を母乳に見立てた蛤の白い汁で溶き治療を施すと大国主命は蘇生したとある。
蛤の白い汁が母乳に見立てられたのは、母乳の持つ生命力の促進・回復の効能を期待して蘇生に利用したものである。
なお、蛤は「海蛤ウムキノカヒ」と『和名抄』にあり、古くから薬剤として利用されていた。
一方、赤貝の殻は『和名抄』に記載はあるものの、どのような効能があるのかについては不明のままだ。
大国主命はスサノオの子孫で、出雲に大国をつくった国づくりの神。
因幡の白兎の話や根の国(黄泉の国・常世の国)訪問の話は有名で、農耕・漁業・殖産から医薬の道まで、人が生きてゆく上で必要な様々な知恵を授けた優しい神と伝えられている。
さて、今も伝わる大国主命の数々のエピソード。
エジプト神話に明るい人は「あれっ。どこかで聞いたことがある」と思われたのではないだろうか?
エジプト考古学の研究家ほど詳しくはなくても、大国主命とキサガイヒメとウムギヒメのエピソードはそのままオシリスとイシスとネフティスに置き換えられることに気付かれることだろう。
オシリスとセトは兄弟であったが、王位を継いだ兄のオシリスをセトは妬んでいた。
このためセトは72名の廷臣たちと共謀しオシリスを殺害して川に流す。
オシリスの妻イシスは心を痛めオシリスの亡骸を探しに行く。
様々な神々はイシスを助けた。イシスは魔術を使い妹ネフティスはオシリスの傷を治療した。
-『オシリスとイシスの伝説』より
日本とエジプト。
遠く離れた二つの国の神話が瓜二つであることに驚きを禁じ得ない。
これ、実はアルバム『Dangerous』のショートフィルムの発表順に、大いに関係がある。
その説明は次の機会にでも。
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